Schubert 歌曲集「冬の旅」「美しき水車屋の娘」
(ゲールマン)


Schubert

歌曲集
「冬の旅」
「美しき水車屋の娘」

ゲールマン(br)/ニナ・ウォーカー(p)

NIMBUS NI 1766-8/9  1972年録音   12枚組4,090円で購入したウチの2枚

 いつまでも「歌ものは苦手」なんて、言ってられないでしょう。こんな有名な作品なのに、ほんまに聴いたことはほとんどないんです。音楽愛好家として風上にも置けない存在か。反省します。いいわけだけれど、フィッシャー・ディースカウの評価が高すぎて、それを避けてきたと言うこともありました。(FMでエア・チェックしたことはある〜なんやら訳知り顔で説教臭くない?)

 そうえいば「冬の旅」はジークフリート・フォーゲルのが手許に(Deutsche ShallPlatten YMC-106 いくらだったかな?)歌も立派だったが、ダンケルのピアノに魅せられた記憶も有。閑話休題、CD収納棚を漁っていたら「Schubert 14枚組BOX」が出てきました。NIMBUSのセットもの、ってけっこう安いですよね。でも、一昨年だったかな?倒産しちゃいました。5〜6年くらい前に購入したはず。

 ゲールマン、という人が有名なる歌曲を2枚分歌ってます。あのぉ、もとよりワタシはド・シロウトだし、とくに歌のことはようワカランけど、なんかコレ、そうとうに酷い。最初のウチ、フムフム、低い声も良く伸びているかな?なんて、進んでいくウチ、記憶が蘇ってきました。ああ、あれだ、きっと。この酷さは。

 買った当時から「?」状態だったんですよ。記憶曖昧だけど、ゲールマンってたしか、NINBUSの社長のはず。玄人はだしのシロウトだと思うんだけど、きっと売れなかったと思うんですよ。だれが高い金払ってこんな録音を買う?〜で、「激安BOXセット」に2枚分抱き合わせて、ムリヤリ売っちゃうという脅威のあくどい商売!・・・・・その発想、嫌いじゃありませんが。

 んなことしているから倒産するんだろうな。ああ、恐ろしいワザ。

 この歌、聴き進めば進むほど、いやになりますね。なぜだろう?先日、ウィーンの往年の名(ローカル)テナー・パツァークの同曲を聴く機会を得ました。端正じゃないし、声量もない人だし、特有のクセと崩しもあるんだけど、ちゃんと説得力ある個性を感じて、最後まで楽しめました。でも、ゲールマンでは、途中からスイッチを切りたくなる衝動がある。

 カラオーケストラしか歌わないワタシが、こんなこと言っちゃマズイだろうが、ヘタクソなんです。さっき「玄人はだしのシロウトだ」と書いたけど、やっぱ、コレ「素人はだしのシロウト」だと思います。表情の付け方がなんとも「ザーとらしく」て、ま、太い声には自信を持っているみたいだけど、発声が均一じゃないし、地声がモロに表出するところも、声が裏返るところもある。

 もとの旋律から、大幅にイメージが狂っちゃう場合さえある。「冬の旅」後半は聴いていてツラいが、「水車屋」は冒頭から、もうドーショーもない。ピアノはちゃんとしたプロだと思うけど、先のフォーゲル盤におけるダンケルみたいに、Schubert のピアノ曲の魅力を堪能するような気になれません。歌がジャマして。

 はは、もう絶対聴きません。セットものだから売るわけにもいかないね。貴重なるコレクションとして死蔵させます。声楽に深い関心を持って、しかも怖いもの見たさの興味に溢れている人!不正コピーしてプレゼントします。これ、不正行為だけど、ゲールマンさんも怒らないと思います。(2003年3月21日)


・・・・・という不埒な一文を上梓するとBBSにて反応あり、以下、勝手に掲載。

N氏(東京)

このBOX程玉石混交と言えるものはないでしょう。
ブランディスSQの弦楽四重奏曲と言う玉があるかと思えば、社長殿の冬の旅の ような石(そう言うと石が可哀相なので「屑」と言うべき)もある。
私も一回聴いたきり(と言うか途中で止めました)で、死蔵しています。 抱き合わせ販売とは言え、こんなもので金取るなよなぁー。

U氏(岩手)

お金を出して買ったと思えば腹も立つんでしょうね!。 でも、もともとアマチュアが歌ったとわかっている物を貰った、 という立場では充分に楽しめる(笑える)CDではありませんか。 私が面白いと思ったのは、本人が思いいれがあり練習量が多い (らしい)曲ではかなりまともなのに、そうでない(らしい) 曲はかなり(曲によっては物凄く)ひどい。
でもこれ、気持ちはわかりますね。
アマチュアとしては余り好きでない曲まで 身を入れて練習する気になれない、って感じでしょう。
(だったらハイライトにしろ!、ってことですね)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi