Brahms ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調
(アルトゥール・モレイラ・リマ(p)/
オットー・マイヤー/ベルリン交響楽団)


CARAS PB11-11121Brahms

ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調

ラプソディ ト短調 作品79-2(1999年)

アルトゥール・モレイラ・リマ(p)/オットー・マイヤー/ベルリン交響楽団

Apolo Cultural PB11-11121  1976年録音

 Arthur Moreira Lima(1940ー)は伯剌西爾出身のヴェテラン、こんな珍しい音源を入手したのはいつか・・・その時期経緯経過など記憶の彼方、「音楽日誌」検索すると・・・1965年アルゲリッチが(ショパン・コンクール)優勝した時の第2位ですね。日本じゃぜんぜん人気どころか知名度もなくて、売れ残りワゴンセールからいろいろ入手、聴いておりました・・・そうかワゴンセールだったのか。大好きな作品だけど、これが一番お気に入りの演奏であります。

 4年前のコメントに曰く

これが恐るべき明晰、燃えるような情熱と余裕のスケール、わかりやすい表現、明るい音色に驚かされました。ちょっと異色なほどアツい演奏であって、もちろん流麗なる技巧は前提です。フィル・アップのラプソディ ト短調が絶妙のコンピレーション、協奏曲終楽章「Allegretto grazioso」の高揚をそのまま、短調に劇性継続して燃えるようなスケールに変わりはない。落ち着き払った風情とは景色が違って見えます。
 この巨魁な協奏曲は4楽章(ピアノ独奏を伴う交響曲!)難曲中の難曲とのこと。冴え渡った技巧でばりばり聴かせて欲しい悠然たる名曲、もちろんオーケストラも重要でして、伯剌西爾製CDによる葡萄牙語表記に現コンツェルトハウス管弦楽団なのか、旧西伯林時代より活躍しているBerliner Symphonikerなのか速断不可、誠実に深い、しっとりサウンド風情は前者ではないか(間違ったらゴメンナサイ)・・・これは4年前の類推でした。但しOtto Meyerはネット検索しても情報出現せず。

 第1楽章「Allegro non troppo」。冒頭茫洋としたホルンの呼びかけに、静かに応えるピアノ・ソロ。ここから牧歌的に、そして雄弁なスケールに広がっていく18:36。時にヴェテラン・ピアニストの技術的苦戦を聴かせられるのは苦痛でして、アルトゥール・モレイラ・リマは流れよくスムースなこと!テンポは中庸、タッチは明晰に明るく、時にテンポは自然に揺れて情熱に走る場面にも違和感はありません。この”明るさ”が全編を支配しております。オーケストラのスケールも対等平等にみごとなもの。

 第2楽章「Allegro appassionato」。協奏曲には珍しいスケルツォ、この辺りがピアノ独奏を伴う交響曲と呼ばれる所以でしょう。もともと”諧謔曲”という意味だけど、その重厚なリズム・推進力はBrahmsならではの個性、シリアスな躍動は深遠なもの。この楽章が作品のキモでしょう。ここでもピアノはリリカルに、むしろ明るく軽快なタッチが際立つ表現でした。9:22。

 第3楽章「Andante」。独奏チェロが優しく纏綿と歌う(木管も唱和する)最高の緩徐楽章。ヴァイオリン協奏曲第2楽章「Adagio」に於けるオーボエ独奏もそうだけど、Brahmsは”第2の主役”を上手く使って際立つ効果を上げるのですね。静謐に沈溺瞑想する楽章はむしろオーケストラが大切?(ピアノ登場迄2:35。オットー・マイヤーさんの統率はおみごと)つぶやくようにそっと漂うデリケートなピアノ参入、時に情熱が泡立って力強くクリア、流麗な技巧であります。オーケストラとピアノはぴたり息が合って12:32。この楽章が一番好きでっせ。

 第4楽章「Allegretto grazioso」大きな協奏曲、途中にものものしい”スケルツォ”を挟みつつ、前楽章の安寧の風情〜そしてこの終楽章出足の軽快なロンドが、ほっとするような人懐こさ、陽光、憧れを際立たせます。全部が全部深刻だったら聴いてられまへんで、こんな大曲。温かい旋律に+時に不安の溜息が揺れる・・・みごとなエンディングであります。アルトゥール・モレイラ・リマは控えめに、過不足なくオーケストラとバランスしております。最終盤、憂愁な旋律をピアノとオーケストラで呼応し合うところがあるでしょ?そこが大好き。9:08。

 Brahmsのみならず、一般に浪漫派の音楽はピアノ・ソロがお気に入り。ラプソディ ト短調 作品79-2は劇的な風情、感情が昂揚する暗鬱っぽい旋律、いかにも彼らしい作品。そして協奏曲より荒々しい演奏でした。6:23。

(2019年3月3日)

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written by wabisuke hayashi