Bach 管弦楽組曲第3番ニ長調BWV 1068/第4番ニ長調BWV 1069
(ヘルムート・リリング/オレゴン・バッハ音楽祭管弦楽団/
Oregon Bach Festival1992年)


Henssler 98009 Bach

管弦楽組曲第3番ニ長調BWV 1068
管弦楽組曲第4番ニ長調BWV 1069

ヘルムート・リリング/オレゴン・バッハ音楽祭管弦楽団

Henssler 98009 Oregon Bach Festival1992年

 かつて古楽器にばかり入れ込んでHelmuth Rilling(1933ー独逸)について

あまりに保守的に過ぎて、もう聴かないかも、と罰当たりな感想を抱いたこともありました。表現はやや四角四面、豊かに鳴り響くBach
そんな失礼なことを書いたこともありました・・・やがてモダーン楽器古楽器問わず、過激なリズムを刻んでもオーソドックスに穏健でも各々味わいがある、太古録音大カンチガイ重厚巨魁な表現さえ許容できるようになりました。それでもBachはBach、音楽の骨格や本質的な魅力は揺るぎません。オレゴン・バッハ音楽祭管弦楽団はムリのない軽快に洗練された小編成モダーン楽器アンサンブル、音質は極上でした。名曲ですよ、文句なく。

 こどもの頃から馴染んだ管弦楽組曲第3番イ長調、出会いはヘルベルト・カラヤンだっけ(1964年)ロリン・マゼールだったかも(1965年/この音源には未だ再会できず)当時の記憶とイメージではすごく立派な、弦+通奏低音(ファゴットも聴こえる)+トランペット3本+オーボエ2本+ティンパニが加わって、たしかに大柄に演奏したくなるところでしょう。かつてトレヴァー・ピノックの快速演奏(1978年)に出会って、驚愕! いったい楽譜はどうなっているか、譜読みとはなんのか?疑念に感じるほどの違い(快速シンプルに小味)に衝撃を受けた記憶も鮮明、それほど作品イメージは激変します。こちら威圧感のない穏健、オーソドックスにスムース軽妙、第1楽章「フランス風序曲」は立派過ぎぬ親密を感じさせて巨大な威圧感もありません。(8:16)著名な第2楽章「Aria」もかつての静謐清潔なイメージに近くて装飾音もなく、荘厳大仰に重くないデリケート。低弦はピチカートじゃないんですね。ラスト、わずかなルバートも昔なじみ。(4:58)元気な第3楽章「Gavotte」も朗々と力みのない親密さ。弦も管も名手が揃ってバランスよろしく突出しません。(3:27)第4楽章「Bourree」はちょっぴりテンポ・アップして前楽章からの単調さを避けておりました。(1:17)第5楽章「Gigue」のゆったり揺れ動くリズムも軽快な余裕に快いもの。(3:01)

 管弦楽組曲第4番ニ長調の編成は弦+通奏低音+トランペット3本+オーボエ3本+ティンパニ+通奏低音(ファゴットも)。こちらも前曲に負けぬ名曲、調性も同じ、各舞曲は明るく躍動して雰囲気は似ております。極端な緩急対比やリズムにエッジを立てぬ穏健、肩の力が抜けたデリケートな表現に、オーボエのあちこち装飾音も効果的でした。第1楽章「フランス風序曲」これは第3番とほとんど同じ風情な緩急緩、上機嫌に朗々として立派だけどトランペットは鋭く突出せずオーボエの絡み合い、そして弦のバランスは力んだところのないオーソドックス。現在の感覚ではややゆったりとしたテンポに感じます。(9:01)第2楽章「Bourree」は軽妙なリズムを刻んで愉悦を感じさせる、柔らかいトランペットとオーボエの装飾音(2:44)第3楽章「Gavotte」はここも同様の軽妙に余裕のリズム感。(1:53)第4楽章「Menutetto」は優雅に落ち着いた旋律リズムを歌います。ここにも魅惑のオーボエ装飾音登場。(3:48)第5楽章「Rejouissance」これは「歓喜」の意味でしょうか。リズムが躍動して輝かしく全曲を締めくくりました。(2:44)

(2024年7月27日)

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written by wabisuke hayashi