Beethoven 交響曲第1番/第2番
(コンヴィチュニー/ゲヴァントハウス交響楽団)


CCC 0002172CCC-6 Beethoven

交響曲第1番ハ長調 作品21
交響曲第2番ニ長調 作品36
バレエ音楽「プロメテウスの創造物」序曲 作品43

コンヴィチュニー/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

CCC 0002172CCC-6 1960年頃録音  11枚組3,290円で購入したウチの一枚

 ケンペ/ミュンヘン・フィルの交響曲第2番/第6番を図書館で借りてみたら、これがとても良い感じでした。ここ最近、急速に好みが変わっているようで『「若い頃はステーキが好きだったが、最近は茶漬けがいい」みたいな感じですね。濃厚で威圧的に力強いものより、自然体で「細かいニュアンス」系に急速接近。』なんてメールにお返事しちゃうくらい。

 で、世評高いコンヴィチュニー盤に再トライ!って、なにぶん小心者ですので。自信ないんです。三千円某(11枚で。だけれど)も、もったいないし。第1/2番はLP時代この演奏で覚えたんですよ。(fontana コンサート・ギャラ・シリーズ1,200円〜グロリア・シリーズ900円が出る前)それはそれで(当時の)少年は喜んで聴いていたのに、中年のおじさん>ワタシ、は文句ばかり多くて困ったもの。


 「ゲヴァントハウスとの全集を一通り聴いた感想は、冷静、明快、地味、暗い、大人しい、音が足りない(?)、情熱不足、といったところ。オーケストラの個性は貴重だけれど、ワタシの好みではない」〜これ、以前に掲載したコンヴィチュニーの交響曲第6番評(かなり粗っぽい)。もう一年前なんだなぁ、まったく月日の経つのは早い。あまり意識して熱心にBeeやんを聴く方じゃないから、この箱を開けるのも久しぶりでした。

 結論的に初期の作品は、とてもよろしいということです。「英雄」も「田園」も「第九」もワタシは気に食わなかったが、ここではムダのない切りつめられた表現が作品に似合っていて、快い。この辺り「革新的なHaydn」といった雰囲気の作品で、やや時代遅れのフォーマル・ウェアをキチンと着こなして背筋の伸びた演奏なんです。

   第1番の序奏冒頭は木管の転調による、おそるべき新機軸の開始。やがてすべてのパートが絡んでアレグロへ突入します。木管の地味な音色が美しいが、心配だった弦は他の作品ほど高音の薄さは気にならないし、低弦の安定度は期待通り。金管が控え目なのはゲヴァントハウスのいつものスタイルか。

 落ち着きのある「ノリ」はちゃんとあって、テンポの適正感、よけいな飾り〜恣意的な変化ワザがないところも好ましい。第2楽章は、まるで古楽器演奏のような素朴さ(但し、穏健派演奏)が漂うし、メヌエットはリキみがなくて、少々のもっさり感も自然の範囲で悪くない。

 終楽章の淡々とした中に、自在な流れが感じられるのも悪くない。妙にナマナマしい色気を感じさせない演奏で、これは日常座右に置いて飽きない演奏かも知れません。声高な絶叫も存在しないし、リズムに切れ味あったり、アンサンブルの縦線がピタリと合う(そんな必要サラサラないが)ようなこともないが、これはひとつの個性だと思います。


 第2番はワタシはいっそう好みの作品だし、爽やかさを感じました。1960年前後でしょ。このスッキリ感は先駆的なものと思います。録音の問題かも知れませんが、弦(主旋律のヴァイオリン)の響きがやや刺激的。リズム感がモッサリ気味だったりするが、これは好みの範疇でしょう。

 爽やかさ、というのは細部が明快で、オーケストラの厚みを強調するあまり全体の響きがダンゴにならないということです。威圧的な絶叫を要求しないから、金管が抑制され、木管が地味(これはこれで美しい)なのは前曲と同じ。「リズム感がモッサリ気味」なんて悪口言ったが、それはそれとして自然な「ノリ」があるからたいしたもの。

 第2楽章「ラルゲット」はもっとも美しいところなんです。柴田南雄さんによると「よくコーラスにアレンジされる」とのこと。もっと思いっきりたっぷりと歌っていただいても結構と思うが、さきほど問題にした弦も含めてまったく問題のない美しさ。隠れ気味だったホルンの奥深さに、はっとする部分もあります。

 ややユルいが余裕のある「スケルツォ」(木管を楽しんでいただきましょう)、急いた感じがない終楽章の充実感。ここは最終盤の迫力が素晴らしい。センスとしては、たとえばケンペのほうがずっと現代的だけれど、テンポ設定に違和感など感じないし、録音水準もこの年代では出色、ややコンヴィチュニーを見直しました。


 「プロメテウス」序曲。ワタシはBeeやんの交響曲も敬遠気味だから、序曲はもっと聴く機会が少ない罰当たり者。わずか5分弱だし、せっかくのおまけだからありがたく拝聴しましょう。劇的な勢いのある作品・演奏だけれど、序曲といえばMozart の軽快な愉悦感に充ちた世界がワタシの前提にあります。(2002年10月5日)


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written by wabisuke hayashi