Bruckner 交響曲第7番(ティントナー)Bruckner 交響曲第7番ホ長調(ハース版) ティントナー/ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団 NAXOS 8.554269 1997年録音 800円で購入 たまたま、ヨッフム/ドレスデンの第7番を集中的に聴いていたついでに、思い出して棚から取り出したCD。この原稿執筆時点、第1・3番未購入。いつでも買えるという安心感が、NAXOSレーベルのCDを見かけても購入欲をそそそらない。わざと(か、契約上の問題か)「Brucknerに相応しそうな、いかにも」といったオーケストラを使わないのはワタシ好み。一方で正直、少々心配でもあります。 ティントナーはこの録音時点80歳。表現がずいぶんとスッキリ・サッパリとしているというか、そっけない感じ。年齢のワリに若々しいといった印象もあります。細部まで明快だし、肌理細やかさもある。奥行きもある。呼吸も深い。リズムもしっかりとしている。旋律を引きずったり、大げさな節回しとは無縁で、ストレートで飾りのない表現を嫌う人もいらっしゃるでことでしょう。 ドレスデンのオーケストラに比べれば、このオーケストラはずいぶんと素直というか、クセがない。Brucknerにとって薄い響きは致命傷なはずなんですが、聴いていてそう不満はありません。ティントナーが指揮すると、ニュージーランド響もアイルランド放響もりっぱな、それなりに奥行きのある演奏をするから不思議。(いつも同じ話しでごめんなさい) ドレスデンの歌劇場のオーケストラとか、コンセルヘボウとの聴き比べをしても、そう遜色ないように聴こえるのはワタシのソラ耳でしょうか。(重心はそう低くないが)アンサンブルの水準は相当なもので、スクロヴァチェフスキより自然体。つまり神経質な印象は与えない。一見地味だけれど、聴き込んでいくうちにジワジワと味が出てくる感じ。「怒濤のぶちかまし」はないが、やがて「嗚呼、こりゃ悪くないなぁ」としみじみ思う演奏です。 個人的好みながら「アダージョ」は(うるさい)打楽器が入らないほうがいい。明らかに現代的、すっきり方面の演奏だけれど、スクロヴァチェフスキほど一つひとつの旋律に入魂、といった感じではないし、余計な飾りも力みもないが「色気」には欠けません。スケルツォも、淡々として余裕ある表現は好感が持てます。金管はよく鳴る。(このオーケストラってこんなに鳴りましたっけ)中間部の優しい旋律もよく歌っていて美しい。 スクロヴァチェフスー盤も立派な演奏だけれど、終楽章はオーケストラの弱さが少々気になりました。ここでは(あの、まとめにくい)終楽章もちゃんとした結末としてキマっています。かなり冷静で、燃えるような表現を求める方は多いことでしょう。録音も鮮明。(2000年11月10日)
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