ベルリン750周年記念コンサート・ライヴ(1987年1月1日)


Ars Vivendi MRC MRC 001-2 Weber

歌劇「魔弾の射手」〜序曲/狩人の合唱

クルト・ザンデルリンク

Mendelssohn

歌の翼に/新しい心/挨拶/劇音楽「真夏の夜の夢」序曲

クラウス・ペーター・フロール/ペーター・シュライヤー(t)

Nicolai

歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」〜月の合唱/ファルスタッフの酒の歌/序曲

ロルフ・ロイター/ゲルト・ヴォルフ(b)

R_Strauss

歌劇「ばらの騎士」〜第3幕フィナーレの三重唱と二重唱

ハインツ・フリッケ/マグダレーナ・ハヨショーヴァ(s)/ウテ・トレケル=ブルクハルト(ms)/マーゴット・シュタイスカル(s)

Reznicek

歌劇「ドンナ・ディアナ」序曲

ハインツ・フリッケ

Meyerbeer

歌劇「ユグノー教徒」〜アリア「おお美しいトウレーヌの地よ」

ハインツ・レーグナー/マグダレーナ・ハヨショーヴァ(s)

Lortzing

歌劇「皇帝と船大工」〜木靴の踊り/この日に栄光あれ

ハインツ・レーグナー/ジークフリート・フォーゲル(b)

ベルリンの歌「ウンター・デン・リンデン、ウンター・デン・リンデン」

ハインツ・フリッケ/マーゴット・シュタイスカル(s)/ジークフリート・フォーゲル(b)

シュターツカペレ・ベルリン/ベルリン州立歌劇場合唱団

Ars Vivendi MRC 001-2 1987年1月1日シャウシュピールハウス・ライヴ

 ベルリンの壁が崩れたのが1989年11月10日、そのわずか2年ほど前、旧東ベルリンでこんな華やかな、東側オールスターを集めて、独逸縁の作品ばかり、愉しい演奏会が開かれていのですね。Kurt Sanderling(1912ー2011)、Rolf Reuter(1926-2007)、Heinz Fricke(1927ー2015)、Heinz Rogner(1929ー2001)皆、鬼籍に入りました。存命なのはClaus Peter Flor(1953ー)くらいか。このCDはいつ入手したかも記憶にないくらい昔、おそらく安かったんでしょう。抜粋1枚物が国内盤で出たことがあるけれど、オリジナル2枚組は貴重でしょう。ネットでいろいろ探したけれど、ほとんど画像さえ出現しません。

 同じ話題ばかり恐縮だけどCDを少しずつ、毎月愉しみに入手していた頃は、誠実に音楽を聴いておりました。やがて処分し残した棚中CDの存在さえ忘れ、これも久々おそらく10年以上スパンの拝聴、どれも細部記憶に残っている驚き!会場(シャウシュピールハウス)のリアルな空気感はあっても、ややオフマイクに音像遠い散漫な音質も記憶通り。

 まず御大最長老クルト・ザンデルリンク登場。 Carl Maria von Weber(1786ー1826)はお気に入り、独逸民衆の素朴な旋律横溢!誰でも知っている深遠なるホルンが冒頭から森の奥に木霊する「魔弾の射手」序曲は未だ興に乗り切れずやや散漫な感じ。やはり狩りのホルンも勇壮に躍動する男祭!「狩人の合唱」は彼の最高傑作のひとつと確信いたします。大好きな作品です。次の主役はペーター・シュライヤー(Peter Schreier, 1935-)声楽に馴染み薄い自分でも、例のちょいと上ずった輝かしいテナーは馴染みでっせ。「歌の翼」は誰でも知っている著名な旋律。当時若手だったフロールによる「真夏の夜の夢」序曲もメルヘンに充ちて大好きな作品、ここも”やや散漫”な印象がありました。

 ロルフ・ロイターは日本では知名度低いオペラ畑一筋なカペルマイスター。ベルリン・コミシェ・オーパーの総監督(1981-1993)だったから、話題のキリル・ペトレンコの先々代にあたるのでしょう。歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」は序曲ばかり有名、こうしてバス(主役のファルスタッフ)のアリアを聴けるのも貴重な体験でしょう。晴れやかな表情の序曲もかなりオーケストラに興が乗ってきました。「アリア」→序曲という流れも、こんなオムニバス風演奏会に相応しい配置。

 祝祭的な演奏会に相応しい「薔薇の騎士」。担当するハインツ・フリッケも日本ではほとんど知名度なし、この人もオペラ一筋。最後のキャリアはワシントン・ナショナル・オペラの音楽監督(1992ー2008)。これが絶品!(とくにウテ・トレケル=ブルクハルト(ms))女声3人の美しい掛け合いが、名残惜しい脂粉の残滓を漂わせるよう。この辺り、会場の空気も温まってオーケストラも女声に負けず洗練された響きに至っております。(ここまでCD一枚目)そしてニュー・イヤーコンサートなどでお馴染み躍動する元気な「ドンナ・ディアナ」序曲にてハインツ・フリッケ出番は締めくくり。(ラスト再登場。もしかして収録順番を変えているのかも)

 Giacomo Meyerbeer(1791ー1864)は伊太利亜〜巴里のイメージだけど独逸の人なんですね。「ユグノー教徒」くらいしか作品名を知らない、ここから日本でもおなじみハインツ・レーグナー登場。しっとりとして優雅なアリアを歌うのはMagdalena Hajossyova(1946ースロヴァキア)、1990年代旧東側の録音に多く参加して、先の「薔薇の騎士」でも大活躍。Albert Lortzing(1801ー1851)ベルリン出身、歌劇「皇帝と船大工」。「木靴の踊り」は幕間の踊りですか?素朴なワルツっぽい旋律はイいまいちノリがよろしくない。Siegfried Vogel (1937-独逸)が「この日に栄光あれ」を表情豊か貫禄たっぷりに歌います。合唱掛け合いも盛り上がります。管弦楽も打って変わって表情豊か。

 ラスト、再びハインツ・フリッケ登場。「ウンター・デン・リンデン」(菩提樹の下)はベルリンの大通りなんだそう。愉しげな流行歌のメドレーだそうです。

(2019年6月16日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi