ウィンナ・ワルツ集(ジークハルト/ウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団)J.Strauss
喜歌劇「こうもり」序曲 Jpsef Strauss
円舞曲「天体の音楽」作品235 J.Strauss 円舞曲「美しく青きドナウ」作品314 ジークハルト/ウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団 ARTE NOVA 74321 80771 2 2000年録音 380円で購入 最近読んだ「レコ芸」の記事よると、ARTE NOVAはメジャーRCAのまるまるの子会社、というわけでもなく、出資を仰いだベンチャー・ビジネスらしい。ここ最近の新録音状況やヒット作を見ていると、NAXOSに勝るとも劣らない量と質と価格を誇っていて感心します。このCDも、ジークハルトというわりと名の売れた指揮者に、いかにも、というヨハン・シュトラウス管弦楽団という組み合わせだけれど、選曲が凝っていて興味津々。 ドイツ語表記しかなくて、手持ちのカタログなんか調べても曲名がわからないものがけっこうありました。作品200番台は意外とCDが出ていないもんです。Marco Poloが膨大な「作品全集」(?)を出していましたが、ジークハルトも数枚分録音していた記憶がある。1951年生まれの中堅、ウィーン生まれだからウィンナ・ワルツには思い入れがあるのでしょう。 演奏は、そう「鳴る」オーケストラでもないし、艶やかで華々しい響きとも言えません。写真で見る限り編成も小さいみたいだし、なんとなくあか抜けなくて、素朴な感じもあって、それはむしろそこが好ましい。勢いよく始まって欲しい「こうもり」は、イマイチ鈍いというか、颯爽としていません。(カルロス・クライバーが念頭にあるせいか?)「とんぼ」作品204、「飛んで」 作品230という聴く機会の少ない短めの曲を経て、「千夜一夜」間奏曲ではシミジミとした情感が伝わりました。 ポルカ「狩り」 は軽く流していただいて、円舞曲「ウィーンの森の物語」はさすがというか、オーソドックスで諄々とした味わいが深い。(ツィターではなく、ヴァイオリンで代用しているのは残念)これは芸術家の表現意欲より、踊るための音楽になっているのでしょうか。「ジプシー男爵」の行進曲で肩をほぐして、次がこのCDの白眉。 とろ〜りと甘い「ロマンツェ」は初耳でした。わずか4分ほどの小曲ですが、チェロが静かに泣いていて最高。未知の魅力ある曲を発掘できて、この曲だけのために380円支払ってもお釣りが来ます。 ヨゼフ・シュトラウスは兄を凌駕するメロディ・メーカー。「天体の音楽」の旋律は繊細で上品な味わいがある。「鍛冶屋」も有名で、ここは思いっきりニギニギしく騒いで欲しいが、そこまで行かないのがウィーンならではの奥ゆかしさ。(想像するにアーノンクール辺りだと、かなりやってくれそう) どんなCDでも「美しく〜」は欠かせません。特有の訛あるワルツのリズムがきこえます。立派な演奏に間違いないが、華やかさには欠けてジミっぽい響きを嫌う方はいらっしゃるかも知れません。 派手さもないし、煌めくような個性も感じさせないが、どことなく粋で、うるさくならないのはさすが。ウィンナ・ワルツはリキんじゃいけなんです。ウィーンのJugendstil-Theaterという場所での収録。ややデッドな音。自然ではあるが、どんよりとした響きは会場のせいなのか、このオーケストラの個性なのか、それとも録音技術者の趣味か?(2001年7月20日)
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