Ravel バレエ音楽「ダフニスとクロエ」全曲
(ブーレーズ/NHK交響楽団ライヴ1995年)


Debussy

「牧神の午後への前奏曲」

ブーレーズ/ロンドン交響楽団(1995年5月19日サントリーホール・ライヴ)

Ravel

バレエ音楽「ダフニスとクロエ」全曲

ブーレーズ/NHK交響楽団/晋友会合唱団(1995年5月30日サントリー・ホール・ライヴ)DATにてエア・チェック→MDへ

 1995年に開催された「ブーレーズ・フェスティヴァル」から一連のFM放送をエア・チェックしたもの。ワタシのエア・チェック最末期のものです。MDに収録し直すときに、主に時間制約との関係で適当に組み合わせたもの。ブーレーズは好きだなぁ、緻密で、合理的で、色気があって、ゾクゾクする。

 前にも書いたけれど、彼の「牧神」はたくさん揃ったんですよ、手許に。CD、FMエア・チェック取り混ぜて。NPO、クリーヴランド、ウィーン・フィル、LSO、ベルリン・フィル(コレは圧倒的厚みとセクシーさ横溢)計5種。2002年にロンドン響と日本でMahler やったみたいで、高い評価だったみたいですね。表記演奏会では「クープランの墓」もやっていて、相性の良さを感じました。

  「牧神」は、1966年のNPOとの録音は、人工的な語り口が恣意的と評価されるかも知れないが(ワタシはそれも好ましいが)1990年台以降の録音は、いずれも極上な色気と洗練と、音楽の自然な流れが好ましい。違うのはオーケストラの個性のみ。どれもブーレーズに間違いないが、オーケストラの個性が明快に引き出していて、各々違いが楽しいものです。

 ロンドン交響楽団は、新聞評によると最盛期を迎えているらしい。個人的には1960年頃のモントゥー時代の録音にココロ奪われるが、やや明るめでしっとり、重すぎず、清廉ななかにも色気がある響き。ここでも、(もちろんベルリン・フィルの極上に磨き上げられた、粘着質の重みも存分に魅力的だけれど)もっと、爽やかな、若々しい官能が感じられて、素晴らしい完成度。

 節回しがずいぶんとさっぱりしているのに、どうしてここまで深く、魅力的なんでしょ。不思議。思わせぶりな、小節や引き延ばしがまったくないのに。極細部までたんねんに指揮者の思いが行き渡っているのに、作為が感じられない。耳あたり良く、しかも安易ではない。最高潮での素っ気ない表現と、思わぬ弱音が胸を突きました。

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 問題は「ダフニス」ですよ。既にBartokでこの演奏会の最初の演目は取り上げてましたよね。N響はね、ずいぶんと力演だし、数々の美しい部分が感じられます。いつになく、神秘的な雰囲気もある。これ悪くない、さすがブーレーズ!的演奏でしょう。でもね、「ほかのオーケストラとの共演を聴き比べると、金管楽器の音色が垢抜けない。色気が足りない。技術的な不備はないが、先入観抜きで、どうも静謐さが足りないかも」(先の「マンデリン評」)

 〜これですよ、やはり。ホルン、そして弦に色気が足りない。その後のデュトワの薫陶で変わってますか?N響は。それと、けっして鳴らないオーケストラじゃないが、全体のサウンドに「芯」というか、カッチリとした軸が感じられない。なんか「B級ブーレーズ」みたいな感じになっていて、3度くらい聴き直したが、満足感に足りない。(念頭にはクリュイタンス/モントゥーがあるせいか)

 でも、きっとワタシの厳しすぎる評価、贅沢すぎる要望でしょ。うん、美しい。日本のオーケストラでここまで聴かせるなんて、という書き方が正しい。きっとね。拍手も盛大です。

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 じつは、余白にもう一曲収録しております。1995年5月26日サントリー・ホールでのポリーニ(p)の演奏。これ「ブーレーズ・フェスティヴァル」の一貫で、たしか、ポリーニの体調不良(練習が出来なかったんじゃないかな)で、当日演目変更されたもの。(FM雑誌に曲目明細なし)

 Scho"nbergのピアノ曲です。(ちゃんと調べていない)これは極上にピアノのタッチが繊細で、クールで、部屋の温度が下がって、空気が澄んでくるのが理解できます。(2002年11月10日)


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written by wabisuke hayashi