Wagner 「ニーベルングの指環」管弦楽抜粋
(レオポルド・ストコフスキー/ロンドン交響楽団)
Wagner
「ヴァルキューレの騎行」
「森のささやき」
「ワルハラ城への神々の入場」
「夜明けとジークフリートのラインへの旅立ち」
「ジークフリートの葬送行進曲」
レオポルド・ストコフスキー/ロンドン交響楽団
CLASSICSSELECTION23 1966年録音 @250/英DECCAの海賊盤
・・・まだこんな怪しげ盤聴いてんかよ!とお叱り覚悟の一枚。
通常聴かれる管弦楽版とあちこち異なっていて、ストコフスキーらしい自由な旋律引用になっております。演奏的にはまともなものでして、ロンドン交響楽団の金管群も絶好調。「葬送行進曲」に於ける木管の動きに(一部)聴き覚えがないのは、録音のマジックなのかそれとも楽譜の改変か?英DECCA”フェイズ4”録音の海賊盤であります。音質はやや埃っぽいが、まぁまぁ。 とは購入時の「音楽日誌」の引用だけれど、こんな演奏/録音は思い切ってヴォリューム上げて聴くべきものなんです。再確認では不自然なパートあちこち突出はあるけれど、”埃っぽい”ことはない。ある意味わかりやすい優秀録音でしょう。配置順も所謂楽劇の進行とは関係なく、コンサートピースとしての効果を考慮してか「ヴァルキューレの騎行」からスタート。
これがとくに木管の高音がぴ〜ひゃらと鳴り響いて、派手派手しいこと限りなし。もちろん期待の金管もあちこちの方向から存在を主張しつつ絡み合い、鳴りきってロンドン交響楽団は絶好調でしょう。88歳の爺さんとは思えぬ、メリハリしっかりとした颯爽スタイリッシュな大爆発「ヴァルキューレ」。お次はジークフリートが初めて人間らしい心情を理解する「森のささやき」〜この配置も絶妙でしょう。
静かだけれど雄弁なるドラマを見るような表現になっていて、ストコフスキーの語り口は絶妙です。チェロの纏綿とした歌、鳴き交わす小鳥たち(木管)の存在感。やがて感興が高まって、弦も管も全員参加するが、やはり木管の高音が突出してオモロい効果有。金管も爽快に鳴り響きます。
ここで「ラインの黄金」へ戻って「ワルハラ城への神々の入場」へ。ここでホルンの活躍拝聴〜タックウェルですか?金管群が無遠慮に爆発する・・・風でもなく、ニュアンスと味わいに充ちた、繊細な表現であります。途中聴き慣れぬ”接続”(数回)登場します(これはこの後の収録でますます深まる傾向)。先にも書いたけれど、”まともな演奏”であって、異様なテンポ設定とか揺れはないとも思います。しかし、各パートのバランス感覚は独特〜ここでのラスト金管の決めは凄いですよ。ティンパニも上手い。
「夜明けとジークフリートのラインへの旅立ち」は、冒頭から聴き馴染んだものとは全然異なる旋律で開始され・・・やがて聴き知ったる「夜明け」へ。弦〜ホルンに導かれたクラリネット・ソロが一条の太陽光なのだろうが、ココ何度聴いても感動します。(小学生以来、ずっと)やがて弦が込み上げるような入魂の旋律を引き継いでクライマックスへ。「ラインへの旅立ち」への経過旋律がないパターンだけれど、これは個人的には残念(ジョージ・セルのCDで慣れているから)弦は涼やかで深く、そしてホルン・ソロ(控え目に)登場!木管との対話〜ロンドン交響楽団は名人揃ってますね。
ラスト「ジークフリートの葬送行進曲」にも通常の管弦楽版では聴かれぬ「経過部」(更に途中あちこち+α計5分ほど)加わります。静謐な部分でも劇的な幕切れに相応しい昂揚したドラマティック(少々クサい)表現になっていて、いかにも聴かせ上手。馴染みの葬送行進曲が始まるが、金管の深さ、木管の詠嘆も見事であります。超然悠然巨魁なる表現ではなくて、もっと親しみあるわかりやすいものでした。
英DECCA非正規ライセンス盤(通称”駅売海賊盤”)ながら、音質も良好です。全46分の収録は短いが、これがオリジナルであって余計なオマケは必要ありません。
(2008年3月29日)
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
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