Kirnberger/Krebs/Stamitz/Scheinpflug
(ロルフ・ロイター/シュータツカペレ・ヴァイマール)


PILZ 442080-2 Kirnberger(1721-1783)

シンフォニア(調性不明)

Krebs(1713-1780)

チェンバロとオーボエのための協奏曲(調性不明)
マリア・ブロイイティガム(cem)/ノルベルト・シュトルム(ob)
シンフォニア ハ短調

KARL Stamitz(1745-1801)

協奏交響曲第3番ニ短調
クリスチャン・フンケ(v)/ヨルンヤコブ・ティム(vc)

Scheinpflug(1722-1770)

シンフォニア ニ長調

ロルフ・ロイター/シュータツカペレ・ヴァイマール室内管弦楽団

PILZ 442080-2 EGRシリーズ

 1990年代前半東京に毎月会議出張し、東京駅構内で「EGRシリーズ」(旧東独逸の放送録音か)が1,000円也で売られておりました。意外と珍しい音源が揃っており、少しずつ貯めて拝聴〜やがて幾星霜、そろそろオークションにて処分でも、と思ったが、演奏者作品とも渋すぎて買い手が付きません。若い頃は耳慣れぬ作品、知名度にこだわらぬ演奏家を意欲的に拝聴しておりました。それが若かったということか、売れ残ったのも、弛緩して馴染みばかり聴いている華麗なる(精神の)加齢現象に喝!と理解いたしましょう。

 大Bach が1685- 1750だからその後継世代、Haydnとほぼ同時代(1732-1809)の作曲家でしょう。作品明細表記が不親切で他の演奏者録音が出ているかもわかりません。いずれ現代なら古楽器による演奏なのでしょう。ヴァイマールの歌劇場オーケストラは2002年に来日していたようです。「リング」のDVDは評価ボロカスみたい。ロルフ・ロイターは旧東独逸、歌劇場を中心として活躍した指揮者とのこと(1926-2007)。

 じつは21世紀に入って一度も聴いていないんじゃないか、不安です。

 Kirnbergerのシンフォニアって調性不明、絶対音感もないし、ま、虚心に流れていた音楽に耳を傾けましょう。3楽章わずか7分弱、急緩急の弦楽合奏であって、牧歌的ノンビリとした風情に陰影が絡んで素敵な旋律、第2楽章「アンダンテ」の哀愁の旋律しっとりとしております。オーケストラは素朴かつ渋い音色、中途半端に浪漫な表現(これはロイターの責任か)ではあります。終楽章は快活な躍動がいかにも古典的、端正オーソドックス。

 Krebs チェンバロとオーボエのための協奏曲にも調性表記なし。全22分ロ短調かな?チェンバロのソロ(メカニカルな現代楽器)がちゃんと活躍しているから、時代はBach 以降のスタイル、これまたノンビリと牧歌的なリズムは時々明るい風景に変化しております。ノルベルト・シュトルムとは知らぬ名前だけれど、さほどに流麗な技巧に非ず、チェンバロも大Bach の緊張感+多彩な旋律リズムを連想すれば、ずいぶんとシンプル(変化が足りない)でしょう。第1楽章のカデンツァも緊張感に欠けるのは演奏者の責任なのか。

 第2楽章「Amabile/愛らしく」。ここはオーボエの晴れやかな旋律がのびのび、やはり牧歌的という印象です。これがやがてチェンバロも絡んで暗転していく・・・が我らがヴォルフガングほどの才気を感じさせません。終楽章はPRESTO表示だけれど、テンポ設定云々と言うより演奏がノンビリし過ぎて・・・伴奏の弦そのものは”素朴かつ渋い音色”なんです。

 シンフォニア ハ短調は3楽章9分ほど。これはリズム感もあって緊張した表情の名曲であります。Haydnの「シュトルム・ウント・ドラング」風。優雅なる第2楽章「アダージョ」、終楽章にも勢いは充分〜だけれど、少々ワン・パターンか。いずれこのCD収録中、注目すべき作品であります。

 K.Stamitzの協奏交響曲第3番ニ短調って、木管も多彩に加わって存分に楽しめるマンハイム楽派(でしたっけ?)〜Mozart はすぐそこまで接近している!手応え充分(かなり似ている)。現代の耳ではやや浪漫風だけれど、響きに素朴さを失わないので違和感はありません。名手フンケとティムが加わって流麗なソロたっぷり堪能できる16分間。緩徐楽章がなくて「アレグロ」〜「ロンド」で終わるのもちょっと不思議な、愉悦に充ちた名曲と断言したい。

 ラスト シンフォニア ニ長調は、トランペット、ホルン、さらにティンパニも加わっていっそう華やか躍動する9分間。こうしてみると配列はよく考えられていて、後半になればなるほど次世代に接近する、といった配慮なのですね。ほとんどJ.C.Bach のシンフォニアにテイストが似ていて(≒Mozart )、まるで歌劇の序曲風。第2楽章「アレグレット」ちょっとほの暗いテイストも好対照、効果的であります。ここでは金管ティンパニは休んでおります。終楽章3拍子晴れやかなリズム感もモダーンであって、おそらくはオーケストラもこの演奏が一番充実しておりました。

(2011年11月19日)


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written by wabisuke hayashi