Sibelius 交響曲第2番ニ長調/第7番ハ長調
(渡邉暁雄/日本フィル1962年)


TWCO-29 Sibelius

交響曲第2番ニ長調(東京文化会館)
交響曲第7番ハ長調(杉並公会堂)

渡邉暁雄/日本フィルハーモニー交響楽団

DENON TWCO-29 1962年録音

Sibelius一番人気の交響曲(第2番)は熱演!北欧の旅情漂う名旋律は入魂の力強さ、旋律表現そのもは詠嘆に朗々と歌ういったものに非ず、むしろ要らぬ飾りを除いて決然としたフレージングであります。各パートは充分に力量を発揮して金管の爆発もお見事、第3楽章「Vivacissimo − Lento e suave − attacca」に於ける、弦の細かいパッセージも1962年の日本でここまで!といった感慨深い完成度であります。凄いぞ!渡邉暁雄さん(1919-1990日本)

荒涼たる一気呵成な幻想曲である第7番は中学生以来のお気に入り作品。LP時代所有していた一枚(第1番だったか?)は再録音だったから、史上初のステレオ全集録音は初耳、杉並公会堂での録音担当は若林俊介さんのワン・ポイントらしい・・・東京オリンピック前、未だ世間は「運命」「未完成」な時代にSibelius全集を取り上げて、それは資料的価値に非ず、現役演奏として技術的アンサンブル、完成度になんの不満もありません。忘れ去られるにはもったいほどの感銘をいただきました。(以上2017年8月「音楽日誌」)

 日本でのSibelius人気はこの人のご尽力。日本フィルは1972年にスポンサーより解雇され、分裂した経過も既に知らぬ世代が増えたことでしょう。その労働争議は映画にもなっておりました。当時のライヴ音源はまとめて発売され、いくつか拝聴してその素晴らしいオケの技量に驚いたものです。Sibeliusの交響曲は二管編成。それが演奏機会が多い理由でもあり、清涼なる旋律サウンドは日本人の好みなのでしょう。

 交響曲第2番ニ長調は彼の作品中、交響詩「フィンランディア」と並んで一番人気でしょう。全体印象は先に書いた通り、やや響きはデッドだけれど立派な現役音質、燃えるようなアツい素朴な演奏でした。1962年でしょ?立派なもんでっせ、オケの力量と作品への確信みたいなものが伝わります。

 第1楽章「Allegretto」さわさわと静かな弦の開始から、懐かしい管楽器の絡みは清涼な雰囲気たっぷり。やや速めのテンポに淡々とした流れはやや素っ気なくても表情付けは入念でしょう。(9:45)第2楽章「Tempo andante, ma rubato - Andante sostenuto」の始まりは暗鬱な低弦のピチカートが彷徨います。憂いを含んだファゴットが呼応して、やがて劇的に弦が参入して金管が叫ぶ・・・ここもテンポは速め、やや落ち着かぬ感じ。金管のコラール、優しい弦は立派な仕上げですよ。(13:20)

 第3楽章「Vivacissimo - Trio. Lento e soave - attacca」は弦の快速パッセージがピタリ縦線が合って、オケの技量、勢いも充分でしょう。切れ味ある金管の炸裂、そして懐かしいオーボエに導かれたトリオの対比もお見事。ストレートな風情のまま感極まりつつ(6:19)アタッカで第4楽章「Finale. Allegro moderato - Moderato assai - Molto largamente」へ突入。シンプルな主題が雄弁、タメとか詠嘆表現は最小限、途中暗鬱な第2主題をはさみつつ、やがて第1主題の賛歌(←Wikiにこう書いてある)は高らかに再現、ティンパニの楔も決まっております。オケの響きはやや薄いけれど、作品への共感がひしひしと伝わるノリ、燃えるような情感の高まりを以て全曲を締めくくりました。(13:06)

 60年前でっせ。21世紀混迷の日々に胸を熱くして拝聴いたしました。

 交響曲第7番ハ長調は単一楽章の幻想曲風、20:52。(Adagio(序奏) - Vivacissimo - Adagio - Allegro molto moderato - Allegro moderato - Presto - Adagio - Largamente molto - Affettuoso)冒頭低弦によるシンプルな音階が満点の星空に登っていく風情は、交響曲第6番ニ短調同様”銀河鉄道交響曲”と呼びたい名曲。Sibeliusはパワフルに厚みのあるオケがすべてに非ず、ややデッド、乾き気味でも音質かなり鮮明、前作品同様ストレートに飾りの少ない表現でした。作品への共感に充ちて素朴にアツい演奏にラスト、感極まりました。この時点にしてオケの技量云々まったく感じさせない。

(2022年4月3日)

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written by wabisuke hayashi