Bach カンタータ第42番「同じ安息日の夕べ」よりシンフォニア/
Corelli クリスマス協奏曲ト短調 作品6-8/Pacherbel カノンとジーグニ長調/
Handel 合奏協奏曲 変ロ長調 作品3-2/Vivaldi 協奏曲ニ短調 作品3-11/
Albinoni アダージョ ト短調(ロバート・キング/ムジカ・ダ・カメラ)


Linn CKD012 Bach

カンタータ第42番「同じ安息日の夕べ」よりシンフォニア

Corelli

合奏協奏曲第8番協奏曲 ト短調 作品6-8「クリスマスの夜のために」

Pacherbel

カノンとジーグ ニ長調

Handel

合奏協奏曲 変ロ長調 作品3-2

Vivaldi

協奏曲ニ短調 作品3-11(調和の霊感)

Albinoni (Giazotto編)

アダージョ ト短調

ロバート・キング/ムジカ・ダ・カメラ

Linn CKD012 1992年録音

 Robert King(1960-英国)は2007年に投獄され、既に2009年に活動を再開してるそう。閑話休題(それはさておき)キングス・コンソートを創設して膨大なるバロック音楽の録音がある人、これは古楽器による著名な純器楽作品取り揃えて優秀録音、素直にすっきりとして尖ったリズムを強調しない、洗練された演奏に仕上がっておりました。Linnの音質は極上です。LP時代はPacherbelのカノン/Albinoniのアダージョで一枚、なんて贅沢収録のもありましたっけ。こちら、選曲もほとんど有名どころを揃えて、なかなか配慮ある収録でした。「カノン」は山下達郎永遠の名曲「クリスマス・イヴ」の間奏に引用されておりました。

 Bachは安らぎの旋律、弦+通奏低音(ファゴットが活躍する)にオーボエ2本、ホルンが加わって陰影豊かなシンフォニア。しっとりと落ち着いた6:30。Corelliは誰でも知っている敬虔な合奏協奏曲。弦楽器各ソロの掛け合いも美しい作品。Vivace-Graveは重苦しく始まって(1:21)Allegroはほの暗く軽妙(2:14)。Adagio-Allegro-Adagioは情愛に充ちた優しい、途中に急速なアクセントが入ります(3:03)。Vivaceは哀愁にデリケート(1:11)Allegroもちょっぴり不安な表情が続いて、暗転が続きました。(2:15)Largo pastorale ad libitumはパストラーレ、羊飼いによるイエスの誕生をしみじみ祝福するところ(3:59)。得意なアクセントやらリズムを強調しない、マイルドな演奏であります。

 誰でも知っているPacherbelは昔馴染んでいた優雅に朗々としたスタイルと、その後の古楽器隆盛時代とではずいぶん違っておりました。リュートによる通奏低音が味わい深い低音の下降音型、テンポはやや速めに、リズミカルではあるけれど、あくまで穏健なスタイルを崩さない。(Conon 4:16)闊達なジーグもマイルドに優しい躍動でした。(Gigue 1:39)Handelは弦楽にオーボエ2本が加わったもの、「ブロッケス受難曲」の序曲ですね。WikiによるとCorelliのクリスマス協奏曲に雰囲気は似ているとのこと。沸き立つようなVivaceはいかにも彼らしい色彩的に闊達(1:56)Largoはオーボエがもの哀しく切々と歌います。(2:49)Allegroも「ブロッケス受難曲」より。晴れやかな表情に爽やかなところ。(1:54)Moderatoはオーボエと弦が明朗に掛け合ってノンビリとした風情が愛らしい。(1:40)Allegroは弾むようなリズムだけど、それを強調した演奏ではありません。(3:23)オーボエの技量などタイヘンなものだと思うけれど、そんな技巧前面みたいな風情に非ず。

 Vivaldiは著名な協奏曲集 作品3「調和の霊感」全12曲中の11曲目、ソロは2台のヴァイオリンとチェロ。ソロの妙技が華やかに発揮される名曲だけど、英国の古楽器アンサンブルはずいぶんと控えめにおとなしい、ていねいな演奏と感じます。チェロの激しい動きが際立つ作品でしょう。Allegro-Adagio spiccato(1:13)Allegro(2:44)Largo e spiccato(2:16)Allegro(2:40)

 ラストAlbinoni作となっているけれど、 実際上はRemo Giazotto(1910ー1998伊太利)の創作(自筆譜の断片を編曲)とのこと。映画「審判」の音楽として一躍有名になった、劇的浪漫の色濃い名曲。オルガンの使われ方、ヴァイオリン・ソロが印象的、雰囲気はバロックに非ず、でもステキな作品に間違いなし。(7:11)

(2023年1月28日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
▲To Top Page.▲
written by wabisuke hayashi