Sibelius 交響曲第1番 変ホ短調/第4番イ短調
(ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー/モスクワ放送交響楽団)


Venezia CDVE44237 Sibelius

交響曲第1番 変ホ短調(1974年)
交響曲第4番イ短調(1971年)

ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー/モスクワ放送交響楽団

Venezia CDVE44237

 若き日LP時代、この全集(のみ)聴いていたのは、偶然中古にて安く入手できたから。他意はありません。とても荒々しい、アツい演奏だった記憶が・・・こうして久々の再聴は・・・やはりその印象は間違っていなかったと感じます。各パートの表現は粗野、金管は遠慮会釈なし大爆発する刺激的かつ泥臭い演奏・・・芸術は個性だ!いまや死語と化した?典型的”爆演”かも。音質はワリと鮮明、しかし金管全力疾走で割れるのは仕方がない、いつもの冷涼お上品なSibelius を想像すると火傷しまっせ。

 交響曲第1番 変ホ短調第1楽章「Andante, ma non troppo - Allegro energico」〜静かなティンパニに誘われ、クラリネットが寂しげな序奏主題を奏でる・・・のはずが、もうクラリネットの表情はアツく、生々しい。第1主題は「彼特有の雄大な広がり」に間違いはないけれど、灼熱に燃える金管大爆発!音も割れよ!この際オーディオ的リミッター外して下され、的絶叫であります。とにかく表情豊かにわかりやすく、やかましい〜とてつもなく。好きな人はどーぞ、みたいな驚きの開始であります。

 第2楽章は安寧とやすらぎの「Andante」。なかなか神妙な出足、しかし期待通り表情は濃厚多彩に歌います。第2主題に入ると、例の如しの金管炸裂!弦のテンションも高いこと。これって、やはり”上手いオケ”と云うべきなんでしょう。中間部の安らぎはなかなかエエ感じ、例のヴィヴラートたっぷりのホルン登場して、意外とニュアンス豊かな木管が弦と絡みます。しかし、金管は我慢できずにあちこち噴火を繰り返します。サービス精神満載、静か、平坦な楽章も起伏を以って愉しく聴かせる、かならず絶叫のサビを作る!そんな決意を感じさせます。

 第3楽章は「スケルツォ」だから、当然ロジェストヴェンスキーの腕の見せどころ・・・なんとなくユーモラス、そして上品に非ず、というのは想像つくでしょ。強弱を強調して、怒涛のリズムの刻み、やがて期待の・・・というほどのものではない。もっとティンパニ、ばんばん叩いてくれ!ちょっと(彼にしては)抑え気味かも。終楽章の序奏、弦の詠嘆は思っきり濃く、太い出足。やがて馴染みの細かい音型が疾走するSibelius 節(第1主題)〜徐々に速度を上げ、崩れ落ち、一転!滔々と弦が歌う第2主題へ。美しさよりメリハリ、朗々より絶叫、”艶々とした美しいサウンド”など目指していないでしょう。第1主題回帰してますます喧しく、音量大きく、アツく、クサく盛り上がって息も付けぬほど。

 静かな第2主題が回帰しても、妙に怪しく、木管金管の音色は(異様に)暑苦しい。そのまま音楽はどんどこ柄を大きく膨らませて、クライマックスを目指します。ラスト、金管は全力出し切って泣き叫んで・・・嗚呼やかましい+ピツィカートにて円は閉じる・・・って、煩悩雑念満載なるSibelius でお腹いっぱい。

 交響曲第4番イ短調は幻想的かつ難解、出口も入口もないような音楽に思えます。こうしてみると第1番 変ホ長調はわかりやすかった・・・第1楽章の冒頭、チェロのモノローグから思いっきり暗鬱、この主題がこの楽章を支配しているらしい。途中、ティンパニや金管(コラール風に)登場時には、思いっきり自己主張して大爆発・・・するけど、暗いチェロにかき消されます。木管の色合いはもちろん”北欧の清涼”に非ず、弦のアンサンブルはみごとに揃って、わかりやすい・・・けど、暗いのぉ、ずっと。怪しいメリハリは前曲より、表現として似合っているかも。

 第2楽章はスケルツォ、しかし第1番とは天と地ほど異なった世界、さらさらと爽やかな流れ・・・を、表情豊かに濃く、オモロく表現するのがロジェストヴェンスキーなのでしょう。弦も木管も上手いと思うけれど、独特のアクを感じさせる音色+音量であります。途中から嵐ような幻想曲に至って、唐突に終わって第3楽章「ラルゴ」へ。ここも難解やなぁ、Shostakovichみたいに(絶望的に)響くのは、指揮者の個性でしょうか。アンサンブルは緻密、細部描き込んで厚みのあるサウンドであります。

 終楽章。楽譜ではグロッケン(チューブラーベル)指定(らしいけど)、グロッケンシュピール(鉄琴)使用+チェロのソロが印象的。難解暗鬱ではあるけれど、ここはオモロい響き続きます。リズム感も個性的なところ、ロジェストヴェンスキーの表現は入念を極めテンション高く、スケール大きく、濃密な熱気に溢れたクライマックスを導きました。

 なんか全然別の作品を聴いた・・・ような気にさせる、トンデモ演奏であります。わかりやすいけど、日常安易に聴けるもんじゃない。

written by wabisuke hayashi