Stravinsky 弦楽のための協奏曲ニ調「バーゼル協奏曲」(バルビローリ)/
「カルタ遊び」(作曲者自演)/デュオ・コンチェルタンテ(シゲテイ(v))


MEISTERKONZERTE100枚組8,519円也 72枚目 232098/72/2009年12月購入HMV通販 Stravinsky

弦楽のための協奏曲ニ調「バーゼル協奏曲」

ジョン・バルビローリ/ニューヨーク・フィルハーモニック(1948年)

バレエ音楽「カルタ遊び」(3回勝負のバレエ)

作曲者/ベルリン・フィルハーモニー(1938年)

デュオ・コンチェルタンテ

シゲテイ(v)/作曲者(p)(1945年)

MEISTERKONZERTE100枚組8,519円也 72枚目 232098/66

 学究的かどうかともかく、協奏的作品もかなり収録している巨大・安価な100枚組セットより。ほぼどれも音質が良心的なのもけっこうでございます。但し、どれも収録時間が短い(40分程度が多い。70分収録だったら60枚くらいで収まるんじゃないか?)、コンピレーションが少々無定見なのが弱点か。ま、贅沢言えばキリがない。どれも聴き応えのある演奏ばかりですし。この一枚の収録は47:59。

 「バーゼル協奏曲」が(パウル・ザッヒャー/バーゼル室内管弦楽団によって)初演されたのが1947年だったから、その翌年にはメジャーなオーケストラで演奏されていた、ということですね。当時の意欲的なレパートリー開発姿勢が想像されます。わずか12分ほどだけれど、端正であり、乾いた情感が支配するクール!な作品。わずか12分ほど。”新古典主義”時代の合奏協奏曲だけれど、もちろん著名なるHandel とは似ても似付かぬ現代音楽であります。精神のみ引き継いだのか。

 難解でも晦渋でもない、旋律は平易。バルビローリは慈しむようにていねい仕上げ、緊張感溢れるオーケストラも好調です。

 作曲者自演の「カルタ遊び」は、1937年作曲者自らの指揮で初演されているから、この録音もできたてホヤホヤの翌年録音となります。これも”新古典主義”時代の作品であり、野性的暴力的響きは影をひそめて、平易シンプルなサウンドが続きました。ナチス・ドイツ時代のベルリンでこんな音楽を演っていたんですね。叙情的な起伏のない、エピソードが淡々と続くようなこんな音楽は大好き。

 特筆すべきは音質の良好なこと、ベルリン・フィルの厚みのある響きでしょう。1964年クリーヴランド管弦楽団との録音より、こちらのほうが聴き応えたっぷり!ベルリン・フィルがこんな作品に馴染んでいるワケはないし、こんな立派なアンサンブルに仕上げる作曲者の指揮の技量もたいしたものです。

 「デュオ・コンチェルタンテ」も協奏曲風という扱いで収録。ヨゼフ・シゲティは現代の作品にも熱心だったんですね。例の如し、美しいとは言い難い不器用な音色、流麗から程遠い技巧〜それでも、メニューイン辺りとはぜんぜん異なって、どれも作品の本質を見事にえぐり出したような真摯な説得力に溢れます。これも”新古典主義”時代の作品であって、感情の盛り上がりとか起承転結ははっきりせぬ作品だけれど、けっこう甘美な旋律が怪しく登場して愉しめる・・・ま、この辺りがツボですから、ワタシの。

(2010年2月5日)


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