Berlioz 幻想交響曲
(ヘルベルト・カラヤン/フィルハーモニア管弦楽団1954年)


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幻想交響曲

ヘルベルト・カラヤン/フィルハーモニア管弦楽団(1954年)

パブリック・ドメイン音源にてネット・ダウンロード

 ネットからの音源ダウンロード→自主CD化は病膏肓に至って、毎日溜まる一方だけれど、これは2年半ほど前?自分としては初期の制作となります。最近は.flacとか.apeとか”可逆圧縮”からデコードすることを覚えたが、これはほぼ1/10不可逆圧縮の.mp3音源であって、それでもワタシの安物耳には充分音楽堪能可能。ウチの極小(激安)人民中国製ディジタル・アンプは、音源相性甚だしくて、ピアノ・ソロや室内楽、編成の小さい作品には一般に相性がよろしい。貴重なる幻の放送録音!みたいな大規模管弦楽団だと、時にスカみたいに素っ気なく響きます。パワー不足+音源の個性が正直に、そのままなんの飾りもなく再生されてしまう〜ということかも知れません。(オーディオは門外漢なので大カンチガイかも)

 1954年カラヤン46歳壮年の記録は、EMIがステレオ録音を本格導入するギリギリだったみたいで、かなり優秀、分離のよろしいモノラル録音。これが(オリジナルは知らぬがこんなエエ加減自主CDでも)ちゃんと作品演奏全容を理解可能と思います。子供の頃より馴染みの「幻想」は、繰り返しを実行していること(第1/4楽章)、第2楽章にコルネットが活躍することを期待しております。ここでは、ま、通常聴かれるパターンですな。繰り返しなし、もちろんコルネットも入らない。ベルリン・フィルとの再録音(少なくとも1964年録音)はかつて聴いたはずだけれど、既に記憶にありません。

 第1楽章「夢、情熱」は仕上げ精密を極めて、颯爽とした流れの良さ、自在なテンポの扱いも決まっております。フィルハーモニア管弦楽団は響き明るく、抜群に上手い。カラヤンの語り口の上手さが前面に出た演奏。第2楽章「舞踏会」 〜曖昧な弦の出足、さっくりと柔らかく、そつのないリズムの流麗なる刻み、後年のスタイルそのまま、この時点にて完成されております。スタイリッシュともいえるが、上手く流した(まとめた)、と言えなくもない。いずれにせよ、アンサンブルやら各パートの完成度はたいしたものでしょう。もっと華やいだ世界があってもよろしい。

 第3楽章「野の風景」。この静謐な楽章は新しい録音で聴くべきものでしょう。次の楽章がお祭り騒ぎだから、こんな落ち着いた、気怠い配置は必要なんだけど、子供の頃のワタシはこの楽章途中で厭きてしまったものです。”さっくりと柔らかく、そつのない”、”スタイリッシュともいえるが、上手く流した(まとめた)”前楽章と同様の印象であります。ムーディな雰囲気たっぷり、但しオーケストラはフィルハーモニア管弦楽団だから、コールアングレと舞台裏のオーボエの清涼な響き(羊飼いの歌)、弦もホルンも同様で粘着質サウンドに非ず。ここまで、いかにも”7分の力の込め方”?と感じます。ツボは押さえて、時にオーケストラを煽って(途中の劇的盛り上がりのテンポ・アップ!)、とにかく上手いんだけれど。残り2楽章は一気呵成というか、山はそちらにありました。

 第4楽章「断頭台への行進」 。ティンパニの扱い、リズムのメリハリ、金管の絶叫〜カラヤンのワザ全開の楽章。優秀なオーケストラの機能を自在にコントロールして朗々と歌う。見事にオーケストラは大爆発して、ギロチンの切れ味鋭く処刑実施。第5楽章「魔女の夜宴の夢」に入って、鳴り響く金管の華やかなこと!躍動する木管リズムの見事なこと!鐘の音は種々様々録音によって色が変わるが、ここでは意外とオーソドックスなチューブーラベル?がいかにも鐘を模倣してエエ感じです。荘厳なる「怒りの日」金管パロディも圧巻に決まって、重量感抜群。

 好んで聴く作品ではないが、全体通して”上手いなぁ”といった手応え有。フィルハーモニア管弦楽団はもちろんだけれど、カラヤンの統率も見事。テンポ設定にムリがない、わかりやすく聴かせる、といった点で超一流の人だったんでしょう。堪能いたしました。但し、魂が震えるほど!感動した、というのとはちょっと違って、何度でも聴きたいとは思いませんが。

 蛇足。自主CDでは収録が余るので別音源収録。

 Franck 交響詩「プシシェ」〜「プシシェの眠り」〜ニコル・マットル/スコットランド・シンフォニア(Scottish Sinfonia)・・・滅多に聴くことのできぬオーケストラであり、そう上質なアンサンブルでもないが、静謐で美しい旋律を愉しめます。

(2011年6月10日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi