Shostakovich 交響曲第10番ホ短調
(ヘルベルト・カラヤン/シュターツカペレ・ドレスデン/
1976年ザルツブルグ・ライヴ)


ネットより音源入手 Shostakovich

交響曲第10番ホ短調

ヘルベルト・カラヤン/シュターツカペレ・ドレスデン

1976年ザルツブルグ・ライヴ youtubeで拝聴可能です

 Shostakovichはこれしか演奏しなかった(らしい)カラヤン、二種あるベルリン・フィル(+ソヴィエット・ライヴ)とは別物、マニアには知られているらしいドレスデンのライヴ(放送)音源、けっこうエエ音でネットより入手できました。若い頃よりShostakovichを苦手として幾星霜、ここ最近ようやく彼(か)のズズ暗い、重苦しい旋律サウンドに妙味を感じるようになってきました。Herbert von Karajan(1908-1989墺太利)だったらきっとわかりやすく、美しく聴かせてくださるとの期待は高まります。しかも、オケの組み合わせも比較的珍しいもの。この作品はムラヴィンスキー(1976年)によって開眼いたしました。こちら強面作品はずいぶんと流麗に仕上がっていると感じます。

 第1楽章「Moderato」の開始。鬱々と暗く、苦渋にうごめくような低弦を受けて出現するヴァイオリンの旋律。いつになくセクシーなのはカラヤンの表現なのでしょう。オケが変わってもアンサンブルの統率は完璧、入念な描き込みはさすがの完成度、ベルリン・フィルほど艶々としないのも好感が持てます。やがて管楽器を伴ってパワフル劇的な盛り上げ方の上手さ、そのサウンドはいかにも渋い、クールなもの。オーボエやフルートの旋律はワケわからん!そう思っていたけれど語り口の上手さ、弱音でも抜群の説得力、露西亜風暑苦しさ粗野な風情は皆無、スマートでっせ。(22:33)

 第2楽章「Allegro」はスケルツォ。異様な快速テンポ指示(二分音符=176)はミスプリ?との説有、いずれ一気呵成に疾走してオケのテンション、アンサンブルの真価が問われるところ。この作品の白眉、パワフルなオケの爆発、カラヤンの統率は馴染みの薄いオケでも揺らぐことはない、余裕を感じさせます。(4:08)第3楽章「Allegretto」は緩徐楽章と呼ぶにはあまりに途方に暮れた風情がShostakovichらしい。「大地の歌」にインスパイアされたらしいホルン旋律は爽快なスケール、ヴィヴラートが掛かって色気ある音色はペーター・ダムですか?(未確認)後半テンポを上げて悠々と盛り上げていく手練手管の見事さ、ここでも語り口の上手さが光りました。やがて寂しげに、消えゆくように収束。(12:04)

 第4楽章「Andante - Allegro」。序奏に漂う暗鬱な静謐、若い頃はこの辺りも理解の外、ひたすら愚図愚図と暗いだけと聴いておりました。カラヤンの手に掛かると各パートのニュアンス入念な味付け、微妙な変化、流麗さに驚かされます。カラヤン節そのものだけれど、オケの響きはあくまでジミ目。やがて軽快なAllegroへ至って、そのデリケートな足取り、肩の力は抜け、ノリノリのアンサンブル統率、バランスは驚くほど美しい。やがて狂気のような疾走に激しい爆発連続にも響きは濁らない。力技で乗り切ることもない、常に余裕のサウンド。ドレスデンのオケは大好きだけど、こんなに機能的に上手いオケでしたっけ?ムラヴィンスキーだったらヒリヒリするようなツラいクライマックスだった記憶があるけれど、カラヤンは”わかりやすく、美しく聴かせてくださるとの期待”を裏切らぬ完成度でした。悲劇的な切迫感はありません。(13:36)

(2020年5月24日)

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written by wabisuke hayashi