Bartok 2台ピアノと打楽器のためのソナタ
(Gilbert Webster, Jack Lees(per)/
Iris Loveridge, Wilfrid Parry(p)/Richard Austin)
コントラスツ(Jack Brymer(cl)/Wilfrid Parry(p)/Frederick Grinke(v))
Bartok
2台ピアノと打楽器のためのソナタ Sz.110(BB 115)
ギルバート・ウェブスター(Gilbert Webster 1906ー1978?別人情報かも)ジャック・リース(Jack Lees←息子?)(per)/アイリス・ラヴァリッジ(Iris Loveridge 1917-2000) ウィルフリッド・パリー(Wilfrid Parry)(p)/リチャード・オースティン(Richard Austin 1903−1989)
コントラスツ Sz.111(BB 116)
ジャック・ブライマー(Jack Brymer 1915ー2003)(cl)/Wilfrid Parry(p)/フレデリック・グリンケ(Frederick Grinke 1911-1987)(v)
Westminster XWN 18425 Released 1956
インフルエンザに非ず、ひどい洟水を伴う風邪に寝込んでおります。こうして音楽を聴けるくらいだからたいしたかことはない。日々音源を探してネットを彷徨う中毒症状、身動きできなくてもそれくらいは可能、保存したデータを点検整理していたら、こんな歴史的音源を発見しました。英国の名手ジャック・ブライマーさておき、世代をちょいと遡った初耳演奏家ばかり、1950年代前半と類推されるモノラル録音はほとんど驚異的に鮮明です。ソナタが1938年初演、コントラスツ(1939-40年初演)だから、この類の音楽として当時ほかほかの新作、正に現代音楽、それでもレコードは売れたのでしょうか。両作品とも、かつて聴いた中でヴェリ・ベストの演奏でした。
ゲルマニウム・ラジオって知ってますか。少年雑誌の付録に付いていて、それはおそらく小学6年生か中学生に入ったばかりだっけ?ワタシはAM放送の情けない音質(イヤホン片方)で「2台ピアノと打楽器のためのソナタ」と出会って、仰け反りました。おそらくは懇切丁寧な解説を聞いて、たった4人で巨大な音楽に仕上がることに驚いたもの。後年管弦楽伴奏版を聴いて、それは蛇足と感じた完成度。ピアノ2台による硬派な旋律リズム、打楽器の多彩な音色に心奪われます。爾来、どんなBartok作品を聴いても「リズムと色彩のみ」旋律は二の次(場合によっては、んなものはない!)と感じるように。
ド・シロウトに演奏云々できるはずもないけど、ピアノも打楽器も超絶技巧必須。<打楽器1>ティンパニ3、シロフォン、スネアドラム(2種)<打楽器2>シンバル(2種)、バスドラム、トライアングル、銅鑼〜タイヘンでっせ打楽器奏者、かなり忙しそう。特殊奏法もあるんでしょ?きっと。第1楽章「Assai Lent-Allegro molt」は不気味に静謐な開始から、熱狂するピアノと打楽器の掛け合い(合戦)に雪崩込みます。暴力的なビアノの打鍵(これだって打楽器だ!)に呼応して次々と音色を替える打楽器の多彩な響き。この切迫した緊張感、野蛮な風情に痺れますよ。「春の祭典」に比肩する魅惑の荒々しさ、傍若無人に激しくも大きな音楽。(11:49)
第2楽章「Lent ma non troppo(緩やかに遅く、しかしやりすぎないで)」。ここは緩徐楽章。「夜の歌」(?)とか、これは不気味なセレナーデやなぁ、ほとんど2時間ドラマのクライマックス、美しきヒロインに迫る危機!怪しくも幻想的な風情。たった4人とは信じられぬ、多彩な響きは消えゆくように最終楽章へ(5:51)。
第3楽章「Allegro non troppo」。なんやらちょっぴり明るく、解決感のある開始・・・かと思ったら、ノリノリの不気味な躍動であります。機嫌が良いのか無表情なのかわからん!無機的な不協和音が美しいと感じるのはBartokの個性、これって実演を見たらオモロイやろなぁ、とくに打楽器。ラスト、名残惜しげに小太鼓が退出していく風情も味わい深いもの。(6:15)
コントラスツが演奏的にもっと凄い!LP時代よりベニー・グッドマン(cl)/ヨゼフ・シゲティ(v)/バルトーク(p)(1940年)による"ほぼ初演(1930年)メンバー"による演奏を聴いてきたけれど、申し訳ないがこちらのほうがずっと上手い。テンポ速め、クラリネットのノリノリの熱気は桁が違う感じ。第1楽章「ヴェルブンコシュ」(Verbunkos/徴兵の踊り)(5:36)は茫洋として、淡々としたリズムにクラリネット・ソロの腕はたっぷりの見せ所。第2楽章「ピヘネー」(Piheno"休息)これも「夜の歌」なんだそう。ピアノのリリカルな味わいにフレデリック・グリンケ(v)、ジャック・ブライマー(cl)の明晰な技巧が際立ちます。(4:21)第3楽章「シェベシュ」(Sebes)は、通常聴き知ったテンポより速め、ヴァイオリン、クラリネットとも雄弁な大活躍は驚くべき技巧の冴えと疾走。シゲティを貶めるつもりはないけれど、こちらは爽快なほどの切れ味でっせ。(7:00) (2019年1月20日)
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