Wagner ジークフリート牧歌
(クレンペラー/シュターツカペレ・ベルリン1927年)


HISTORY 204559-308 The 20th Century Maestros40枚組5,990円のウチの一枚 Wagner

ジークフリート牧歌

Beethoven

序曲「コリオラン」「エグモント」「レオノーレ第3番」

R.Strauss

交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」

以上 オットー・クレンペラー/シュターツカペレ・ベルリン(1927年)

J.Strauss

喜歌劇「こうもり」序曲

オットー・クレンペラー/ロサンゼルス・フィルハーモニー(1945年)

HISTORY 204559-308 The 20th Century Maestros40枚組5,990円のウチの一枚

 ここ数年、サイト更新原稿執筆に苦戦しております。おそらくは音楽を聴く上での感性の摩滅か、執筆集中力の減退か。それとも、”カッコ付けている”だけのか。きっそうなのでしょう。もっと気楽に、どーせエエ加減なる趣味のサイトなんだし、それなりに書いたら良いんだと・・・そう自覚しております。なんどでも書き直したら良いんだし。貯まる一方のCDの山・・・これは喜ぶべき事象なんです。この”40枚ボックス”を購入したのは2001年((p)2000)だったかな?

 ポイントは二つ。まず、収録問題について。HISTORY〜XXCM〜そして(現)Membran/DOCUMENTSは、出目怪しい音源から様々仕様を変え、激安でCDを出して下さるから油断できません。この40枚組の数年後((p)2003)「KLEMPERER MAESTRO MISTICO」10枚組(XXCM 203184)が発売され、すべて再収録されるといった、ビミョーに悩ましい状況に至ります。(それに、ライセンスが怪しいVOX録音も多数含まれちゃう。1,980円じゃなかったら買わなかったぜ)閑話休題(それはさておき)

 驚くべきは1927年(クレンペラー42歳)の驚異的な音質です。時に老舗・EMIの録音のコシのなさに言及して、心あるオーディオの達人に窘(たしな)められることも多い今日この頃。ワタシのオーディオ環境は、(この原稿執筆時点)真空管2本のエレキットTU-894「エレキットTU-894」(もらいもの/生来のビンボー症故)+TEACの小型スピーカーだから、音質云々できる資格なぞ存在しないのは自覚の上。意外と歴史的録音も苦にしないワタシだけれど、「佳き音」に対する基本的スタンスが(真のオーディオ・マニアとは)異なるんだろうと思います。ノーミソ中で「足りないもの」を、いっぱい補填しているのか。

 (あくまでそのことを前提して)壮年のクレンペラーのしっかりと芯を感じさせる表現と、シュターツカペレ・ベルリン(となっているが、当時はプロイセンなんとか、じゃないのか?)のしっとり落ち着いたサウンドが楽しめます。ワタシはたしかに感動いたしました。正直申し上げると、このCDに収録される作品は、特別に”この作品はこうあるべき!”的嗜好はなくて、どんな演奏でも(よほど滅茶苦茶でない限り)まったり楽しめる・・・というのが事実でありまして、いえ、ここ最近、たいていの作品に対して似たようなスタンスか。

 だから、わざわざ大上段に構えて”サイト用原稿”なんて、そんなこと書けなくなっちゃったのかも。もっと正直に、素直に音楽に対する”愛”を語ればよいのか。

 「ジークフリート牧歌」〜愛と慈愛、やすらぎに充ちたこの作品に違和感があったのは、唯一(FMで聴いた)グレン・グールド/トロント交響楽団の演奏のみでしょうか。(あまりに乾いて、分析的過ぎ)クレンペラーでは、弦に(時代的に)少々のポルタメントが存在するが、現代の耳にも違和感なし。ていねいに旋律を歌わせて、甘過ぎず、素っ気ないこともない。このデリカシーはあくまで男性的(差別用語ですか?)で芯が強いもの。。弦、木管の技量は特筆すべき深さ(奥行き、豊かさを実感できる音質!ほんまに美しい)を以て、粛々と”愛”を語って、テンポはもたれず、揺れも少な目でしょうか・・・何度でも繰り返して聴きたい。

 後半のホルンの幻想的な響きには痺れました。聴き手(=ワタシ)は名残惜しく、曲の最後を見送ったものです。

 Beethoven は苦手、と公言している(音楽ファンとして恥ずかしい)ワタシだけれど、著名なる序曲集に対しても、特別なリクエストはありません。嫌いな作品、じゃないですよ。どれも雄渾(ゆうこん)で、重心の低いものだけれど、勢いに不足することもない、颯爽とモダーンなセンスを感じさせます。(序曲集には、とくにこれといった嗜好がないので・・・)

 「ティル」に限らず、ワタシはR.Strauss一般に”これ”といった感銘を受けることは限定された作品となります。(申し訳ない)音源問題か、ここでは少々低音が弱いですね。それでも冒頭のホルンから達者な技巧で、上質のオケであることは充分理解可能。クレンペラーの容貌とか世代から想像すると、古豪のような演奏か?と想像したが、じつは現代音楽に積極的であった彼のこと、同世代の作品(1895年初演)を軽妙に、しっとりとニュアンス豊かに、颯爽と輝かしく表現しております。

 つまり、やはりセンスとしてモダーンなんです。現代の新しい録音と並べても、まったく違和感なし・・・というか、オケの素晴らしい集中力、アンサンブルは舌を巻くばかりの説得力。ヴァイオリン・ソロも上手いなぁ。ちなみに、以上どの作品もテンポは中庸だと思います。晩年の遅さは存在しません。

 「こうもり」序曲は、ロサンゼルス・フィルとの録音・・・1945年と言うことは、戦争の影響でアメリカに出稼ぎ(いえ亡命)に、ということだったんでしょう。当時のオケは、メータ以降の鍛えられたアンサンブルじゃないはず。音質は針音もあり、オン・マイク気味なもの。賑々しい勢いと明るい華やかさ、 元気いっぱい骨太の輝かしさに溢れます。収録年代やら、音質の不備乗り越えて、独逸のオケとの違いが楽しめました。いかにもライヴ!的テンポのオーバーな揺れ、タメも快い。ラスト、モウレツなる燃えるアッチェランド!  

(2006年6月30日)


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written by wabisuke hayashi