BAROQUE GUITAR FAVOURITES
(ジェラルド・ガルシア (g)/ピーター・ブレイナー/カメラータ・カッソヴィア)


NAXOS 8.550274 Vivaldi

ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 「お気に入り」 RV 277 (Op.11-2)
トリオ・ソナタ ハ長調 RV 82
トリオ・ソナタ ト短調 RV 85
カロル・ペトロツィ(v)/パヴォル・ギムチク(vc)/ミチア・リコヴァ(vc)
ギター協奏曲ニ長調 RV 93

Bach

チェンバロ協奏曲 ニ短調 BWV 1052
(以上ジェラルド・ガルシアによるギター編)

ジェラルド・ガルシア (g)/カロル・ペトロツィ(v)/パヴォル・ギムチク(vc)/マリア・リコヴァ(cem)/ピーター・ブレイナー/カメラータ・カッソヴィア

NAXOS 8.550274 1990年 スロヴァキア共和国コシツェ録音

NAXOS初期録音であって、馴染みの作品旋律がギターに似合って素敵です。オリジナルっぽいのはトリオ・ソナタとギター協奏曲ニ長調でして、ま、フツウの現代楽器による演奏。ちゃんとしたアンサンブル、イロモノじゃないっすよ。Vivaldiの屈託のない世界の後に大Bach が続くでしょ?その圧倒的な”重さ”、”暗さ”〜それは重くて暗い、という意味じゃなくてシリアスで重厚ということ。

Bach 作品中、ニ短調協奏曲はやや大柄で好みからちょっぴり外れる(最近グレン・グールドにてすっかり目覚めている)けれど、ギター版だったらずいぶんと軽快に響きます。オリジナル!と見まがうほどの完成度。ガルシアの技巧はたいしたものですよ。ブレイナーって編曲ものばかり演っている印象があるけれど、きっとちゃんとした人なのでしょうね。音質も悪くないが、実演だったらこんなバランスなんだろうか、もっとギターの音は小さいんじゃないか。

 2年ほど前のコメントが残っているけれど、入手したのは1990年代中盤?未だ聴き手のノーミソ柔らかく、音楽を幅広く拝聴しましょう、謙虚な姿勢に溢れている頃のこと。最近は”新しいメジャー録音!”みたいなものを追いかけなくなっているから、この類の”ギター音楽”録音が続いているのか、若手が出現しているのか不如意。我らの世代だったら馴染みはナルシソ・イエペスとかジュリアン・ブリーム、ジョン・ウィリアムズ辺りか、ロメロ三兄弟とか一時録音多かったですね。ま、編曲もの中心の珍しい趣向、現代楽器アンサンブル。なかなか楽しい一枚也。ギターは誠実で上手いもんでっせ。

 屈託のないVivaldiの音楽は大好き〜上記付け加えるべくネタもないので、お仕舞い・・・以下は蛇足

 ほぼオリジナルっぽいというのはギター協奏曲ニ長調 RV 93のみ。厳密にいうと元々リュートのためとか、そんなところなのか。それこそイエペスさん他、ありこち録音もありました。イル・ジャルディーノ・アルモニコによる”リュート協奏曲”(1990年)はわずか8分半、こちら10分を超えて悠々として慌てない。 "Il favorito" RV 277(Op.11-2)の終楽章「Allegro」って「秋」の終楽章クリソツ(短調にしただけ)、CDオリジナルの裏面表示「トリオ・ソナタ ハ長調 RV 82」「トリオ・ソナタ ト短調 RV 85」(コレが正解)は誤って表記され、各々「ヴィオラ・ダ・モーレ協奏曲ニ短調RV540」「マンドリン協奏曲ハ長調RV424」(誤)になっているとか・・・

 トリオ・ソナタは楽器の音量バランスも含め、エエ感じの親密さ。他の協奏的作品は実演バランスってどうなんでしょ。ギターって音量は小さいものです。インマゼールのフォルテピアノによるMozart 協奏曲は正直に、そんなバランスにて録音されておりました。ましてやこちら現代の楽器音量也。とにかく録音で聴く限り、そんな不満はいっさい感じさせぬ、フツウに素敵な演奏也。Bach はチェンバロやピアノで聴くより、こちらの相性いっそう際立ってお見事。Bach はどんな編曲をしても音楽の基本骨格は崩れない!という原則を証明しておりました。

 古楽器系溌剌リズムも大好き。こちら引き締まって落ち着いた現代楽器、オーソドックスな演奏もセンスとして古臭さを感じさせませんでした。音質良好。

written by wabisuke hayashi