Beethoven 交響曲第9番ニ短調「合唱付き」
(ダニエル・バレンボイム/ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団)
Beethoven
交響曲第9番ニ短調「合唱付き」
ダニエル・バレンボイム/ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団/ケルン大聖堂声楽アンサンブル/アンヤ・ハルテロス(s)/ヴァルトラウト・マイヤー(ms)/ペーター・ザイフェルト(t)/ ルネ・パーペ(bbr)
DECCA 4783511 2011年
日本の年末は「第九」でしょう。
West-Eastern Divan Orchestraは1999年創立。イスラエルとアラブの音楽家が集まって一つのオーケストラで演奏するというアイデア、ガザ地区への攻撃が激化しても、今年2024年も欧州ツァーを実施しているそうです。きっと立派なパトロンがいらっしゃるのでしょうね。創立者の一人であるバレンボイムも高齢となり、この先の活動はどうなることでしょうか。たしか息子がコンマスだったはず。これはケルンで録音された全集より、英DECCAの録音を期待したけれど、豊かな残響と会場の雰囲気は感じられるものの、音質はいまいち鮮明さを欠きました。この名曲の編成は意外とオーソドックスな二管編成+終楽章にはピッコロ、打楽器にはティンパニの他にトライアングル、シンバル、バスドラムが入ります。不遜にも自分は第4楽章(合唱付き)には前楽章との関係に違和感有、第1−3楽章はBeeやん白眉の魅力と感じておりました。
古楽器の闊達なリズム、素朴な音色に各パートの個性がクリアに浮き立つような親密な演奏が嗜好だけど、これは重厚長大系の立派な構え、かつてのようなテンポの動きは比較的少なくなりました。W=ED管弦楽団は技術的には立派だけれど、固有の個性的な色とか味わい、深みや色気には足らぬ若者集団。いつも感じることなんやけど、バレンボイムは表情や色彩がのっぺりして、変化や陰影ニュアンスが足りないと感じます。ファンの方に申し訳ない。こどもの頃からの馴染みの作品だけど、これはほんまに新時代を切り拓く新機軸満載の巨大なる作品と感じます。
第1楽章「Allegro ma non troppo, un poco maestoso」宇宙よりなにか得体のしれぬ神秘が降ってくる・・・カッコ良い始まりのところ。やがてオーケストラ渾身の爆発もいまいち響きが美しくない。音質印象か?濁った感じ。熱気と入れ込みは充分伝わります。(17:08)
第2楽章「Molto vivace - Presto - Molto vivace - Presto」ここは激しい、叩きつけるような情熱リズムを期待。細かい音型が躍動する、これも革新的なところですよ。ここのキレ味と爆発的な迫力も今一歩かなぁ。(12:21)
第3楽章「Adagio molto e cantabile〜」は延々たる瞑想の変奏曲にホルンの活躍が聴きもの。ド・シロウトの感慨だけど、Bruckner 交響曲第7番ホ長調第2楽章「Adagio」辺り、この霊感たっぷり反映していると感じます。よく整ったアンサンブルに流れもよろしく美しいけれど、各変奏ごとの表情や色彩の変化に足りない・・・肝心のホルンの音色がオモロない・・・すみません。他のパートも個性と自己主張が足りない感じ。(16:44)
第4楽章「Presto〜」管楽器の不協和音から、やがて「歓喜の歌」主題はゆっくりと開始、自在にテンポを上げて「おお友よ!」へ、この辺りはいつものバレンボイムらしい決まり方。Peter Seiffert(1954−独逸)はカッコ良いですよ。声楽陣は充実して、先に「音質はいまいち鮮明さを欠」くと書いたけれど、合唱はクリアに分厚く響いてリズミカルにテンポ・アップして高揚、これほどの感銘も久々。(管弦楽の音質印象は変わらない/せっかくの打楽器土耳古趣味も際立たない)この楽章はバレンボイムらしく、たっぷりテンポを動かして、なかなかそれが決まってピッコロ打楽器も活躍して賑やかに熱狂的な締め括りでした。(25:36) (2024年12月14日)
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