Wagner 管弦楽作品集(オットー・クレンペラー/フィルハーモニア管弦楽団)


FIC  ANC-30  @250
Wagner

楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
歌劇「タンホイザー」序曲
歌劇「ローエングリン」第3幕への前奏曲
歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
楽劇「トリスタンとイゾルデ」より前奏曲と「愛の死」

オットー・クレンペラー/フィルハーモニア管弦楽団

FIC ANC-30   1960年録音(EMI音源)  中古250円で購入

 著作隣接権切れ音源を利用した「駅売海賊盤」は種類を減らしたが、未だ現役1,000円にてあちこち散見されます。正規盤が値崩れしてしまった現在では存在価値はないんだけれど、我が棚中在庫にはけっこう生き残っている・・・140枚くらい?なんせオークションでも売れませんからね、この類は(十数枚ほど@100でさばけたが)。いくつかBOOK・OFFにて処分(二束三文)したり、公共図書館に寄付したりした結果在庫であります。ま、ちゃんと自宅で音楽を楽しめますから。見捨てるわけにはいきませんから。

 Wagnerの管弦楽作品は子供の頃から馴染みだけど、後れ馳せながら「バイロイト33枚セット」ちゃんと聴いたら、歌が存在しないのはどーも物足りない〜最近そんな感慨に至りました。閑話休題(それはさておき)オットー・クレンペラー(1985-1973年)の件。たいへんな艶福家であった由。英雄色を好む、ということか。巨匠世代だけれど、長生きして状態の良い録音にも恵まれたのは僥倖でしょう。現代音楽を養護し、表現そのものも雄渾なスケールを誇りながら、モダーンな明快さに驚きます。かつてEMI録音の軽薄さを非難し続けていたが、ここ最近、こんな軽快な音質も悪くないではないか、そんな考えに至りました。この駅売海賊盤でも音質(かなり)快調です。中低音が少々足りなくて、(ちょっぴり)迫力不足な感じはあるけれど。

 「マイスタージンガー」始まりました。世評にはとんと疎いが、ヴァルヴィーゾ盤にはほんまに痺れました。(ま、東洋の片隅でド・シウロト=ワタシが想像するところの)独逸民衆の歴史というか、伝統の熱気びんびん感じて、前奏曲が終わったら爽快な合唱は〜ここでは演奏会用終結になっていて、当然入らないのが残念。テンポは急がず、慌てず、適正な状態を保って明晰であり雄弁、中間部の優しいニュアンスも適度であって神経質ではない。薄っぺらくもヒステリックな喧しさは皆無であって、いたずらに走らない。重さを強調することはなくて、オケの響きが明るいんですよ。フィルハーモニア管弦楽団は技術的に優秀であり、素直なサウンドを誇ってクレンペラーとの相性はとてもよろしい。

 Wagnerは一般に荘厳壮麗な音楽ばかりだけれど、「タンホイザー」も例外ではない。ここでの演奏はいくぶん冷静であって、煽るような表現皆無。でもね、盤石の落ち着きとスケール感は充実して、例の如しの軽快明瞭なオケの響きに不満はない。軽妙にテンポアップするところから、華やかさ倍増してティンパニの迫力も素晴らしい。「ローエングリン」第3幕への前奏曲の、吹き上がるようなエネルギーに不足はないんです。誰だってこのホルンには痺れること間違いなし。

 「オランダ人」序曲との出会いはクナッパーツブッシュだったんですよ。こちらアンサンブルの桁が違って(芸術水準の意味ではありません)、技術的にはとてもスムースであって、颯爽とモダーンなセンスを感じます。ラスト「トリスタン」は官能(≒エッチな)代名詞みたいな作品。雰囲気潤い豊かなサウンドだけれど、オケのサウンドあくまで清涼であって、鈍重な濁りはないんです。美しい旋律は明瞭明快に鳴り響いて深くノーブル(上品)、しかも安易に流さない。ムリムリなラッシュもないけれど、ちゃんとしたクライマックス(やはり官能の高まりか?頂点か)を形成する力量有。

 全54:58収録。じつは同じ駅売海賊盤のシリーズでもう一枚「リエンツィ」序曲、「ローエングリン」第1幕への前奏曲、「パルジファル」前奏曲を収録した一枚も入手しておりました。但し、フィル・アップがショルティの「ジークフリート牧歌」という珍妙なるものだけど。

(2009年12月18日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi