Bach 作品集 (アンドレアス・セゴヴィア(g))


Membran 223504 Bach

リュート組曲第1番ホ短調 BWV 996より「アルマンド」(1928年)「サラバンドとブーレ」(1947-49年)
プレリュード ハ短調 BWV 999 (ポンセ編曲)(1928年)/ プレリュード ハ短調 BWV 999(1947-49年)
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番ト短調 BWV 1001 (セゴビア編曲)より「フーガ」(1928年)
無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番ニ短調 BWV 1004より「 シャコンヌ」(1947-49年)
無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番ホ長調 BWV 1006 (セゴビア編曲)より「 ガヴォット」(1927年) / 「ガヴォット」(1947-49年録音)
無伴奏チェロ組曲第1番ト長調 BWV 1007(ポンセ編曲)「 プレリュード」(1935年)
無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調 BWV 1009(セゴビア編曲)「クーラント」(1927年)/「クーラント」(1947-49年)
無伴奏チェロ組曲第6番ニ長調より「ガヴォット」(1947-49年)

アンドレス・セゴビア(g)

Membran 223504/1

 Andres Segovia(1893-1987)はギターに於けるカザルスみたいな存在なんだそう。これは彼の録音8枚分+新しい後の人達による2枚=10枚組、激安(1,000円)で発売されたもの。ふだんギターだったらせいぜい「アランフェス」程度、あとは現代の電気楽器しか馴染んでいないド・シロウトにも触手が動いたものです。これはその一枚目、Bachばかり揃えたもの。いずれ太古録音は意外と聴きやすい音質(ばらつき有)、「プレリュード」「ガヴォット」「クーラント」は二種揃える徹底ぶりです。大音量の近現代管弦楽作品を聴いていると、こういった静謐内省的な音楽が聴きたくなるもの。

 リュート組曲第1番ホ短調 BWV 996は6楽章からなって、ここでは第2曲、第4・5曲が演奏され、とつとつと哀しい「Allemand」、堂々たる「Sarabande -Bouree」、ニュアンス豊かな表情と細部テクニックが聴き取れます。プレリュード ハ短調 BWV 999はご丁寧に新旧収録され、劇的なアルペジオに驚かされました。1928年!録音の方に鮮度を感じるもの驚き。

 「フーガ」は無伴奏ヴァイオリン・ソナタ中でも著名な旋律、快速テンポにてさっくり仕上げた4:23はSP時代の収録の制限か(音質はびっくりするほど鮮明)。次がこのCD中の白眉「シャコンヌ」〜名曲中名曲はオリジナルのヴァイオリンであれ、Busoniのピアノ編曲であれ、管弦楽編曲であれ、泣き崩れそうになるほど深遠な哀しみに包まれる12分、これも咳いたような前のめりのテンポ、思わぬ濃い表情、音色とタッチの変化、響きの厚みを感じます。イエペスの端正な表現に比べて、こちらかなり自在な揺れ動きがありました。

 (無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番ホ長調BWV1006)「 ガヴォット」も新旧収録、晴れやかな作品を揺れ動く浪漫で聴かせてくださいます。(これも不思議に1927年のほうに鮮度を感じる)無伴奏チェロ組曲第1番ト長調の「プレリュード」はまるでギターのために作曲されたような素敵なアルペジオ、第3番ハ長調の「クーラント」の軽快さはオリジナルを忘れさせるほどデリケートなもの。(これも新旧収録/音質以外ようすは変わらないけど)第6番ニ長調の「ガヴォット」って、先の「ガヴォット」とクリソツの晴れやかな作品でした。

(2016年6月19日)

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written by wabisuke hayashi