Bach  ピアノ協奏曲集


Bach .J.S.

ピアノ協奏曲ニ短調BWV1052
P.エゴロフ(p)

ピアノ協奏曲ニ長調BWV1054
ピアノ協奏曲ヘ短調BWV1056
O.マロフ(p)

2台のピアノのための協奏曲ハ短調BWV1060
クスタリョーヴァ、マロフ(p)

ティトフ/ザンクト・ペテルブルグ「クラシック・ミュージック・スタジオ」管弦楽団

Infinity Digital   QK57720   800円くらい。

 おそらく1990年頃の録音でしょう。「Infinity Digital」シリーズとして、全22枚のリリースがされていたらしく、そういえば当時そのレコード屋さんの棚にシリーズで並んでいました。ロシアの政治的・経済的混乱に乗じた、デッチ上げ臨時編成の団体録音集の可能性大。貴重です。今何処。

 バッハのクラヴィア協奏曲はLP時代からお気に入りでした。ドルー・デイヴィスなんかも参加していた)。CDでもたまる一方で、ジャコッテ(VOXBOX CD3X3018 3枚組)、ミュラー・ブリュール盤(NAXOS)、コープマン盤(ERATO)など手元にあります。ピアノによる演奏も世間では現役。バッハの素晴らしい音楽は、楽器や演奏スタイルを問いません。グールドによる演奏ももちろんOK。

 正直云って、バッハのピアノ協奏曲はなんでも、どんな演奏でも好きなんです。1985年トロントの「バッハ・コンクール」(A.デイヴィス/トロント響がバックを務めていた)のFM録音テープはいまでも宝物で、若いピアニスト達の素直な演奏にも感動しました。1992年の「カガン追悼コンサート」における、リヒテルの第3番と第7番の演奏も、なんの変哲もないピアノのように聴こえながら深く胸を打ちます。最近、あまりウサワを聞かないガブリーロフの(若い頃の)CDも楽しめる。

 パーヴェル・エゴロフという人、日本にお弟子さんもいらっしゃるピアニストだそう。ニ短調協奏曲は、一歩間違えれば大味な演奏になりがち。タッチは明快で力強く、弾き崩しもないオーソドックスなもの。(やや力みすぎか)スケール感もあります。しみじみとした情感を感じさせる、アダージョの静けさも悪くない。

 マロフは音の粒だちがきれいで、もっとストレートでソフトタッチ、淡々と弾いていて好感を持てます。特別な個性でもないが、バッハの魅力はタップリ伝わります。ニ長調協奏曲を間延びせずに聴かせるのはワリと難しいはず。ヘ短調協奏曲の第2楽章ラルゴって、ほんの3分ほどの短い曲ですが、珠玉の名旋律ですよね。

 ハ短調協奏曲は、有名なオーボエとヴァイオリンのための協奏曲と同一旋律。バッハの作品中、ひときわ感動深い哀愁の旋律。二人のピアニストの音形がよく捉えられていて、バッハの多彩な旋律が堪能できる演奏です。右がマロフかな?最近の、弾むようなリズム感ではなく、一昔前の優雅な、ややノンビリとした演奏スタイルながら、こういう演奏も悪くない。

 どの演奏も特別なアドリブなど駆使していませんが、これはこれで楽しめます。「クラシック・ミュージック・スタジオ」管弦楽団は、まあまあふつうの水準でしょう。水際だったアンサンブルでもありませんが、臨時編成にしては上出来。録音は極上。72分弱収録のお徳用盤。


 その後・・・・。古本屋さんで「FELISSIMO MUSIC」とかいうレーベルで、ここら辺りの録音を使ったCDを発見。このHPにも二つほど掲載しています。あとで気付いたのですが、「FELISSIMO」って、通販の会社ですよね。(女房の通販のカタログを目撃して発見)音源の流出先というのもいろいろあって、ある意味感心しました。(2000年9月30日更新)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi