Sibelius 弦楽のための作品集
(ユハ・カンガス/オストロボスニア室内管弦楽団)


FINLANDIA 4509-98995-2 総経費込@440ほど Sibelius

メロドラマ「孤独なシュプール」
モノドラマ「伯爵夫人の肖像画」
劇付随音楽「とかげ」組曲 作品8
プレスト
アンダンテ・フェスティヴォ
組曲「恋人」 作品14
ロマンス 作品42
田園組曲 作品98b
即興曲
ヴァイオリンと弦楽のための組曲ニ短調 作品117

ユハ・カンガス/オストロボスニア室内管弦楽団/ヤーリ・ヴァロ(v)

FINLANDIA 4509-98995-2 1994/95年録音 オークション総経費込@440ほどで入手

 2006年12月にオークションにて落札したもの。半分ほど(題名さえ)初耳で馴染み薄く、自称Sibelius ファンとしてはぜひ聴いておきたい一枚でした。オストロボスニアとはフィンランドの地名らしく、この団体は2003年に来日したらしい。アンサンブルに粗さははないが、艶々としていなくて、響き薄目。

 「孤独なシュプール」「伯爵夫人の肖像画」〜最初の2作品にはナレーションが入ります(世界初録音、とのこと/当然意味はわからぬ!)。これは前所有者が手放した気持ちが理解できるような、寂しく、寒すぎる音楽が続きました。繊細であり、暗鬱、後ろ向き、絶望的に・・・美しい。題名だけでも充分に隠微ですもんね。「とかげ」組曲は絶品!まるで、妙齢の別嬪が耳元で嘆きを囁くように甘美であります。

 「プレスト」は一転して明るい笑顔であり、あまり洗練されぬ弦のアンサブルも、良い意味で粗野な響きが魅力的。「アンダンテ・フェスティヴォ」はネーメ・ヤルヴィ(1982年)で馴染みのシンプルかつ断固とした旋律作品だったが、こちらのほうがこぢんまりとして親密に感じました。「恋人」はわりと知名度高い作品〜これも飾らない、化粧っけも、口数も少ない恋人也。「恋人」-「 愛する人の通る道」-「 おやすみ、愛しい人、私の愛する小鳥」という表題からして、結末はあまり芳しくなかったようで、最近失恋した人は聴かないほうがよろしい。

 「ロマンス」も寂しいなぁ。これはあちこち著名な録音が存在して、そのイメージからするとずいぶんと素っ気ない素朴な演奏でしょう。「田園組曲」も、おそらく初耳で「特徴的な小品」「悲歌的な旋律」「舞曲」からなる7分ほどの小品となります。なんという寒々しい旋律、サウンド(ずっとそうだけれど)。「舞曲」はたしかにリズムがハズむけれど、これさえ例外ではない「寒さ」有。

 「即興曲」がわからない。1893年となっているから、ピアノ作品の編曲か?静謐でワケのわからんモゴモゴとした出足から、陰影取り混ぜた優雅な旋律(三拍子)が続きます。「ヴァイオリンと弦楽のための組曲ニ短調」は名曲ですよ。ニ短調とはなっているが、静かに微笑みを浮かべたような優しいヴァイオリン・ソロが歌います。これもほとんどため息のような、優しい旋律が3楽章続きます。ヤーリ・ヴァロ(v)は清潔に歌って、繊細でした。終楽章の快速細かい音型も、スムースな技巧で一気呵成に乗り切ります。ここ(だけ?)は、ちょっとユーモラス。

(2008年9月13日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi