Shostakovich ピアノ協奏曲第1/2番
(マイケル・ヒューストン(p)/リンドン・ジー/
ニュージーランド交響楽団/ジョン・タバー(tp)) 


NAXOS 8.553126 Shostakovich

祝典序曲 作品96
ピアノ協奏曲第2番ヘ長調 作品102
バレエ組曲「黄金時代」 作品22a
ピアノ協奏曲第1番ハ短調 作品35

マイケル・ヒューストン(p)/クリストファー・リンドン・ジー/ニュージーランド交響楽団/ジョン・タバー(tp)

NAXOS 8.553126  1994年録音

 Shostakovichは、20世紀のもっとも重要な作曲家であることを認めるのに吝かではないが、ワタシは少々苦手です。あまり楽しめません。それなりにCDもエア・チェック音源も手元にあるが、あまり聴きません。以前にもそんなことをHPに書いて、日本ショスタコヴィッチ愛好会(そんな団体あるのか?)のブラック・リストに載ったかも。

 でも、音楽は先入観なく、また、いつの日か心の琴線に触れる日がやってくる可能性を否定してはいけません。ワタシの「ショスタコ・アレルギー」を心配して「ピアノ協奏曲なんか良いですよ」と、暖かいメールをいただいたこともありました。このCDは発売されてすぐ買った記憶があるし、ピアノ協奏曲をユージン・リストの録音(MCA)でを手に入れたのはもっと早かったんです。

 選曲も凝っているし、ピアニストもオーケストラもニュージーランド方面で固めたところに興味倍増。リンドン・ジーさんはたしかイギリスの方だけれど、たまたまレスピーギのCDを既に所有しておりました。ニュージーランド響は素直さが身上で、線が細いのが弱点でしょうか。ここでもその特徴はそのまま録音されています。

 「祝典序曲」は、吹奏楽で良く取り上げられる楽しくも明るい小曲。ここは一発、大はしゃぎ、グイグイと勢いつけて爆発して欲しいところだけれど、どうもソロリソロリと手探りしているようで元気が足りません。祝典にかり出されたが、演奏者は心より祝う気持ちはない、といった風情か?

 ピアノ協奏曲第2番は、とてもリリカルで無機的な旋律のおもしろさがあります。新しいほうの「ファンタジア」(ワタシは見たことない)では、「錫の兵隊の冒険物語」なんだそう。そう言われればたしかにアニメに似合いそうな、なんとなしユーモアさえ感じさせる(「軽騎兵」序曲に似ている)旋律。変拍子も暴力的な味わいとは無縁。

 ヒューストンのピアノはバック同様大人しい。わざと感情移入させずに弾いたのかも知れないが、こういった「いかにも」的山場のない作品を、聴き手に飽きさせず届けるには少々工夫がなさ過ぎます。直球過ぎ。(球に威力もない)

 「黄金時代」は初期の天才的作品で、録音も昔から多くて、手元に数種のCDも存在します。これはもっとクサく、思いっきりデフォルメして演奏して欲しいもの。でも、やっぱり大人しい。静かなアダージョはオーケストラの体質に合っていると思ったが、コクが足りません。

 ピアノ協奏曲第1番は「ハ短調」なんて劇的な調性だけれど、これもリリカルで感情を押し殺したような曲に感じます。でも第2番に比べると、ずっと旋律の変化が豊富だし、トランペット・ソロが絡み合うのも楽しい曲。ここでは、ノリノリの勢いが必要なんです。シミジミとした「レント」はう〜んとやさしく、テンポの速いところはバリバリの切れるようなテクニックで盛り上げて欲しいもの。

 全体に小さくまとまったようで、聴いていて欲求不満になりそうな演奏でした。技術的にも、音質的にも不足はないが、この曲に対する思い入れが少々足りないのでは、といった感想有。ショスタコさんのなかでは、この4曲は気に入っているんですが、残念。(2001年6月8日更新)


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written by wabisuke hayashi