水戸室内管弦楽団’93


Bach
管弦楽組曲第2番ロ短調BWV1067

Mozart
交響曲第40番ト短調K550

Hindemith
弦楽のための5つの小品

ゴールドベルク/水戸室内管弦楽団/工藤重典(fl)

1993年4月10日 水戸芸術会館コンサートホール・ライヴ(NHK-FMよりエア・チェック)

 我が愛車(ということの程でもないボロ)に乗るとき、手元のカセットをパッとつかんでいきます。カーステレオにはカセットしか付いていないんですよ。で、たまたま聴いたのがこれ。ダイエーのブランドである「COLTINA」(紙貼りのいかにも安物)テープ。これをエア・チェックしたとき、「こりゃ、ダメ演奏。ツマらない」と思った記憶有。

 ところが数年ぶりに聴いてみると、悪くない。もしかしてオーディオ的な条件の改善かも知れないけど、ワタシ好みの変遷なんでしょう。ゴールベルクはこの少しあとに亡くなってしまって、いまとなっては貴重な録音になりました。水戸室内管って、たしか超一流のメンバーが勢揃いだったはずで、たしかにアンサンブルは一流でした。

 1990年、まだバブル時代イタリア出張したワタシは、帰りのパリ→成田のANA直行便で工藤さんに会いました。(慎み深いワタシはサインをねだる勇気はなかったが)閑話休題、このバッハにおけるフルートの線の太さ、色気のあること。いわゆる最近の録音では消滅したグラマラス方面のスタイルなんですね。初めてこの放送を聴いたときは、それが気に食わなかったんでしょう、当時のワタシは。

 1990年代のバロックは、既に古楽器の弾むような軽いリズムが隆盛してきており、この演奏はいかにもオーソドックス。アンサンブルの質は高く、厚みもある。こんなゆるり目のテンポもいまでは珍しいくらいだけれど、いかにも想像通りの演奏なんです。それに、妙に響きが湿っぽいのが(瑞々しいとはちょいと異なる)好みを分かつでしょう。いつもいつも聴くにはマンネリっぽいが、タマには逆に新鮮で楽しみました。

 湿っぽい響きは、Mozart のト短調交響曲にはピタリとあてはまる。当時の記憶では「優等生的な演奏で、じつにつまらない」と思っておりました。個性不足か?もしかしたらアーノンクールの毒気に当てられていたのかも。バランスの良いテンポ、耳障りの良い各パートの快い音色、どれをとっても不足はありません。

 どこといって特別なことをしていないのですが、日本の梅雨時を思わせるジメっとした響きは聴きものです。曲が曲だけに、たいていの演奏でも感動しますが、このオケにはいかにも適正がある。オケの響きに厚みがあって、自然なノリ。地味だけれど、聴き込むに連れてけっこう魅き付けられました。意外と最後まで飽きさせない演奏。

 60分テープの最後にヒンデミットが収録されています。いつもながらの辛気くさい音楽で、これが厚みのある弦に乗って、わりかし良い感じ。これはなんとなくバロックを思わせる曲ですね。ヴァイオリン・ソロは淡々として、じつに上手い。

 現代楽器の室内管は、レコーディング的にはやや注目されなくなった時代ですが、水戸室内管の実力はそうとうなものです。小澤が何枚かCDを出しているようですが、もっと個性的な実力派が、おもしろいレパートリーで録音してくれることを希望します。

 安物のテープのわりにまぁまぁの音質でした。(2000年11月1日)


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written by wabisuke hayashi