Tchaikovsky ピアノ協奏曲第2番ト長調 作品44
(ギレリス(p)/コンドラシン/レニングラード・フィルハーモニー)
Tchaikovsky
ピアノ協奏曲第2番ト長調 作品44
ギレリス(p)/レニングラード・フィルハーモニー(1948年録音)
Dvora'k
ヴァイオリン協奏曲イ長調 作品53
オイストラフ(v)/ソヴィエット国立交響楽団(1949年録音)
コンドラシン指揮
HISTORY 204567-308 The 20th Century Maestros40枚組5,990円のウチの一枚
なぜ、こんなことになってしまったのか。チャイコのピアノ協奏曲といえば、あの、やや食傷気味に有名になりすぎた、個性的な第1番ばかりで、なぜ第2番、第3番(第1楽章のみ?)が演奏されないのか。じつはワタシも、あえてこの曲を揃えようとする気もなくて、セットものを買ったら偶然にこの曲収録、ということで初めて聴きました。
ま、もとよりこのシリーズに良好な音質は期待していませんが、時代相応の水準(あまりよろしくない)でしょう。そこだけクリアすれば、なんともノスタルジックであでやかな旋律の宝庫で、第1番と曲の魅力において差があるとは思えない。溌剌とした主旋律が自由自在に活躍する構成は第1番に変わりないが、むしろこちらのほうがまとまりが良い感じ。
第2楽章のヴァイオリン・ソロ+チェロとの絡み合いは切々と美しくて、トロリと甘いチャイコ節。終楽章は、いかにもピアニスト大活躍で、休むヒマもないくらいのハデハデな躍動感。なんともウキウキと楽しい。第1番にも増して、ピアニストの高い技量を要求しそうな、そんな曲です。
ギレリスのピアノが凄いんです。「鋼鉄のピアニスト」は、晩年重心と深みを加え、やや丸くなりましたが、いやもうここでは「看板に偽りなし」。バリバリ弾いてくれて、腕が鳴るようなもの凄いテクニック。戦闘的と言っても良い、華やかな効果に溢れていました。もしかしたら、この第2番は駄作なのかも知れないが、ギレリスの巨大なチカラで、ここまで聴き手を惹き付けているのかも知れません。
コンドラシンのオーケストラが自信に溢れて、レニングラード・フィルの技術は一級品です。この曲は、新しい録音でちゃんと味わってみたいもの。これはライヴで盛大な拍手有。
ドヴォルザークのほうは、かなり音質良好でした。チェロ協奏曲が有名なわりに、ピアノ協奏曲とか、この作品は意外と人気がありません。ソロ中心の、昔風録音だけれど、オイストラフの豊満で艶やかな音色は存分に楽しめます。スタジオ録音では、時に平和すぎたりすることもありましたが、ここでは充分な熱気とノリを感じさせて、これは名人芸。
個人的には、この曲、ドヴォちゃんにしては旋律の懐かしさに不足、と感じていてあまり好きじゃありませんでした。ややオーソドックス過ぎて、個性に不足する曲か、と思います。ところが、オイストラフにかかると、千変万化する音色の細かいニュアンスに驚きます。はっきりいって、こんな美しい曲と認識できたのは初めて。
とくに第2楽章「アダージョ」の切々とした歌心の素晴らしいこと。完璧な技巧だけれど、常に暖かさを感じさせるのはこの人の個性でしょう。(いつでも同じ印象がある。明るくて平和)終楽章の軽快さも気持ちがよい。ワタシの勘違いでしょうか、ラロのスペイン交響曲に味わいが似ていて、弾むような楽しさがありました。
コンドラシンは、相変わらず合わせものは上手い。手兵のモスクワ・フィルが出てこないのは珍しいが、ソヴィエット国立響の技量も文句ありません。戦争の疲労が残っていた時期のはずなのに、現在より良好と感じるのは何故でしょうか。(2001年10月5日)
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