Sibelius 4つの伝説曲(レンミンカイネン組曲)作品22
(チャールズ・グローヴス/ロイヤル・リヴァプール・フィル)


EMI TOCE-11458 いただきもの Sibelius

4つの伝説曲(レンミンカイネン組曲)作品22
レンミンカイネンとサーリの乙女
トゥオネラの白鳥
トゥオネラのレンミンカイネン
レンミンカイネンの帰郷

チャールズ・グローヴス/ロイヤル・リヴァプール・フィル)

EMI TOCE-11458 1974年録音 いただきもの

 チャールズ・グローヴス(1915〜1992年)は英国渋どころの実力者。主たるポストはボーンマス交響楽団、このロイヤル・リヴァプール・フィル、イングリッシュ・ナショナル・オペラといったところだから、日本では知名度低いでしょう。けっこう録音はあるんだけれど、英国音楽中心だし、独墺系の交響曲が少なかったのも要因のひとつでしょう。(Haydnの交響曲を見掛けたことがある/ネットで調べると英国初のMahler 全曲演奏者だそう)英国指揮者であればSIBELIUが得意なのは当たり前。EMIにはこれと併せてCD2枚分の録音があります。他のレーベルにも小品が少々有。交響曲は見掛けたことはない。

 「4つの伝説曲」は、第2曲「トゥオネラの白鳥」ばかり有名で、新しい録音も数多くあるんだけれど、人気薄かな?日本じゃ。フィンランド民族叙情詩の筋はよう理解でけまへん。全体を交響曲と見立てれば(著名なる)「トゥオネラ」は緩徐楽章にあたるんです。全曲50分弱の収録は少々贅沢だけれど、これはこれで完結された世界なので不足なし。通しの演奏機会は少ないと思います。独墺系厚みのあるオケではSibelius にカロリー高過ぎ。味付け濃すぎ。英国北欧そして我が日本辺りが似合って、亜米利加のゴージャス熱血演奏(オーマンディ/バーンスタイン)が意外と効果を上げていることは驚きです。

 「レンミンカイネンとサーリの乙女」は、ユーモラス軽快軽妙、かつ寂しげなリズムに彩られて個性的であります。爽快清涼な雰囲気、つまり濃厚骨太(背脂たっぷり)を旨としないオケの響きは作品テイストに似合って、リヴァプール・フィルのアンサンブルは好調な出足。18分に及ぶ長い作品だけれど、細かいリズムがノリノリに刻まれて魅力たっぷりであります。「トゥオネラの白鳥」は誰でも知っている絶妙なる詠嘆旋律であって、これだけ単独に取り上げるのなら濃厚骨太系演奏も有、なのかも。イングリッシュホルン担当はマーガレット・ムーアという女流だそう〜およそ「トゥオネラ」のソロを執る人で名人でないはずはありません。グローヴスの表現は意外と淡々としていて、間の手に入る(不気味な)チェロ・ソロの呼応はさっぱりとしておりました。この辺りを強調すると情念が強くなるのですが。

 「トゥオネラの白鳥」って、日本流に言えば「三途の川に浮かぶ黄泉の鳥」なんでしょうか。

 「トゥオネラのレンミンカイネン」も16分を越え、悲劇的暗鬱なる弦のトレモロ、そして木管が絡んで不気味な味わいがうねります。やがて金管の絶叫が静謐を破って、絶望はいっそう深まる・・・少々難解な旋律が続きます。9分ほどから静謐が戻ってきて、繊細な弱音による呟きへ。フルートが美しく幻想的〜やはり旋律の行方は混沌として、大太鼓の低音が悲劇を強調して金管+弦の悲痛な叫びへ。ここはあまりに情熱的詠嘆に歌ってしまうと、しつこいテイストに至るんじゃないか。バルビローリは録音ありませんよね。

 「レンミンカイネンの帰郷」は「トゥオネラの白鳥」と並んで録音の多い作品です。颯爽とカッコよい旋律リズムであって、演奏映えするというか、わかりやすい。グローヴスは隈取りのはっきりとした表現ではないが、打楽器の強調とリズム感の良さ、金管の爽快な響かせ方など見事。バランス感覚に溢れ、しかも、終楽章の華やかな盛り上がりに満足であります。

 音質は目の覚めるような・・・とはいかぬが、じゅうぶん現役であると聴きました。

(2011年2月19日)

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written by wabisuke hayashi