●そうとうマイナー・レーベル


Smetana チェコ舞曲集/ピアノ三重奏曲ト短調


DOCUMENTS LC12281/223523 321 10枚組1,780円 Smetana

チェコ舞曲集第2集より
第1番「フリアント(Furiant)」/第2番「スレピチカ(Slepicka [The hen])」/第5番「ツィブリチカ(Cibulicka [The little onion])」*/第10番「スコチナー(Skocna [Hop dance])」

カレル・コサレク(p)/*ヴェロニカ・ベーモヴァ(p)(2000年ライヴ)

チェコ舞曲集より
第1集〜ポルカ第2番イ短調/第3番ヘ長調
第2集〜第7番「槍騎兵(Hulan [The lancer])」/第8番「オブクロチャーク(Obkrocak [The astride dance])」/第1番「フリアント(Furiant)」

イヴァン・モラヴェッツ(p)(1974年ライヴ)

ピアノ三重奏曲ト短調 作品15

ダニエル・カルミュンツァー(p)/パヴラ・フランク(v)/シモン・カンカ(vc)(2000年ライヴ)

DOCUMENTS 223513/9 10枚組1,780円のウチの一枚

 DOCUMENTSの10枚組は安価で豊富な収納がありがたいが、演奏者、収録された作品表記が曖昧なことには少々閉口気味。解説は必要ないけれど、せめて正確な作品名のみでも・・・という望みは贅沢か。これは10枚組中/9枚目のピアノ作品(チェコ舞曲)+室内楽だけれど、音質も良好なものだし、演奏もなかなか味わい深いものです。知名度的にはイヴァン・モラヴェッツが高いでしょう。ほか、地元の演奏家かな?すべてライヴ音源。ま、この一枚のみで”1,780円”分の価値はちゃんとあります。

 調査の結果が上記となります。チェコ舞曲第1集も第2集もごっちゃにクレジットされているし、イヴァン・モラヴェッツは5曲まとめてひとつのトラック。ラストは冒頭コサレクによる「フリアント」と同一曲だけれど、ぱっと見そうとは気付かない。「音楽など耳で聴けば良い」のは自明の理ながら、せめてどんな作品が収納されているか、くらいは正確に表記していただきたいものです。ちなみにラスト、ピアノ三重奏曲ト短調も、楽章ごとのトラック分けなし。

 チェコ舞曲集第2集第1番「フリアント」/第2番「スレピチカ」はリズミカルで、楽しげな熱気が感じられる佳曲(まばらなる拍手有)。第5番「ツィブリチカ」には拍手がないし、これだけ演奏者が異なるので別録音かも(音質的な違和感なし/「小さな玉葱」って、どういう意味でしょ。故事由来があるのか)。第10番「スコチナー」の推進力も素晴らしく、カレル・コサレクの達者で明快な技巧は聴きものであります。どれも聴き馴染んだ溌剌リズムで一杯。

 イヴァン・モラベッツはチェコの名匠であり、タッチは濃厚で瑞々しく変化いたします。前曲ではストレートな躍動であった(そちらも悪くないが)のに対して、陰影豊か、繊細なるニュアンスとタメ、テンポの揺れ、疾走、余裕があって、これは世代の違いでしょうか。おそらくはこの10枚組セットの白眉であります。ポルカ の優しい表現に陶然とし、「オブクロチャーク」(第8番)の大仰なるリズムの強調、ラスト「フリアント」は表情豊かな変化が決まっております。最高。

 Smetanaのピアノ・トリオは初耳でした。「4歳の愛娘を失った悲しみが反映された作品」とのことだけれど、悲痛な旋律が劇的に美しい作品也。全27:44。音質(ライヴ)印象故かアンサンブルはやや散漫っぽいが、作品の魅力を充分伝えて下さる立派な演奏です。この人々もジモティかな?噂によるとピアノの表現が難しいらしい。浪漫的な詠嘆には暗い陰が・・・時に激昂(第1楽章)し、懐かしく回顧(第2楽章)し、最終楽章ではいかにもチェコ風のリズムが疾走します。

 そしてチェロが甘美な想い出をゆったりと語り、ピアノがそれを受けて、快速なる”哀しみ”が回帰しました。ラストの締めは「モルダウ」を連想するとそれに似ているかも。 

(2008年5月16日)  

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written by wabisuke hayashi