Beethoven ピアノ協奏曲第1番ハ長調(中島皇恵(p)/レト・チュップ/ニュルンベルク交響楽団)
ヴァイオリン、チェロとピアノのための三重協奏曲ハ長調


CASCADE ama@do classics 02200/6 Beethoven

ピアノ協奏曲第1番ハ長調

中島皇恵(p)/レト・チュップ/ニュルンベルク交響楽団

ヴァイオリン、チェロとピアノのための三重協奏曲ハ長調

コンラート・フォン・デア・ゴルツ(v)/ヤン・ポラチェク(vc)/キルスティ・ヒョルト(p)/オトマール・マーガ/ニュルンベルク交響楽団

CASCADE ama@do classics 02200/6 87枚組

 ニュルンベルク交響楽団は1946年戦後創立のコンサート・オーケストラだそう。2009年に来日していて、映画音楽辺りでも活躍しているらしい。本拠地は「Meistersingerhalle Groser Saal」。1960年代の録音かな?残念ながら上質なアンサンブルとは言いかねる、やや雑然とした(情けない、薄い)響きであります。中島皇恵さんは1971年以降欧州を基盤として活躍されている・・・とのことだけれど、正直なところその後の様子詳細わかりません。Beethoven のピアノ協奏曲を数種録音されていて、全集になっているとのこと。87枚ボックスでは残念ながら彼女の音源で全曲揃っておりません。第1番と第5番のみ。

 ピアノは瑞々しく、ややゆったりとしたテンポ、優雅にのびのび歌っております。全部で35分ほど。中低音に腰と厚みがあって、技巧のみ先鋭化させてバイバリ弾くようなタイプじゃない。不勉強なので第1楽章カンデツァは誰の作かは知らぬけれど、流麗かつしっかりとした流れの良いもの。惚れ惚れするほど流れは自然です。第2楽章「ラルゴ」は、粒立ちは揃って、柔らかい(しかし芯はちゃんとした)タッチでしっとり歌っていて、絶品であります。これでオーケストラがもっと洗練されていたら・・・

 終楽章「ロンド」も歩みを急がない。走りすぎて、力んだり、曖昧に流した表現に至らぬよう配慮された出足。明るい暖かいピアノの音色は優しく、足取りはしっかりとして、やがてじょじょに熱気とノリが全体を包みます。あまりよろしくない録音だけれど、ピアノだけはしっかり、美しく存在を主張しております。ラスト前、テンポをいったんしっかりと落として、フィナーレに突入するワザも決まっております。エエ演奏だ。

 三重協奏曲は、コンラート・フォン・デア・ゴルツが主役であって、彼の室内管にはけっこう録音もあります。苦手Beeやんの中では意外と聴く機会の多かった作品だけれど、カラヤン+往年の大巨匠との競演を聴いてから一気に苦手となりました。これも上記とは雰囲気異なるが、やはり音質もアンサンブルも上質とは言い難い。響きに濁り有。ちょいと洗練からは離れている感じ。

 チェロ、そしてヴァイオリンは神経質で線が細い。このシンプルな旋律の作品には、こんなタイプのほうが似合うんじゃないでしょうか。ピアノは少々無遠慮で、最初、アンサンブルに溶け込めていないような印象を受けました。ま、各々ソロが勝手に弾いている風でもあり、やや木訥としてノンビリとした味わいは作品に似合っているでしょう。第2楽章「ラルゴ」に於ける落ち着いたテイストは悪くないけど、チェロはあまり上手くない(美しい音色ではない)な。やがてピアノが静かに参入して、名曲だと思いますよ。素敵な緩徐楽章也。ああそうだ、ここら辺りがお気に入りだったんだな。久々に聴いて思い出しました。

 やがて、そのまま途切れずに終楽章へ。懐かしさと春の目覚めを思わせる、うきうきとしたフィナーレへ。あまり冴えたリズムじゃないけれど、棚中には作品常備(いつでも聴ける状態)が必須なんでしょう。新たな演奏を入手しようとは思わぬが(そういえばオイストラフ/オボーリン/クヌシェヴィツキのステレオ録音を持っていたな)

(2011年4月22日)

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written by wabisuke hayashi