Sibelius 交響曲第3番ハ長調/トゥオネラの白鳥/「カレリア」組曲/悲しきワルツ/
フィンランディア(ロリン・マゼール/ピッツバーグ交響楽団)


SONY SRCR-1653 Sibelius

交響曲第3番ハ長調
トゥオネラの白鳥 作品22-3
「カレリア」組曲 作品11
悲しきワルツ 作品44-1
交響詩「フィンランディア」作品26

ロリン・マゼール/ピッツバーグ交響楽団/ハロルド・スモリアール(ehr)

SONY SRCR-1653 1991/2年録音

 ロリン・マゼール(1930-2014)がピッツバーグ交響楽団の音楽顧問・音楽監督を務めたのが1984-1996年。ちょうどベルリン・フィルに於いてカラヤンの後任と噂され、結果的にクラウディオ・アバドが選任された頃、失意の日々(かどうか知らんけど)に学生時代を過ごした(オケの団員でもあった)懐かしい街で活躍したのでしょう。このオケはウィリアム・スタインバーグ(在任1952-1976)時代のイメージが強烈、ストレートな表現、金属的かつ馬力ある(やや粗い)サウンドが思い出されます。ここ最近、マレク・ヤノフスキとかマンフレート・ホーネックの録音を拝聴すると、ずいぶんと洗練された音に変貌していて、それはアンドレ・プレヴィン(在任1976-1985)や、このマゼールの薫陶の成果なのでしょう。

 閑話休題(それはさておき)。マゼールのSibeliusと云えば若き日ウィーン・フィルとの録音(1963-1968年)オケを自在に操って、アツく前のめり、かなり恣意的な(Sibeliusらしからぬ)表現であったと記憶します。なんせ30歳代ですから。こちら新録音は指揮者もオケも、Sibeliusの清涼な響きには似つかわしくないんじゃないの?そんな想像をして数年前、この一枚を聴いたらどーも殺伐としたサウンド(オーディオ環境との相性もあったのか)にちょいと敬遠したもの。「CDは寝かせるほど良い」とはネット上の都市伝説、久々の拝聴に意外なほどの感銘を受けました。オケの響きは洗練され、アンサンブルは緻密、マゼールは意欲満々に細部緻密に描き込んでクール、これはこれでなかなか良いではないか。音質もGood!

 大人気の交響曲第1番ホ短調第2番二長調に比べ、ぐっと渋くジミな、ようわからん第3番ハ長調。Sibeliusはけっこう人気ある日本、2管編成だから演奏機会はもっとあっても良さそうなのに、めったに演目に登ることはないでしょう。第1楽章「Allegro moderato」冒頭低弦による牧歌的かつ軽妙な出足、この辺りから既に第1番第2番の雄弁な風情と異なって、ちょいとはぐらかされる感じ。ユーモラスかつ明るい旋律は不安も交えてテンポは速め、細かい音形を正確に、几帳面に、テンション高く表現するマゼール。ラスト辺りテンポをゆったり落として雄弁であります。

 第2楽章「Andante con moto, quasi allegretto」ほの暗いモノローグのような旋律による変奏曲は、いかにもSibeliusらしい後期の個性の走りを感じさせます。シンプルかつ寂しげな繰り返しをさらりとしたテンポ、弦のニュアンスも入念、木管もデリカシー溢れる味付け(途中幻想的な絡み有)テンポの頻繁な揺れもみごとに決まりました。指揮者の意図に沿う、上手いオケですね。

 第3楽章「Moderato - Allegro (ma non tanto) - Meno allegro」「いろいろ試してみたけど、もうウケ狙いはやめました」みたいな作曲家の意思を感じて、妙にさっぱりと明るい結末(不安な気分も入り混じって)にちょいと違和感ないでもないところ。マゼールはカッコ、味付け入念〜以前だったらそこが好みじゃなくて、もっと自然体にフツウでも良いんじゃないの?そんな嗜好だったのに、やがて安寧な結末に向けて雄弁な旋律(これもシンプルな繰り返し)迄持ち込む構成の巧さに感心いたしました。メリハリたっぷり、明快な主張に”ようわからん第3番ハ長調”はテンポ・アップ!ラスト圧巻の盛り上がりを見せてわかりやすい。この表現が王道じゃないだろうけど。

 「トゥオネラの白鳥」「悲しきワルツ」に於ける入念なるタメ、テンポの動かし方は憎いほど決まって、冷たいほど整って妙に作品風情に似合っております。交響曲より好き嫌いは少ないでしょう。「カレリア」は懐かしい哀愁、軽快軽妙な「alla marcia」の愉しさも格別、「フィンランディア」はカラヤン(1964年)の憎らしいほどの雄弁な迫力(ティンパニのアクセントに驚愕!)が刷り込み、こちらオケの響きはもっと明るくて、カッコ良い仕上がりであります。

(2017年11月27日)

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written by wabisuke hayashi