Bernstein Favorites Twenty Century(20世紀名曲集)


SONY SRCR8659 Copland

市民のためのファンファーレ

Barber

弦楽のためのアダージョ

Gershwin

パリのアメリカ人

Villa-Lobos

「ブラジル風バッハ」第5番〜アリア(ネタニア・ダヴラツ(s))

Stravinsky

バレエ組曲「火の鳥」よりフィナーレ

Vaughan Williams

グリーンスリーヴスによる幻想曲(ダヴィッド・ナデイアン(v))

Grofe

組曲「グランド・キャニオン」より山道にて(ジョン・コリリアーノ(v))

Gershwin

ラプソディ・イン・ブルー(コロムビア交響楽団/レナード・バーンスタイン(p))

Rachmaninov

「パガニーニの主題による狂詩曲」より変奏曲第18番(ゲイリー・グラフマン(p))

Copland

バレエ音楽「アパラチアの春」よりシンプル・ギフト

レナード・バーンスタイン/ニューヨーク・フィル

SONY SRCR8659

 Leonard Bernstein(1918ー1990亜米利加)による亜米利加時代、ようできたコンピレーション・アルバム。オリジナルLP収録はGershwin2曲のみ、中学生時代音楽室にて出会った自分にとっての刷り込みです。残りはStravinsky、Rachmaninov、Copland辺り摘み聴きが残念だけれど、難解晦渋に非ず耳馴染みよろしい20世紀最高の名旋律を寄せ集めたもの。演奏はどれもバーンスタインらしくヴィヴィッド、音質もかなり良好でした。

 市民のためのファンファーレは後に交響曲第3番終楽章に転用されたもの。めでたい祝典音楽としてはJanacekのシンフォニエッタと双璧をなす人気でしょう。かつての人気番組であった「料理の鉄人」のテーマ音楽でした。このCDの幕開けに相応しい、いかにもそれらしい華やか、カッコ良い金管の活躍でしょう。(2:01)

 哀悼の気分に充たされたBarberのアダージョはもともと弦楽四重奏曲ロ短調 作品11の第2楽章なんだそう。それは残念ながら拝聴機会を得ません。Wikiによるとジョン・F・ケネディの葬儀で使用されてから有名になったとのこと。前曲の華やかな花火のような作品とは好対照の配置、たっぷり泣きの詠嘆、神聖な気分が広がります。(9:57)

 そしてBernsteinの十八番(おはこ)である「パリのアメリカ人」へ。これは誇らしいAmerican Classicの幕開け、最高の名曲のひとつ(1928年初演)。物見遊山なアメリカ人お上りさんが、クラクションなど都会の喧騒に翻弄され、目眩くにぎやかな活気が描写されるシンフォニック・ジャズの最高峰。パワフルかつちょっぴり粗く、前のめりにアツい、浮足立ったような演奏です。こんな作品、しっとり落ち着いても仕方がないでしょう。3本のサキソフォーンがいかにもアメリカン。(18:24)

 「ブラジル風バッハ」第5番〜アリアは、妖しくも遣る瀬ない女声によるヴォカリーズ+8本のチェロによる独創的な作品。中間部の歌詞(葡萄牙語)”夕暮れ、美しく夢見る空間に透き通ったバラ色の雲がゆったりと浮かぶ”旋律にぴたりはまっている内容となります。Netania Davrath(1931-1987烏克蘭→以色列)はしっとりと雰囲気たっぷり「オーヴェルニュの歌」の録音で知られる人。(6:46)

 Stravinsky「火の鳥」(1919年版)より大団円フィナーレ大爆発のみというのは隔靴掻痒状態。これは1957年録音、LP時代(しかも17cmLP)より愛聴しておりました。(3:28)誰でも知っているグリーンスリーヴスによる幻想曲はフルートが入らぬ、そこにヴァイオリン・ソロが置き換わる珍しい版でした。自分が知る限り、これが唯一じゃないのかな。David Nadien(1926ー2014亜米利加)はニューヨーク・フィルのコンマス(1966-1970)とのこと。(5:01)

 「グランド・キャニオン」はこども時代日曜夜「ディズニー劇場」?の記憶と色濃く結びついて、金管による壮大な大自然の情景が眼前に広がって、ヴァイオリン・ソロ〜ユーモラスにノンビリとしたロバの歩み〜山小屋から流れるオルゴール(チェレスタ)、色彩豊かな作品。John Coriglianoは親父の方、ニューヨーク・フィルのコンマスを23年間務めた(1943ー1966)そうだけど、詳細情報は探せません。(7:23)

 ラプソディ・イン・ブルーはGershwinによる天才のワザ、American Classicsの一番人気作品でしょう。カット有、ちょいと重いとかいろいろ難癖は付けても、これが自分の刷り込みですから。ブルージィな雰囲気に溢れて、バーンスタインのピアノはほんまに上手い!というかツボを押さえたもの。(16:28)

 「パガニーニの主題による狂詩曲」は一番甘く、おいしいところ、Elgar「エニグマ変奏曲」に於ける「ニムロッド」みたいな位置づけでしょう。バーンスタインとはひと味もふた味も違う本職のピアニストはデリケート入念な表現でした。ちょろ聴き残念。(2:51)ラスト「シンプル・ギフト」は旧き佳き亜米利加、正直に敬虔な風情に充ちて、大好きな変奏曲です。これも「アパラチアの春」全曲をちゃんと聴きたくなりました。(3:04)

(2022年2月26日)

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written by wabisuke hayashi