Bartok 組曲「不思議なマンダリン」/弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽
(スタニニスラヴ・スクロヴァチェフスキ/ミネソタ管弦楽団)
Bartok
組曲「不思議なマンダリン」(1976−77年)
弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽(1982年)
スタニニスラフ・スクロヴァチェフスキ/ミネソタ管弦楽団
VOXBOX CD3X 3015-2 1983/84年
10年掛けて棚中CD在庫は1/5へ、昨年秋に最終処分第1段としてダンボール5箱ほど中古屋さんに送付して2020年、更に追加処分に向けて準備しているうちにやってきたのが”コロナ禍”、もうムリかも知れません・・・閑話休題(それはさておき)更に引き隠って時間ができても音楽を聴けるワケじゃないのですね。25年ほど前入手3枚組2,450円との値札も残る懐かしいCDを久々に拝聴いたしました。このデザインは中国”大慈恩寺の玄奘三蔵像”、シルクロード関係の書籍を眺めたら出ておりました。
Stanislaw Skrowaczewski(1923ー2017波蘭→亜米利加)も逝っちまったなぁ、ミネアポリス交響楽団の音楽監督就任は1960年、1968年にミネソタ管弦楽団に名称が変わって1979年迄務めたらしいから、「弦チェレ」はネヴィル・マリナー時代の記録となります。音質にはちょっぴり疑念のあるVOXレーベルだけど、これは別音源の買取り?(Elite Recordings)らしくて、けっこう昔より音質良好で話題になっていたはず。
組曲「不思議なマンダリン」(中国の役人との訳が多い。≒宦官との説も)はわずか19分ほど(強盗2:39-少女7:59-マンダリン-8:23)の抜粋、全曲版は30分ほどだからLP収録だって可能だったはず、残念です。三管編成、8種の打楽器(6人)にチェレスタ、ピアノ、ハープにオルガン。Wikiには混声4部合唱とあるけれど、全曲のみの登場でしょう。重低音を響かせるオルガンも抜けているのかも。実演では組曲版のほうが演りやすいことでしょう。これは恐るべき野蛮な筋書き+音楽、初演は1927年(ケルン)。「春の祭典」(1913年初演)の影響もあるとのこと。
美人局(つつもたせ←味わいある日本語やなぁ)により、怪しいマンダリンを誘ってめった刺しにしてもなかなか死なない凄惨さ、そりゃ初演で揉めたでしょうね、当時。鮮明な音質+整ったアンサンブル、テンションの高さ、緊張感の維持、”味のなさ”が時に気なるミネソタ管弦楽団は絶好調。スクロヴァチェフスキの神経質な統率、粗々しくも激しい作品には、こんな色付け個性が薄いサウンドが似合うのかも。この作品と出会いはクリストフ・フォン・ドホナーニ(1979年ウィーン・フィル)味付け濃い金管に魅了されたけれど、こちらの切れ味に遜色を感じません。アツい迫力音楽に間違いないけれど、指揮者は常に全体バランスを考慮して常にクール、青白くクリアに燃えております。かなり爽快。
Stravinskyのバレエ音楽「火の鳥」1919年版みたいなものか、できれば全曲しっかり聴きたかったもの。
「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」は例えばフリッツ・ライナー(1958年)ピエール・ブーレーズ(BBC交響楽団1967年)辺りからの刷り込み音楽。おっそろしい音楽やなぁ、管楽器を伴わぬ色彩的にジミな作品だけど、リズムの面白さ、厳しい表情を湛えた傑作中の傑作。
暗く地底をうごめくような第1楽章「Andante tranquillo」は静謐な弦のみ、怪しくも息詰まるような緊張感が支配しております。(7:45)第2楽章「Allegro」はリズミカルにカッコ良く打楽器やチェレスタが参入して軽快な各パートの掛け合いは・・・やはり怪しい。弦のピチカートは効果的です。(7:40)第3楽章「Adagio」は日本の厳冬芸能舞台の幕開けのような拍子木から始まって、ティンパニの音階の変化(どういったワザなのでしょう?)、種々だ活気チェレスタの参入、弦の旋律は静謐な恐怖を湛えます。(8:27)第4楽章「Allegro molto」は明るい風情にノリノリ、民族的泥臭い旋律リズムにバロック風合奏協奏曲な風情が漂います(7:23)。
先の「マンダリン」同様凡百な演奏に非ず、集中力とアンサンブルのテンションに間違いはないけれど、ちょっぴり”弦が弱い”味が薄いと感じます。上手いけど凄さに迄至っていない、シンプルなストレート表現にサウンドがヤワい感じ。 (2020年4月19日)
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
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