Stravinsky バレエ組曲「火の鳥」/「ペトルーシュカ」
(エフゲニ・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル)


Leningrad Masters LM 1313 Stravinsky

バレエ組曲「火の鳥」(1919年版/1961年ライヴ・モノラル
バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1911年版/1964年ライヴ・モノラル

エフゲニ・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル

Leningrad Masters LM 1313

こんな近代管弦楽の華みたいな作品は、新しい録音に限る!こちら悪名高き旧ソヴィエットのライヴ、この時期にモノラル録音、しかし音質は意外と、まずまず鮮明です(入手した音源にはステレオ・プレゼンス付加)。聴衆の頻繁な咳もリアルでっせ。オケは上手いなぁ、ほとんど驚異的なアンサンブル、引き締まって洗練さた硬質サウンド、切れ味あるテンションとニュアンスの同居、これはこれでメルヘンな作品旋律が際立って美しいもの。「火の鳥」終曲に向かうホルンの妖しいヴィヴラート最高!「ペトルーシュカ」に於ける縦線ぴたり!合ったアンサンブルの快感。
(「音楽日誌」2015年5月)
 誰も知っている往年の旧ソヴィエットが誇る巨匠Evgeny Mravinsky(1903ー1988露西亜)による20世紀音楽音源。他「アゴン」「妖精の口づけ」とかBartok、Hindemith、Honegger辺りの録音があるから同時代の作品には熱心だったのでしょう。この時期にしてモノラルというのも旧ソヴィエットらしい、ライヴ録音はオフマイクっぽく、かなり鮮明な音質でした。”聴衆の頻繁な咳もリアル”との印象もそのとおり、会場のリアルな空気感がしっかり感じ取れるもの。

 「火の鳥」は短い1919年版組曲(ニ管編成打楽器少なめとのこと)。3:08-1:33-4:01-4:05-4:02-3:08、心持ち速めのテンポ、要らぬテンポの揺れやら思い入れのある詠嘆は伴わず、クール怜悧な推進力に充ちた充実演奏。オケが上手いんですよ、圧倒的に。リズム感のキレ、アンサンブルの神経質なほどの整い方、この時代にして世界最高峰の水準でしょう。例の如し金管の金属的な爆発は「魔王カスチェイの凶悪な踊り」に顕著、続く「子守歌」に於ける入念なるデリカシー、シミジミとしたファゴットの上手さ、オーボエは金属的な音色+せり上がる弦の鮮やかなこと!

 そして「終曲」冒頭のビロビロに甘いホルンのヴィヴラートはブヤノフスキーですか?やがてフルート、弦楽器が参入して強烈な金管も華を添えて、圧巻のクライマックス!もっと演ってくれよ、できれば全曲で。あくまで旋律は詠嘆に揺れぬすっぱりとしたもの。

 バレエ音楽「ペトルーシュカ」は一部別音源に1947年版(三管編成)という記述もあって、ド・シロウトに真偽は判断できません。こちらもうちょっと出足オフ・マイクっぽくて音像が遠い、でも自然な感じでした(途中から音量が上がる)。3:45-1:34-4:24-9:00-2:42-13:23、テンポは馴染みの設定、第1部「謝肉祭の市」から圧巻の推進力とノリ、テンション高く颯爽と過ぎ去ります。第2部「ペトルーシュカの部屋」冒頭に於けるフルートが朗々と歌って、これは名手ですね。静謐部分での集中力は指揮者の統率の証でっせ。例の馴染みの激しいリズムへ突入すると、高音がちょいと刺激的に濁ります。リズムは熱気を増して、怜悧にアンサンブルを維持しつつ、暴力的な喧騒へと雪崩込みました。

 第3部「ムーア人の部屋」に入るとただならぬ緊張感と怪しさ、いや増して、リズム感の厳しさとオケの実力発揮。ピアノの存在感も凄いですね、誰なんでしょう。静謐から喧騒へ、そこで一発テンポと音量を上げるのは素晴らしい効果でした(金管炸裂!)。そういえば曲のつなぎにドラム・ロールが入らぬのは寂しい感じ。名手トランペット・ソロの微細なミスもライヴならではリアル、ラスト第4部「謝肉祭の市(夕景)」あたりに至ると金管木管祭り状態、疾走するテンポにこの華やかな切迫感熱気は尋常に非ず。

 格闘(ペトルーシュカとムーア人の喧嘩)にて終了せず、ちゃんと静謐に怪しいペトルーシュカの死〜亡霊まで演奏しておりました。ラスト土壇場で名手トランペット・ソロのミスタッチ有。凄く朗々としているから目立ちますよ。

(2020年2月22日)

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written by wabisuke hayashi