Schubert 初期ピアノ・ソナタ集(ルミアンツェフ)
Schubert
ピアノ・ソナタ 変ホ長調 D157 タマラ・ルミアンツェフ(p) BRILLIANT 99678/9 2000年録音 11枚組 2,790円で購入したウチの一枚 Schubert のピアノ曲はずいぶんと以前からお気に入りで、主に後期のソナタなんか聴いておりました。「いつかはピアノ・ソナタ全集欲しいな」と、思ってはいたけれど、例の激安BRILLIANTがなかなかよさそうなウワサだったので、この度東京まで出張時に思い切って(酔った勢いもあって)購入。だって「11枚で一枚分の価格」でっせ。 曲が可憐で、屈託のない旋律が美しいのはもちろんだけれど、愛しのタマラちゃんが可愛いじゃないの。ちょっと挑発的でわがままそうなところが、もうタマんない!って、「芸術と容姿は関係あるのか!」という論議には「あるに決まっているでしょ。芸能なんだから」と答えることにしております。女性だって、ブサイク・ハゲ・デブ・脂ぎった爺指揮者・演奏家・歌い手より、若くてハンサムなほうが好きに決まっている。 ハーグ生まれだけれど、インドネシアやロシアの血を引いた国際派で、アウスタベ(このひとMessiaenで有名)に師事したらしい。どんな演奏ぶりかというと、意外と愚直というか、いくらでも軽快に流せるはずなのに、しっかりと旋律を大切に、確かめるような感じなんです。もっと華麗に弾けるはずなのに、けっこう真面目。少々タドタドしいくらい。 でも、なんか誠実な雰囲気があって、才気走ってはいないが、聴き手が応援したくなるようなピアノなんです。特別な輝きのある音色じゃないが、Schubert 初期の作品には似合っているかも知れません。人生の黄昏には、まだまだ遠い。そんな陰りは必要ないでしょ。D157、D279辺りまでは。 変ホ長調のD568になると、旋律そのものに少々哀愁も出てきて、後期SCHBERT典型の魅力が溢れます。第2楽章アンダンテなんか、アルペジョーネ・ソナタの雰囲気がある。タマラちゃんも、この作品の方がずっと曲に感じ入って弾いているようで、やはり初期の作品をおもしろく聴かせるのは難しいものなのかな?でも、飾り気がないのは、この曲でもいっしょでした。 幻想曲は、まるでコンサートの名残惜しいアンコールのように響きました。懐かしく、とぎれとぎれであり、はかない。(嗚呼、これはMozart 以来の感動の発見)アレグレットは誰でも知っている旋律でしょう。ほのかな歓びと陰りが交互する世界。清潔で汚れのないピアノが、ここではずいぶんと効果的でした。 スケルツォとなっていはいるが、ラストは軽快なワルツかレントラーの世界です。ここでもほんのちょっとだけ、寂しさが顔を出すが、少々融通の利かない踊りが微笑ましい。(2002年4月14日)
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