Shostakovich 交響曲第12番ニ短調「1917年」/
劇付随音楽「ハムレット」組曲/バレエ「黄金時代」組曲
(ネーメ・ヤルヴィ/エーテボリ交響楽団)


DG POCG 1424 Shostakovich

交響曲第12番ニ短調「1917年」
劇付随音楽「ハムレット」組曲
バレエ「黄金時代」組曲

ネーメ・ヤルヴィ/エーテボリ交響楽団

DG POCG 1424 1990年

 Neeme Ja"rvi(1937ー愛沙尼亞→亜米利加)はご高齢だから、もう現役では活躍されていないでしょう。骨太の表現がお気に入りの指揮者です(息子Paavoより好き)。Shostakovich交響曲録音はChandos/DGにまたがって全曲揃うけれど、会社が別だからあまり話題になっておりません。音質は極上、オーケストラのパワフルなサウンド、打楽器の存在感迫力最高なメリハリある演奏でした。エーテボリ交響楽団は1982年〜2004年長期主席として在任、この時期そうとうに腕を上げてますよね。Shostakovichの”露西亜革命賛美!”的主張は今更ほとんどの人が真に受けぬ、歴史的事象として扱われる時代に至ったから、この辺りの作品も純音楽的に愉しめるようになりました。それでも2022年烏克蘭侵攻からちょっと気分的に拝聴遠慮気味にはなってる作品かも。三管編成、前作第11番に比べると特殊楽器も少なめ、全曲でも40分ほど、けっこう好きな作品でした。全曲切れ目なく演奏されます。

 第1楽章「革命のペトログラード」冒頭のチェロとコントラバスによるモティーフはカッコ良く、わかりやすく、全編にわたって登場します。やがて打楽器が賑やかに疾走してアクセントはすぱっと明快、エーテボリ交響楽団のアンサンブルは細部神経質に過ぎたり重くなったりしない、流れと勢いを重視、テンポはやや速めでした。金管の爆発はちょっと泥臭いですね。この辺り、音質はとても重要なポイント。(12:27)

 第2楽章「ラズリーフ」レーニンが革命の計画を練って潜んだのがラズリーフ湖畔だったとのこと。自分がShostakovichを好んで聴くようになったのは最近のこと、弱音の多い場面ではたいてい音楽の流れが行方不明になっていたものです。勇壮な勢いとは一転、重苦しい怪しい静謐、ヤルヴィの表現はとてもわかりやすいい。後半に至る迄金管は登場せず、ラスト重苦しいトロンボーンのヴィヴラートがなかなかの物騒な感じ。(12:59)第3楽章「アヴローラ」は巡洋艦の名前。不気味な静謐が継続して、例のモティーフも静かに準備しつつ、やがてついに打楽器+金管による激しい攻撃が始まります。この迫力は筆舌に尽くしがたいもの。(4:27)

 第4楽章「人類の夜明け」は明るいホルンのファンファーレより開始(勝利を意味するんだそう)打楽器+金管の迫力はそのままに、こちらずいぶんと明るく、平明な旋律サウンドでした。ホルンは朗々として、上手いもんですよ。そして第1楽章のモティーフが朗々と回帰して全曲を締め括るカッコ良い、わかりやすい作品。打楽器のキレが素晴らしい。(9:21)実演経験者によると最終楽章は体力勝負、たいへんなところなんだそう。

 組曲「ハムレット」は13曲。賑々しく大仰な金管がユーモラス、表情豊かな風情は劇的かつたっぷり俗っぽい、人を喰ったような?トムとジェリーみたいな作品。途中「怒りの日」も登場します。(2:30-1:47-2:20-1:54-1:39-1:03-1:11-1:11-1:45-2:14-1:21-1:03-1:48)バレエ「黄金時代」は組曲4曲。木管の幻想的に細かい音型旋律から始まって、不安な不協和音も賑やか、時にユーモラス、才気煥発な初期作品はとくにホルンが雄弁でした。

(2024年4月20日)

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written by wabisuke hayashi