SUK 弦楽セレナード 変ホ長調/Dvora'k セレナード ホ長調
(ヤロスラフ・クレチェク/カペラ・イストロポリターナ)


NAXOS 8.550419 SUK 

弦楽セレナード 変ホ長調 作品6

Dvora'k

セレナード ホ長調 作品22

ヤロスラフ・クレチェク/カペラ・イストロポリターナ

1990年録音 NAXOS 8.550419 購入価格失念

 NAXOSでは比較的初期録音であり、CDでも(もちろん)NMLでも拝聴可能な現役音源であります。立派なものですよ、こんな地味なものをずっと入手可能な状態にしておくなんて。クラシックのCDは枚数が売れないから、”ワン・ロット作って売り切り”みたいのが多いんです。(故にワタシの20年前中古CDがオークションでちゃんと売れたりする/安いということもあるけれど)何度かの中断を経、現在オークション処分は中断しているけれど、これは売れ残りです。当初からそれは予想しておりました。作品、演奏家とも人気ないというか、知名度低いですから。せっかくだからちゃんと聴いてあげなくっちゃ。同一作品別演奏が棚中にある、というだけで演奏云々に問題はなかったはず。

 カペラ・イストロポリターナって、1983年スロヴァキア・フィルのメンバーによって創立されたそうで、来日も果たしておりますね。スロヴァキア放送交響楽団(またはCSR交響楽団)と並んで初期NAXOSの音源レパートリー拡充を担っていたと記憶します。クレチェクは1939年生まれ、チェコのヴェテランらしい。いつ購入したか記憶もないが、20年ほど前なんじゃないか。そうだとしたら833円(@1,000/5枚買えば1枚おまけ/当時激安!)か。それとも後年BOOK・OFFにて@250入手したのか?細部迄、指揮者の配慮が行き届いた瑞々しいアンサンブル。音質もよろしい。

 処分を検討したのは、ほか数種の同一作品が棚中に存在するから。もとよりお気に入り、懐かしい旋律いっぱいの名曲であります。Josef Suk (1874-1935)は、たしか高名なるヴァイオリニスト(同姓同名)のお爺さんだったはずで、更にはDvora'kの娘婿でもあります。師匠である義父の影響(旋律テイストが似ている)も見られます。こちらのほうがずっと素直でストレート、シンプルな曲想に仕上がっているのは、18歳の作品だから当たり前でしょう。安寧と憧憬に充ちた第1楽章「アンダンテ」の開始から、聴き手の耳を離さない爽やかさ、陰影ある旋律であります。

  第2楽章「アレグロ」は浮き立つようなワルツであって、優しい歌が続きました。第3楽章「アダージョ」は10分を越え、全曲中もっとも長く、白眉であります。纏綿切々と懐かしい情感が夜想曲風に歌われます。途中情感が盛り上がるサビもあるけれど、恋する若者の静謐なるセレナードなのでしょう。終楽章「アレグロ」は民族的旋律リズムが若々しく躍動して溌剌、クレチェクの表現は清冽に溢れ、仕上げは極上であります。個性を前面に出す人ではないようだけれど。

 師匠の作品は熟達練達の出来であって、メロディ・メーカーとしての実力本領発揮、といったところ。第1楽章短い「モデラート」から甘美な情感の揺れが、静かに寄せては返す〜そんな風情は絶品でしょう。第2楽章「ワルツのテンポで」はさらりとした哀愁に充ち満ちて、泣けるほど美しい!中間部の晴れやかな〜と思ったら、ココロの憂愁はまだ雲散しないよう。第3楽章「スケルツォ」は囁くように始まって、躍動と推進力、そしてたっぷりとした”愛の歌”が続きます。なんせセレナードですから。ここでも暗転、そして晴れやかな風情への転調が絶妙。

 第4楽章「ラルゲット」は深呼吸のような、静謐かつ落ち着いた味わい。これも甘美なる”愛の歌”だな。途中、リズム感が短く変化して聴き手を飽きさせません。終楽章は溌剌としたリズムに乗って、短調〜長調と旋律はどんどん転調して多彩であります。作品表記はホ長調だけれど、全体に(甘く切ない)哀愁テイストが鏤(ちりば)められて名曲!

 弦楽アンサンブルはゴージャスではないが、質実で誠実。作品の味わいを立派に伝える水準でしょう。音楽個性に優劣は付けられないが、”戦うBeeやん!”よりワタシの嗜好にフィットする素敵な一枚でした。

(2011年2月11日)


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written by wabisuke hayashi