Sibelius 「4つの伝説曲」/レンミンカイネンとサーリの乙女/トゥオネラの白鳥/
トゥオネラのレンミンカイネン/レンミンカイネンの帰郷
(ルーカス・フォス/バッファロー・フィル)


Nonsuch H71203 Sibelius

「4つの伝説曲」作品22
レンミンカイネンとサーリの乙女/トゥオネラの白鳥/トゥオネラのレンミンカイネン/レンミンカイネンの帰郷

ルーカス・フォス/バッファロー・フィル

Nonsuch H71203 1968年発売のLP音源

 たまたま亜米利加のSibelius偶然連続聴き、特別の意図はありません。CDになってますか?ネットから拾った音源はLP板起こし?かなり音質状態のよろしいもの。21世紀に現役水準でしょう。ルーカス・フォス(Lukas Foss, 1922-2009/独逸→亜米利加)は作曲家、指揮者、ピアニストとのこと。1963年にニューヨーク州立大学バッファロー校に赴任したらしいから、その辺りにこのオーケストラとの関係もできたのかも。オーマンディもバーンスタインもSibeliusの録音があるから、亜米利加ではこんな渋目の作品も人気があったのでしょう。日本では人気があっても、演奏されるのは交響曲ばかりですもんね、ほぼ。(「フィンランディア」は別格)

 指揮者もオーケストラもSibeliusに縁が薄そうな感じ、こんな音源には興味津々であります。第1曲「レンミンカイネンとサーリの乙女」は、サーリ島のモテ男レンミンカイネンが名家の娘キュッリッキを口説いてムリヤリ嫁にする場面なんだそう(Wikiの受け売り。以下すべて)。神秘的なファンファーレ(男性的なレンミンカイネン)から、やがてノリノリ明るく軽快な快速旋律に移行して、それはサーリの乙女たちを表現しているらしい。やがて複雑に絡み合って、意外なほどに整ったアンサンブル、熱気のある疾走(テンポ・アップ!)が聴かれます。バッファロー・フィルは絶好調、あまり聴く機会のないオーケストラだけど、実力あるみたいですね。同時期のニューヨーク・フィル(バーンスタイン時代)より上じゃないか。

 第2曲(誰でも知っている)「トゥオネラの白鳥」。三途の川に浮かぶ白鳥らしい。モテ男レンミンカイネンがキュッリッキを捨て、ポヒヨラの乙女に求婚、その条件のひとつはこの白鳥を一撃に仕留める!曰くありげな白鳥はイングリッシュ・ホルン(+チェロ)によって切々と啼いております。淡々としてデリカシーに富んだ表現であり、途中ホルンの木霊のスケールも大きいもの。第3曲「トゥオネラのレンミンカイネン」は、彼を憎む羊飼いマルカハットゥのの待ち伏せにより命を落とします。彼はトゥオネラ川に落ちて陰惨なバラバラ殺人事件に・・・不気味な弦の快速トレモロ繰り返しが彼の悲惨な死を表現しているのでしょう。やがて木管が絡んで金管参入して絶叫、この辺りいかにも難しそうなアンサンブルを、難なくこなすフォス/バッファロー・フィル。充実したスケールの大きな響きを聴かせてくださいます。ラスト息も絶え絶え静謐〜嘆きに哀しい場面はレンミンカイネンが息絶えたところか。

 第4曲「レンミンカイネンの帰郷」。おっかさん登場。母の愛は強し、熊手を使って息子のバラバラ死体をかき集めて魔法の膏薬を使うとあら不思議、レンミンカイネンは復活、もう女のことはたいがいにせんといけんよ、説教されて帰郷を決意します。第1曲の軽快な快速旋律を劇的、決然と改変したような、切迫感あるノリノリの主旋律、フォスの表現もそれに拍車を掛ける迫力と熱気であります。ラストいや増すテンポアップに盛り上がって終了。こうしてみると連作交響詩は序奏から急〜緩〜(暗)〜急の交響的構成になっているのですね。Smetanaの「わが祖国」があれほど人気があって、こちら「モルダウ」に負けぬ人気曲「トゥオネラの白鳥」を擁しても、全曲の演奏機会は少ないみたいです。

(2017年12月3日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
▲To Top Page.▲
written by wabisuke hayashi