Handel 「水上の音楽」「王宮の花火の音楽」
(シッパーズ/BBC交響楽団)


ANF LIVE CLASSIC  LCB-134  1975年ロンドン・ライヴ録音 Handel

組曲「水上の音楽」(39:46)
組曲「王宮の花火の音楽」(21:10)

シッパーズ/BBC交響楽団

ANF LIVE CLASSIC LCB-134 1975年ロンドン・ライヴ録音。 500円で購入。

 ケルテスなんかと並んで「いま、元気だったら音楽界の様相が変わっていたはず」と云われるシッパーズの録音。1977年に47歳で亡くなったアメリカの星でした。オペラでの活躍が多かったようですし、こうしたバロック音楽の録音は珍しい。

 拍手や咳払いが入っているのでライヴ録音でしょう。ややオン・マイクで平板な響きながら、音の状態は極上。版は不明ながら「水上の音楽」は12曲、「王宮」は6曲からなるフル・オーケストラ版。弦楽器も入った小編成オーケストラと想像されます。

   じつは・・・・「王宮」はともかく、「水上」はやや苦手な曲。だから滅多に聴きません。このCDを久々に聴いてみたら、意外と堪能してしまいました。

 「水上の音楽」。リズムの切れが良くて、軽快な味わいある演奏でしょう。オーボエ・ソロの静かでしみじみとした音色、ホルンの豪快な咆哮もみごと。聴き惚れます。BBC響は特別な音色を感じさせませんが、素直でバランスのとれた演奏ぶり。アンサンブルは特筆するほどのものではないけれど、ライヴでここまでの完成度は立派。

 「王宮」。こちらは、いかにもお祭り騒ぎが楽しくて気に入っています。ストコフスキーの「花火入り」の録音なんかもありましたね。(ああいう趣向は好き)トランペットの堂々たる輝きと、うけて立つ弦の控えめな響きの対比も絶妙。全体としてやや抑え目、そこがいかにもイギリスらしい上品さで悪くない。

 シッパーズには独特の「ノリ」があって、聴いているうちにカラダが揺れるような快感があります。こういった現代楽器によるバロックは流行らないのかも知れませんが、時代錯誤的な分厚すぎる響き(じつは、そういうのも個人的には好き)ではない。爽やかです。個性は強くないかも知れませんが、楽しい演奏。(トランペットがちょっとトチるところがあって、そのライヴ感が最高)

 500円。買わいでか。唯一の弱点は2曲でインデックス二つだけという編集の乱暴さ。ANFのこのシリーズはかなり聴きましたが、音質はこれが一番でした。

* その後、再聴しようと思ったら見あたりません。棚から探せない。誤って処分したか?(2005年5月)


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written by wabisuke hayashi