Benstein/Gershwin/Bartok(ペキネル姉妹(p)/
ペーター・ザドロ、シュテファン・ガゲルマン(打楽器))


Teldec 825646211869 Berntein

「ウエストサイド・ストーリー」〜シンフォニック・ダンス

Gershwin

3つの前奏曲(Allegro ben ritmato e deciso/Andante con moto e poco rubato/Allegro ben ritmato e deciso)

Bartok

2台ピアノと打楽器のためのソナタ Sz110

ギュエル・ペキネル、ジュエル・ペキネル(p)/ペーター・ザドロ、シュテファン・ガゲルマン(打楽器)

Teldec 825646211869 1988年

 Guher Pekinel、Suher Pekinel 姉妹(1953-土耳古)の噂を最近聞きませんね。もうぼちぼち70歳か。ミュンヘン・フィルの名手 Peter Sadlo(1962ー2016独逸)は既に亡くなったんやなぁ、残念。このCDもおそらく現役に非ず、詳細情報もなかなか探せません。わずか4人で巨大な宇宙を描き出すBartokのソナタだけでは盛りが足らぬから、Bernstein、Gershwinの編曲もので埋めた選曲も配慮ある一枚企画もの。音質は極上です。

 「ウエストサイド・ストーリー」〜シンフォニック・ダンスは誰でも知っているBernstein作品の一番人気、躍動旋律リズム連続。2台ピアノは繊細緻密そして軽快、ハンドクラッピングも入る打楽器は原曲のイメージをかなり彷彿とさせても基本控えめ、主役はあくまでピアノであります。「クール」辺りの変拍子って前衛的、カッコ良いですよね。「マリア」はシミジミ甘い感動的な旋律、原曲云々さておき素晴らしい名曲、そしてノーミソ中で歌と色彩を補う世界は感動的。(20:20)

 3つの前奏曲はもともとピアノ・ソロ、ここでは2台ピアノ編曲版演奏。ノリノリの「Allegro ben ritmato e deciso」、物憂いブルースである「Andante con moto e poco rubato」、「Allegro ben ritmato e deciso」はちょっぴりほの暗いチャールストン?彼(か)のRhapsody in buleを連想させる世界が凝縮され、短くも花火のような緩急緩1:25-3:41-1:19。

 メインのBartokはお気に入り。中学生時代だっけ、AMラジオから流れた恐ろしくも巨大なる音楽に一発で痺れました。爾来半世紀以上お気に入り作品に演奏の優劣など付けられません。第1楽章「Assai lent-Allegro molto」は不気味な歩みに始まって(12音階なんだそう)ピアノと打楽器は対等平等(両者とも打楽器としての扱い)後の協奏曲編曲は管弦楽付加が蛇足に思えるほどの完成度。ピアノは緻密な集中力、ややおとなし過ぎ?叩きつけるような乱暴な世界に非ず、色彩のない正確な打楽器に変幻自在な広がりを感じさせます。(12:25)

 第2楽章「Lento,ma non troppo」はつぶやくように寂しげにとぎれとぎれな緩徐楽章(「夜の歌」)。途中いや増す不安な激情、拍子木が幕間を連想させます。(6:35)第3楽章「Allegro,ma non troppo」は快活な明るい疾走。ペキネル姉妹は上手いけど元気が足らんかな?シロフォンとティンパニ大活躍、ラスト、スネアドラムに去っていく風情が寂しい。(6:09)

(2022年1月22日)

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written by wabisuke hayashi