| Chopin  ピアノ協奏曲第1番ホ短調(アラウ/クレンペラー/ケルン放送交響楽団)
 
 Chopin 
ピアノ協奏曲第1番ホ短調 作品11 
アラウ(p)/クレンペラー/ケルン放送交響楽団(付;Beethoven エグモント序曲  フィルハーモニア管弦楽団 1960年ウィーン録音)
 
NOTA BLUE  93.5123 5  1954年ケルン・ライヴ  10枚組3,650円で購入したウチの一枚 
 「悪魔のレーベル=NOTA BLU」の一枚。1990年代中盤にはけっこう出回って、安いから買いました。例外なく音の状態は良くない。ちゃんとした正規録音を、わざわざ音質改悪して海賊盤作っちゃうから悪質極まりない。お勧めしません。でも、手元に30枚は存在するので時々楽しみます。これはクレンペラーの10枚組より。(欲しいでしょ) 
 最近、歴史的録音にハマって、音質が少々落ちるのも怖くない。ガンガン聴いています。また、散々古い録音を聴いたあとの、新しい録音の気持ちの良いこと。へんな効用ですが趣味ですので許して下さい。ここでのクレンペラーは、1950年代中心ですが、VOXの同時期の録音も含めて、どれも立派で感心します。そのなかでも特に気に入った一枚がこれ。 
 アラウは、亡くなる前はメジャーな巨匠だったので聴いていませんでした。ドイツ系の曲がレパートリーの中心だったようなイメージがありますが、たしかインバルとChopin の協奏曲集も録音していたはず。ここでの演奏は本当に立派です。この曲のイメージ一新、名演奏はたくさん存在するが、独自の価値を持っていて圧倒される思い。 
 男性的な、がっちりとした演奏なんです。ま、クレンペラーがChopin のバック、というのもイメージわかないが、ソロとの相乗作用でしょう。たっぷり40分かかって、つまりテンポが遅い。「遅い、速い」の問題でもないが、堂々たる風格があってBeethoven 、Brahms 寄りの演奏でしょうか。あわてず、騒がず、盤石の歩み。 
 ピアノは「美音」という訳じゃないが、明快でしっかりとしたタッチ、どの旋律も余裕を持って弾き崩さない。(当たり前か)デリカシーに欠けることはないが、力強くて曖昧なところがない。「いったいどんな演奏なんだ」と訊かれれば、「骨太で、浪漫的な演奏です」と答えるしかない。 
 テンポは相当揺れるが、それが自然だし、説得力充分な節回し。こんなによく歌い、アツく、しかもスケールの大きなChopin は、おそらく初めてでしょう。懐の深い、聴いていて自然と身体が揺れるような演奏は珍しい。もちろんアラウは立派だけれど、クレンペラーの個性が生かされているんじゃないでしょうか。 
 音質は「NOTA BLU」としてはマシなほう。ガマンしてください。ワタシはガマンできました。(最近、ますます耳が「歴史的録音」に順応し、麻痺してきている) 
 エグモント序曲のほうは、1960年のウィーン音楽週間のライヴ。録音に奥行きと残響が足りないし、フィルハーモニア管の響きが、ケルン放響に比べて明るく、軽いような気もします。Chopin との組み合わせとしては少々ヘンで、なんとなくノリの足りない演奏です。(2000年10月27日更新) 
 
 
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