Beethoven 交響曲第3番 変ホ長調「英雄」
(ジョージ・セル/クリーヴランド管弦楽団)
Beethoven
交響曲第3番 変ホ長調「英雄」
Mozart
ピアノ協奏曲第25番ハ長調K.503
レオン・フライシャー(p)/ジョージ・セル/クリーヴランド管弦楽団
1957年録音 パブリック・ドメイン音源をネットより入手(おそらく.mp3)写真はSICC-20100
2014年3月、インフルエンザB型に罹患、朦朧とした意識の中、頭痛耳鳴りも酷く、数日間寝たきり、苦しみました。快復期に音楽を聴けるようになっても、心身ともに未だ本調子に非ず、どうしても昔馴染み、安易に自分の中に評価の定まったもの(作品演奏)になりがち・・・これは我が自主CD作成中、最初期のものであり、現在ならもっと良好なネット音源もあることでしょう。年代を勘案したら驚異的、少なくとも現役水準(サウンドの肌理は粗い)、オリジナルだったらさぞや・・・といった立派なものでしょう。
歴史的音源やら、1960年代初頭評価の定まった(?)音源も自由自在、いつでも無料拝聴可能な時代となりました。十数年前”市井のサラリーマンに廉価盤を!”大仰に叫んで【♪ KechiKechi Classics ♪】を立ち上げた意味も雲散霧消いたしました。シューリヒト、クリュイタンス、カラヤンもセルも、ワルターもクレンペラーもBeeやん全集だったら、もう実質上タダですもんね。有り難い時代に至って、なんや有り難みも、聴き手の根性も薄れたような・・・閑話休題(それはさておき)
ジョージ・セル入魂の2つの和音から第1楽章「Allegro con brio」始まりました。アンチ古楽器な方は、ここの力感不足を嘆くのですね。自分はやんわり軽妙な開始でも全然かまわぬけれど、たしかに2つの和音はぴたり! 息が合って凄い集中力、切れ味にて開始。シンプルなチェロによる第1主題提示から颯爽として速めのテンポ、サウンドは明るく、引き締まってスリム、重苦しさ皆無のアツいダッシュとノリであります。使用楽器とか楽譜さておき(こちらド・シロウトは要らぬ言及不可)センスはモダーンそのものであって半世紀以上前の”古臭さ/時代遅れ感覚”皆無、時に大胆なテンポの揺れも充分効果的、金管の思わぬ大爆発!木管のニュアンスにあふれたアンサンブル、縦線のリズムの合い方は尋常な水準に非ず。
個々のパートの個性が突出しないから一聴”滅茶苦茶上手い!”ように聞こえぬけれど、じつは滅茶苦茶上手いオーケストラ。贅肉のない、血色よろしいバランス体型であります。提示部繰り返しなしは残念、でも聴き手はこの緊張感(の繰り返し)に疲れてしまわぬか・・・そんな配慮かも。
第2楽章「葬送行進曲(Adagio assai)」〜多くの人々に愛される楽章であり、先日もネットにてダニエル・バレンボイムのスカラ座”クラウディオ・アバド”追悼演奏音源を聴いたばかり。この楽章を苦手としていて、できれば淡々と〜それこそ古楽器系演奏風軽快サウンド表現が望ましい〜ここでのバランスも特筆ものであり、詠嘆に歌いすぎず、情感ニュアンスに不足せず、引き締まったサウンドは中庸なテンポを維持して粛々と進みます。これ以上のドラマを望まれる方は、オーケストラの素直な響きも含め不満があるかも知れません。なんせ一定の年齢以上はフルトヴェングラー刷り込みですから。
第3楽章 「Scherzo(Allegro vivace)」。快速テンポ+肌理の細かいニュアンスを以って、肩の力が抜けた流麗な演奏。トリオのホルンは上手いもんっすよ。いえいえ、どのパートも文句ないのだけれど。第4楽章「 Finale(Allegro molto)」ここは作曲者お気に入り、あちこちの作品に引用される著名な主題が、自在に変容される天才のワザ。ここも速めのテンポ、筋肉質に躍動するリズム感であります。Beeやんって変奏曲の天才っすよ、フクザツな音楽を愉しく、わかりやすく聴かせるといった意味に於いて(変奏曲のみ)Mozart より上かも。ジョージ・セルのテンションの上げ方、緊張感の維持、抜き方、縦線の合わせ方は尋常なる水準に非ず。ラスト迄、たっぷり細部迄愉しませて下さって・・・疲れ果てました。
ジョージ・セルはいつも正しい。正しいBeethoven 。いつもと同じ結論也。但し、病明け途上のせいか?ラスト迄集中すると少々音質の不備が耳に付きました。高音質CD入手さておき、少なくともうちょっとマシな(.flac)音源見つけて再度自主CD化しようかな?レオン・フライシャーのMozart はある意味、もっと輝かしい、天使のような世界なんだけど、コメントする体力尽きました。 |