Beethoven 交響曲第2番ニ長調(ピアノ・トリオ版/カナディアン・トリオ)/
七重奏曲 変ホ長調(クラリネット・トリオ版)


CASCADE ama@do classics 02200/47 Beethoven

ピアノ・トリオ ニ長調 作品36(交響曲第2番ニ長調より編曲)

カナディアン・トリオ(ジェイム・ワイセンブラム(v)/ニナ・トビアス(vc)/グロリア・サーリネン(p))

クラリネット・トリオ 変ホ長調 作品28(七重奏曲 変ホ長調 作品20より編曲)

ユルゲン・デムラー(cl)/ペーター・グラビガー(p)/マーカス・ティリエ(vc)

CASCADE ama@do classics 02200/47 87枚組

 Beeやん作品、ほぼすべて網羅した87枚組は入手数年、半分も聴けておりません。廃盤になったみたいですね。Bach 、Mozart 、Beethoven 、Brahms 、Bruckner、Mahler 、Stravinsky辺りはとにかく全曲棚中に揃えて、ことあることに参照する、といった姿勢でCD収集いたしました。ほぼ、ということであればSchubert 、Schumann、Sibelius 、Bartok、Scho"nberg、Elgar、Vaughan Williamsも同様、すっかり贅沢になったものだ・・・感慨しきりの今日この頃、集中力減退して、子供の頃の無垢な感動を忘れても、時にこんな素敵な発見と出会えます。

 誰でも知ってました?秘曲でしょうか。先日Mahler 声楽作品の室内楽伴奏版を拝聴したけれど、聴き馴染んだ作品のエッセンスが抽出され、骨格が明快に浮き出て、とても”姿”がわかりやすい。お恥ずかしくもBeeやん熱心聴者ではないワタシ、それでも交響曲第2番ニ長調は、青春の息吹に溢れ、清々しい作品と感じます。これがヴァイオリン、チェロ、ピアノ、このシンプルな三重奏でも作品の持つイメージ、色彩、スケール、迫力そのままに聴き手に伝わって驚かされます。

 Canadian trioって室内楽方面には暗いのでようわからぬが、この録音を聴く限り、溌剌とした技巧を誇って、例の美しい第2楽章「ラルゲット」など、デリケートかつ奥床しい歌に充ちております。第3楽章スケルツォ〜終楽章に於ける快活なユーモアにも文句なし。

 ”眉間に皺”的イメージのBeeやんも、七重奏曲 変ホ長調 作品20では上機嫌、明るい世界を作り上げております。所謂ディヴェルティメント(嬉遊曲)でっせ。原曲ではクラリネット、ファゴット、ホルン、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、色彩豊かな編成だけれど、サウンドの色合いはクラリネットに任せて、低音部はチェロを残し、残りすべてピアノに集中させる荒業にて、みごとな”編成縮小版”を完成させております。

 先の作品同様、作品の魅力は縮小しないのが凄い。ユルゲン・デムラー(cl)はたしか南西ドイツ放響のメンバーであったと記憶するが、やや硬質な音色、正確な技巧であります。第1楽章Adagio - Allegro con brioはモウレツなる推進力、第2楽章Adagio cantabileは原曲でもクラリネットが活躍する美しい旋律、これが凝縮された伴奏に乗っていっそう際立ちました。第3楽章Tempo di Menuetto - Trioは誰でも知っている、牧歌的な旋律にて歩みます。第4楽章Tema con variazioni : Andanteのテイストもよう似ておりました。

 第5楽章Scherzo-Trio - Allegro molto e vivaceは軽快リズミカルな躍動、ピアノが大活躍。終楽章Andante con moto alla marcia-Prestoは深刻かつ荘厳な出足、これがすぐに破顔一笑、前楽章の軽快リズムが戻って愉快に音楽は進みます。原曲ではヴァイオリン(カンデツァ風)やホルンが活躍するんだけれど、ピアノ(これはこれでみごと)やチェロに置き換わっているのは少々残念?もともと音楽の柄が大きいせいか、三人では少々力みも目立ちました。全体としてその傾向かも。やや生真面目な力みが、ちょっぴり感じられました。

 音質は両曲とも良好であります。

(2012年9月30日)


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written by wabisuke hayashi