Past アメリカの管楽器ソロと弦楽のための作品集 (ハワード・ハンソン/イーストマン=ロチェスター管弦楽団)

アメリカの管楽器ソロと弦楽のための作品集
(ハワード・ハンソン/イーストマン=ロチェスター管弦楽団)


Mercury MG50076 Wayne Barlow(1912ー1996)

「冬の想い出」The Winter's Past - Rhapsody For Oboe And Strings
Robert Sprenkle(ob)

Bernard Rogers (1893ー1968)

「独り言」Soliloquy For Flute And Strings
Joseph Mariano(fl)

Aaron Copland(1900-1990)

「静かな都市」Sidney Mear(tp)/Richard Swingley(eh)

Kent Kennan(1913- 2003)

「夜の独り言」Night Soliloquy For Flute And Strings
Joseph Mariano(fl)

Homer Keller(1915-1996)

「セレナーデ」Serenade For Clarinet And Strings
William Osseck(cl)

Howard Hanson(1896-1981)

「セレナーデ」Serenade For Flute, Strings, And Harp
Joseph Mariano(fl)
「田園曲」Pastorale For Oboe, Strings, And Harp
Eileen Malone(ob)/Robert Sprenkle(hp)

ハワード・ハンソン/イーストマン=ロチェスター管弦楽団

Mercury MG50076 1953年リリース

 新型コロナ・ウィルス禍からコンサート開催不可、世界あちこちオーケストラは存亡の危機とか、インバウンド頼みの観光業や、外食自粛な飲食業と並んで一番苦しいところでしょう。アマオケ演目にBeethovenBrahmsTchaikovskyが多いのは楽器編成問題もあるでしょうし、実際それでお客が呼べる人気なんでしょう。こちらお気楽な場末の音楽愛好家、毎日引き隠って、できるだけ幅広く音楽を聴くように心掛けていて、こんな音源をネットより入手ししました。時代的にモノラルだけど、Mercury録音は21世紀に鮮度たっぷり。

 知っていた作品はCoplandの「静かな都市」のみ。この人の作品はどれも大好き、どれも旧き佳き亜米利加の前向きな希望を感じさせるようなステキな雰囲気満載、このLPに収録された(馴染みのない初耳)作曲家も似たような穏健な風情に溢れておりました。無調とか不協和音ととか無縁の保守的な作品ばかり、センスの良い一枚ですよ。このオーケストラは現在のロチェスター・フィルのことでしょうか。おそらく当時のシェフはエーリヒ・ラインスドルフ、Kodakという大スポンサーが付いて景気はよかったと想像されます。なかなか優秀なアンサンブル。ソロのクレジットはオーケストラのメンバーと類推します。皆、抜群に上手い。

 Wayne Barlow「冬の想い出」はオーボエが主役だけれど、ヴァイオリン・ソロ、チェロも要所に絡んでメランコリーな景色満載(5:19)お次のBernard Rogers「独り言」延々としたフルート・ソロから始まって、それはDebussyのような妖しいものではなくて、むしろVaughan Williamsの「グリーンスリーヴズ」を連想させるもの。(4:38)どちらも儚げ、淡雪のような美しい作品でした。Copland「静かな都市」はトランペットが遠くから寂しげに響いて、イングリッシュ・ホルンの個性的に華やかな音色が色彩を添えます。この人の作品は旋律の多彩な変化があって、他と一線を画しておりました。(6:54)

 Kent Kennan「夜の独り言」は、切々と哀しいフルートのモノローグ。フルートがひとり雄弁に嘆き続けて、弦楽合奏は控えめに伴奏に徹しております。(3:45)Homer Keller「セレナーデ」の主役はクラリネット、これも妖しく寂しげな愛の告白であります。独墺系端正な音色に非ず、ちょっぴりヴィヴラートを効かせたセクシーな音色。(4:58)

 ラスト2曲はここで指揮を担当しているHoward Hansonの作品。「セレナーデ」はハープのアルペジオも効果的、フルートは華やかに、自在に歌い続けます。(5:21)「田園曲」はちょいと硬派に陰影と情感の起伏がしっかりとした作品。自作だけに雄弁さが際立っておりました。

(2020年3月21日)

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written by wabisuke hayashi