Batock ケルティック交響曲/音詩「アトラスの魔女」/
音詩「海の略奪者」/ヘブリディーン交響曲
(ヴァーノン・ハンドリー/ロイヤル・フィル)


Hyperion CDS44281 Batock

ケルティック交響曲
音詩「アトラスの魔女」
音詩「海の略奪者」
ヘブリディーン交響曲

ヴァーノン・ハンドリー/ロイヤル・フィル

Hyperion CDS44281 1990年録音

 日本では英国音楽はまったく人気はなくて、さらにGranville Bantock(1868-1946英国)だったら日本ではまったく知名度がない。この世代にして保守的に優雅な美しい旋律連続、音楽を愛するものとして、あまり著名ではない作品に見聞の幅を広げる試みは大切な行為でしょう。音質良好、Vernon Handley(1930ー2008英国)の統率にいささかの疑念もなく、ロイヤル・フィルも好調でした。

 弦楽と6台のハープのための作品である「Celtic Symphony」。ケルトという概念がなかなか理解できないけど、穏健かつ時にリズミカルな舞曲も登場して民謡風、まるでVaughan Williams風の静謐な5楽章。(「Lent sostenuto」3:11-「Allegro con fuoco」7:10-「Andante con tenerezza」4:55-「Port-aーBial:Allegro con spirito」1:28*ここはちょっぴりユーモラスな舞曲-「Largamente maestoso」3:00)正直なところどこがどう「ケルト風」なのかさっぱりわからない。さっきのユーモラスな舞曲がそれかも。

 「アトラスの魔女」は英国では有名な詩(P. B. Shelley)らしい(けど、こちらまったく知識はありません)A lady-witch there lived on Atlas mountain(2:07)Tis said, she was first changed into a vapour(2:18)And old Silenus, shaking a green stick(2:36) And every nymph of stream and spreading tree(1:32)For she was beautiful(1:01)The deep recesses of her odorous dwelling(0:32)And then she called out of the hollow turrets(1:53)To those she saw most beautiful(2:53)8つの部分から成って、デリケートに懐かしい晴れやかな旋律が続きました。

 「海の略奪者」はほんの3:53、短く快活な緊張感漂う華やかな作品。ここの金管の活躍が爽快でした。

 これはもともと「ヘブリディーズ交響曲」の一分となる構想だった〜とはカスタマー・レビューから得た情報です。ヘブリディーズ諸島はMendelssohnの序曲「フィンガルの洞窟」描写が有名。これはいかにも茫洋としてこれも静謐な広がり、時に抑制したユーモア、スケールの大きな作品は自然の描写をしっかり感じさせるもの。第1楽章「Tranquillo, molto sostenuto」(7:26)第2楽章「Con moto」(3:01)第4楽章「Animando」(5:41)第5楽章「Poco lento」は嵐の場面ですか?やがて金管による壮麗なるファンファーレが響いて、この辺りロイヤル・フィル余裕の金管実力面目躍如、圧巻の輝かしいクライマックスがやってきました。ラストは安寧の静謐に収束、これも英国らしい。(3:23-3:28-3:51-2:51-2:08-3:20)

 メリハリやら爆発のない粛々と落ち着いた音楽はちょっとつかみどころがない感じ。これは英国音楽一般に云える特徴でもあります。

(2024年8月17日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
▲To Top Page.▲
written by wabisuke hayashi