スウェーデン管弦楽作品集
(オッコ・カム/ヘルシンボリ交響楽団)


NAXOS 8.553115  購入金額失念880円ほど? SO"DERMAN (1832-1876)

スウェーデン祝祭音楽

STENHAMMAR (1871-1927)

カンタータ「歌」〜間奏曲

Larsson (1908-1986)

田園組曲
エピローグ(「冬物語」より)

PETERSON-BergER (1867-1942)

4つの小品(「フレセンの花々」より)

ALVE'N (1872-1960)

ポルカ(「ロスラーゲン」より)

Wire'n (1905-1986)

「行進曲」(弦楽セレナードより)

ALVE'N

エレジー(劇音楽「グスタフ=アドルフ2世」より)
夏の徹夜祭

オッコ・カム/ヘルシンボリ交響楽団

NAXOS 8.553115 1994年録音 購入金額失念880円ほど?

 ワン・ターンの繰り言を継続して10年余。最近”毒喰らわば皿まで”の心境に至ってBeeやん87枚組入手、リハビリも進んでおります。もとより生来の飽き性故「いつも同じ音楽ばっか聴いてらんねえよ!」的、珍しもの狙いが高じた(アンチ)症状だった、と自戒しております。日本では独墺系交響曲中心の風潮が未だ根強くて、休みにご近所会場アマオケ演奏会に行こうと思っても、ほぼBeethoven /Brahms +Tchaikovsky、といったレパートリーばかりなんです。これにLiszt 交響詩「前奏曲」が加われば、ほんま食傷気味。

 音楽の価値云々じゃなくて、純粋に個人嗜好問題。でもね、やはり馴染み薄き作品を幅広く楽しむ、というのは音楽愛好の鉄則だと思うんです。このCDはいつ購入したのかも記憶なし、おそらくは「夏の徹夜祭」辺り狙いだったんじゃないか。いまじゃ、どの作品もお馴染みさんに。カラヤン・コンクール優勝!(1969年)メジャー・レーベル・デビュー!のオッコ・カム(1946年〜)は母国フィンランドでの活動を選んだようです。ヘルシンボリ交響楽団は隣国スウェーデンのオーケストラ。ジミで鳴らない、あまり上手くないオーケストラだけれど、誠実なサウンドには似合う音楽があるんです。

 SO"DERMAN(セデルマン)は、いかにも華やかで、平易な旋律が祝祭的雰囲気を盛り上げます。Shostakovichの「祝典序曲」をちょっとジミにした感じ。STENHAMMAR(ステンハンマル)の「間奏曲」は静謐なる弦主体、筆舌に尽くしがたい甘美安寧の旋律。世代から考えたらずいぶんと保守的な作風ですね。途中より金管によるコラール風敬虔な旋律が登場してクライマックスへ。

 Larsson(ラーション)だったらほとんど現代、こないだまで生きていた人ですね。田園組曲は序曲/ロマンス/スケルツォからなっていて、これも保守的作風で誰にでも愉しめそう。ほとんどSibelius 風、明るく、快活なる旋律が躍動して交響曲第3番ハ長調を彷彿とさせる序曲。「ロマンス」にはさきほどのSTENHAMMARに負けぬ歌があり、「スケルツォ」の木管の絡み合いは小鳥が囀(さえず)るような爽快な音楽。「エピローグ」は悲しい想い出が、甘美に昇華したような詠嘆に溢れた佳品でした。

 PETERSON-BergER(ペッタション=ベリエル)「フレセンの花々」は、ソマール・ハーゲンへの入口/夏の歌/お祝い/フレセンの教会にて、という4曲からなって、Griegによく似た(いや、いっそう保守的にしたような)懐かしくも素朴な旋律が続きます。「フレセンの教会にて」はいかにもコラール風旋律であって、金管(そして木管に引き継がれる)で和音が奏でられると、まるで田舎の教会の結婚式のような雰囲気がありました。心が洗われるような厳粛さもありますよ。

 Wire'n(ヴィレーン)の弦楽セレナードはけっこう有名でして、終曲のみの収録はいかにも寂しい。ユーモラスな躍動と喜びに溢れる作品也。ラストALVE'N(アルヴェーン)が世間的に一番有名かな?「ポルカ」はほんの2分ほどの作品だけれど、スキップするような付点リズムは「徹夜祭」によく似ております。「エレジー」の寂寥は長調で表現される静寂の5分。「夏の徹夜祭」は、明るく楽しい旋律がお馴染み。これが繰り返され、変貌し、どんどん騒がしく盛り上がっていく幸せな音楽でした。

 こんな奥床しい音楽だったら、独逸伝統の重厚サウンドとか、亜米利加近代管弦楽技巧の精鋭!は必要ないんじゃないか。日常聴きに相応しい飾らない演奏であります。

(2009年5月15日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi