Beethoven 交響曲第5番ハ短調/Schubert 交響曲第8番 変ロ短調
(シャルル・ミュンシュ/ボストン交響楽団)


RCA GD86803 Beethoven

交響曲第5番ハ短調 作品67
序曲 レオノーレ第3番 作品72b(1956年)

Schubert

交響曲第8番 変ロ短調「未完成」

シャルル・ミュンシュ/ボストン交響楽団

RCA GD86803 1955年録音  中古500円で購入

 これはLP時代からお気に入りでした。以前から”ヨロしからぬ、濁った音質”との印象がありました。十数年ぶりにCDでの再聴を果たしたが、LP時代の記憶より音質ややマシかな・・・って、モノラルじゃないの?コレ。2005年RCAがこの音源をSACD化するとのこと。じつはちゃんとした”ステレオ・マスター”が存在して、それは初CD化であるらしい。ほんまは優秀録音!かもね。果たして「印象一変!」なのでしょうか。(調べてみると既にXRCD化〜なにこれ?3,465円!〜されているそう)

 で、とにかく「運命」第1楽章から。快速(実際はそれほどに聞こえない)、溌剌、推進、熱狂、汗水、繰り返しなしは・・・残念〜だけれど、ミュンシュの個性だと(繰り返しは)必要ないような気もしますね。第2楽章「アンダンテ」にも爽快で流れがよろしい。立派な演奏ではあるが、ネアカでして、妙な深刻暗鬱さはないんです。時にテンポをためて旋律を強調したりすることもあるが、時代遅れの印象ではなくて、スマート、のびのびしたセンス有。

 ものものしく、怪しげな雰囲気表現も可能な「スケルツォ」だって、カルくはないが、どんよりとした重量感ではない。低弦の旋律はむしろ流麗で、ハズむような、サラリとした味わいさえ感じさせます。終楽章は、まさにミュンシュにピタリ!的開放感に溢れたもので、以前聴いたBrahms と同質性がありましたね。(繰り返しなしは残念)全体としてオーソドックスな表現だけれど、ややラフなアンサンブル、にこやかな表情が好ましい演奏でした。オーケストラの各パートにも色気がちゃんとある。

* Y氏より(いつもながら)詳細コメントいただきました。「響きが厚めに聞こえるのは、けっこう譜面に手を加えていて、第4楽章ではコントラファゴットにトロンボーンを、ファゴットにホルンを重ねているところがありました」感謝。

 最近、俄にマイ・ブームとなっている(Beethoven 一連の)序曲。レオノーレ第3番は、先の交響曲に負けず劣らず深刻な冒頭だけれど、意外とサラリと始まりますね。途中からの明るい表情は、さっぱりと楽しげであって、粘着質皆無。木管をはじめとして明るい音色で、軽快なる躍動有。ラスト一分半の”オーケストラ腕の見せどころ”は立派でしたよ。アッチェランドで畳みかけるところも、ミュンシュらしい。

 「未完成」は難物ですね。いったい、どんな演奏をして”名演”と評したらよいのか・・・いえいえ、たいていどんな演奏を聴いても「嗚呼、美しい旋律だな」とシミジミ状態に至ること保証付き。できれば”曲をして語らしめる”、残響豊かな会場と、中低音に重心のある自然体のオーケストラのサウンドを聴かせていただきたい。

 ミュンシュは彼特有の、煽って急いたような表現頻出!かと思ったら、そんなことはない。(このCDでは)音質ともかく、深遠なる荘厳な響きがジワジワと〜とは言えないが、静かで落ち着いた味わい深く、ボストン響は美しい。音質良い状態で、繊細な響きを確認したいものです。(2005年6月18日)


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written by wabisuke hayashi