Stravinsky バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)/
ピアノと管楽器のための協奏曲
(ワルター・ゲール/オランダ・フィル/ノエル・ミュートン=ウッド(p))


MMS 64-A Stravinsky

バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)
ピアノと管楽器のための協奏曲

ワルター・ゲール/オランダ・フィル/ノエル・ミュートン=ウッド(p)

ConcertHall MMS 64-A

 LPーCD初期時代のように音源は高価ではなくなったので、自由自在好き放題に音楽を楽しめる時代がやってきました。1960年ころでも鮮明な音質録音は存在するけれど、それ以前太古歴史的音源は個性豊かな時代を懐かしんでも拝聴機会は減っております。1980年辺り以降はディジタル時代、音録りの思想はさまざま、けっこう新しい録音でも「?」な出会いがあるのもオモロい趣味のうち。これはネットより拾った少々昔のもの、 Walter Goehr(1903-1960独逸→英国)はナチスを逃れてイギリスに渡ったユダヤ系の人とのこと、この録音は1950年代なのでしょう。著名なオケとかメジャーレーベルへの録音に縁がなかったから、好事家に愛された存在かも。ネットを探るとアムステルダム・フィルハーモニー協会という表記も見られます。(オランダ・フィル合併前の旧称とか)

 偶然ネットより音源を入手して、音質は予想外に解像度がよろしいことに驚きました。やや曇ったモノラルだけど、充分作品を堪能できる水準。ワルター・ゲールはScho"nbergに学んだそうだから、同時代の音楽には精通していたことでしょう。「火の鳥」は2管編成の1919年短縮版、バーンスタインとかマリス・ヤンソンスはこの版の録音しか残していないはず。ここでの演奏時間は20:06。

 序奏の低弦より響きは明晰、落ち着いてクールなテンポ設定、前のめりに走りそうな部分もしっかりリズミカルな表現でしょう。オケの反応、色彩も期待以上な「ヴァリアシオン」、優しく歌う「王女たちのロンド」の繊細さ、木管のデリケートな美しさ。「魔王カスチェイの凶悪な踊り」も腰を据えてしっかり噛み締めるようにイン・テンポ、金管楽器はかなりの技量とみました。ここで一旦休止して「子守歌」はファゴットの妖しい歌に始まる切なくも官能的なところ、そのまま「終曲」はホルンの懐かしい響きからメルヘンな大団円が待っておりました。

 ピアノと管楽器のための協奏曲は1924年初演(セルゲイ・クーセヴィツキー/作曲者のピアノ)。選曲的にConcetHallレーベルは意欲的でした。Noel Mewton-Wood(1922ー1953濠太剌利)は若くして亡くなったらしい。題名通り管楽器のみ伴奏による3楽章計20:09。第1楽章「Largo - Allegro - Piu mosso - Maestoso」短い序奏を過ぎると快活な躍動が始まって、擬バロック風でもあり、Marutinuの風情にも似ておりました。ピアニストはリズミカル、リリカルな風情を崩しません。第2楽章「Largo - Piu mosso - Tempo Primo」は静謐に美しく、けっこう甘い旋律は保守的か。Ravelのピアノ協奏曲緩徐楽章を連想いたしました。管楽器の呼応にオケの技量不足も感じさせません。アタッカにて第3楽章「Allegro - Agitato - Lento - Stringendo」へ突入。無調っぽい暗く不安な旋律で始まって、晦渋さはない明晰な響き。ピアノのアルペジオに乗って管楽器が躍動して、Bartokに負けぬ名曲と思うけどなぁ、個人の嗜好としては。

(2020年2月29日)

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written by wabisuke hayashi