Stravinsky バレエ音楽「ペトルーシュカ」
(オスカー・ダノン/ロイヤル・フィル)/
バレエ音楽「春の祭典」
(ルネ・レイボヴィッツ/ロンドン・フェスティヴァル管弦楽団)


Chesky CD-42 Stravinsky

バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1911年版)

オスカー・ダノン/ロイヤル・フィル(1962年)Oskar Danon (1913-2009セルビア)

バレエ音楽「春の祭典」

ルネ・レイボヴィッツ/ロンドン・フェスティヴァル管弦楽団(1960年)Rene Leibowitz (1913-1972波蘭)

Chesky CD-42

 知名度薄き”現代もの”は一般にスルーしがちだけれど、どんな著名古典作品だって発表されたときには”現代もの”、それが時代の波を乗り越えて現在に生き残ってきたのでしょう。きっと消えて忘れられた作品死屍累々、隠れた名曲もあることでしょう。MahlerやR.Strauss、DebussyやRavelだって19世紀浪漫を突き抜けて当時は時代の先鋭、新ウィーン楽派に至っては21世紀の耳でもかなり硬派、それでも同時代の著名な演奏家巨匠達が養護して演奏会のレパートリーに定着いたしました。BartokとかStravinskyは、一連の露西亜勢(Shostakovich、Khachatrian辺り)と並んで稀有な最近の成功例でしょう。

 この2曲は売れ筋中の売れ筋、昔の記録を探ってみるとイーゴル・マルケヴィッチ(1912ー1983)辺りが当時は難曲中の難曲「春の祭典」(1913年初演はピーエル・モントゥー)を引っ提げて、全世界を行脚していたのですね。そして現代、完全定着人気演目に至る・・・メルヘンな旋律が美しい「火の鳥」、野蛮破壊的リズムが魅惑の「春の祭典」、そして賑々しい遊園地の喧騒が愉しい「ペトルーシュカ」、どれも傑作中の傑作、大好きな作品です。

 閑話休題(それはさておき)どんな経過か知らぬけれど往年の東欧の名オペラ指揮者が、通販大手出版社のリーダーズ・ダイジェスト社の録音に登場しておりました。たしかRCAのスタッフ+英DECCAのケネス・ウィルキンソンによる優秀録音だったはず。バレエ音楽「ペトルーシュカ」はオリジナル4管編成である1911年版、1947年版のほうは3管編成しかも華やかな効果があるらしいけれど、こちらのほうが響きに厚みがあって好みでした。他、途中経過の小太鼓がなかったり、ラストが華やかにさっさと終わったり、抜粋したりいろいろ版はあるみたい。(ストコフスキーとかジュリーニとか)

 当時のロイヤル・フィルはルドルフ・ケンペ時代(1961 - 1975)技術的に優れ、豊かな響きに鳴っております。テンポは中庸、血湧き肉躍る!とはこのこと、遊園地の喧騒がヴィヴィッド、リズミカルに表現されて21世紀にありがちな”知的クール”とは一線を画すアツい演奏、オケはそれなり洗練された響きでも例の金管先頭に”粗野な”サウンド、これはオスカー・ダノンの意図するところだったのでしょう。切迫した叫びと、ノンビリとしたジンタのリズムの対比も上手いもの、色彩陰影豊か、変化に富んだ演奏は全曲34:07、一気呵成に聴き通して飽きさせません。これは知名度薄い存在だけど、思わぬ拾いもの。

 問題はルネ・レイボヴィッツによる「春の祭典」。彼は作曲家であり新ウィーン楽派を普及させるべく尽力された方、ネットでいくつか情報を探ると”こちらのほうが目的でCDを購(あがな)った”との情報も見られて、これはこちらも同様、そしてちょっぴりガッカリしたのも似たような経験でした。まず音質が違う。細部の解像度に優れ、けっして悪い録音ではないけれど録音スタッフが違うのか?それとも収録会場問題か、例の華やかな感じがありません。マルチマイクの天才Kenneth Wilkinson(1912-2004)ならばもっと低音やら打楽器を強調するでしょう。知的に整った”クールな”演奏だけど、どーもオモロくない、それはロンドン・フェスティヴァル管弦楽団(臨時編成乃至ナショナル・フィル、シンフォニア・オブ・ロンドン辺りの変名?)の技量問題もあったのかと思われます。

 前回拝聴時にはオケが上手くないと感じたけれど、今回確認ではそんなことはない。細部きっちり弾けていて、アンサンブルに不満はないんです。但し、上手いオケというのは自分のパート出番に”色、個性”を発揮するもの、それがやや型通りな感じ。逆にレイボヴィッツは”色、個性”を嫌ったのかも、わざと特有の色を持ったオケ採用を嫌ったのか(違うと思うけど)そのくらい粛々淡々、こぢんまりとした「春の祭典」でした。

(2019年6月23日)

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written by wabisuke hayashi