Borodin 弦楽四重奏曲第1/2番(ロシア弦楽四重奏団)


ARTE NOVA 74321 51633 2  590円 Borodin

弦楽四重奏曲第1番イ長調
弦楽四重奏曲第2番ニ長調

ロシア弦楽四重奏団

ARTE NOVA 74321 451633 2 1996年録音 590円で購入

 

ミーハーなんで「ノクターン」が聴きたくてね、手許のアッカルド盤に少々違和感あったので購入。LP時代はドロルツ弦楽四重奏団(DG)で堪能したものです。団体名が大仰だけれど、女性ばかりの4人組ですね。これも、個人的な好みではもっと甘くやって欲しい。線がちょっと細いかも。ま、時代が時代だし「ロシアだから脂っこい演奏」とは限らないかも知れないが。やや生真面目で、Borodinの魅力の源泉である「クサい節回し」の強調に欠けます。でも、この曲好きだなぁ。晩秋〜初冬にピッタリ。(2002年11月23日)
 ・・・とのコメントが残っておりました。意外とCDは入手しにくいかも知れません。最近ARTE NOVAは店頭にて見掛けなくなりつつあるから、そんなときはNAXOSか。上記にあるようにLP時代のドロルツ弦楽四重奏団にてしっとり濃厚な演奏を楽しんだはずだけれど、現在の耳でどう響くかはわかりません。ま、手許にあるCDを大切にして聴きましょう。作品解説はここに尽くされております。(感謝

 交響曲には少々違和感あったけど、「中央アジアの高原にて」に於ける哲学的水準に至っている”ワン・パターン”旋律の妙、「だったん人の踊り」には血沸き、肉踊る土俗的な興奮を感じます。これが室内楽になると、いっそうしっくり胸に浸みる事実。第2番第3楽章「ノクターン」以外はあまり知られていない旋律だけれど、第1番イ長調だって36分に及ぶ大曲であり、名曲であります。

 先の詳細解説に縷々述べられているが、意外と古典的なスタイルの作品であって、それはBorodinだから、ちゃんととろ甘いロシア(中央アジア?)風旋律が、人懐こくあちこち顔を出しております。第3楽章「スケルツォ」はまるで快活なるBeethoven なんだけど、中間部にはちゃんと「夜想曲」風の”甘味どころサービス”がありました。第2番ほどの知名度はないけれど、名曲に間違いなし。

 ロシア弦楽四重奏団って、タチアナ(v)/マリア(v)/エレーナ(va)/リュドミラ(va)4人のメンバーでして、シロウトが想像する露西亜女性名前モロで興味深いですね。ロシアじゃ命名に流行廃れはないのか?日本じゃ、彩佳ちゃんとか、麗菜ちゃんとか現代(いま)風になっていて、サダとかトメとかは21世紀中盤に復権するかも・・・閑話休題(それはさておき)技巧的な集中力はたいしたものだけれど、「やや生真面目で、Borodinの魅力の源泉である「クサい節回し」の強調に欠けます」とのコメントは(珍しく)当たっていると思います。

 「線がちょっと細いかも」というのも、例えば第1番の最終楽章は大団円というには少々躍動やら、爆発に不足気味だから、そう感じてもおかしくはない。

 第2番ニ長調になると、「いかにも」「誰が聴いても」Borodinの個性になっていて、第1楽章から懐かしい甘美な旋律横溢の魅力作品に間違いなし。「ノクターン」だけじゃないですよ。第2楽章「スケルツォ」に於ける、楽しげなワルツだって聴き手を陶然とさせるでしょう。「夜想曲」はかつて深夜のFM放送のテーマになっていたせいか、いかにも就寝前に心象を落ち着かせるような、そんな「愛の音楽」。Borodin得意のチェロ大活躍です。

 引用した解説によると「人気薄の終楽章」とのことだけれど、怪しげな開始から、やがて表情が晴れやかに変化していくところなど、なんとも魅力的な作品だと思います。演奏的には上手いが、未だ味が若い(煮込みが足りない)感じ。誠実だけれど、もっと濃厚な力感+躍動+色気が欲しいところですね。でも、作品を楽しむには充分な演奏でしょう。演奏云々する前に、しっかり名曲に親しまなくては。

  (2007年6月1日)


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written by wabisuke hayashi